大都会東京の興奮も落ち着き、すっかりなまってしまった心と身体を、農閑期仕様から冬の活動期仕様に変換すべく初冬の尾白山へ向かった。
今回は表からの尾白山ではなく、裏からの尾白山を楽しむことにした。ウラオジラである。
軽トラを小塩登山口に駐車し、登山道を歩まず沢沿いの林道を歩く。
すっかり葉を落とした沢沿いの道は明るい。
約1時間ほど歩き、道は踏み後程度となる。
尾白山の北側を流れる金山沢を渡る。
さて、ここから枝沢の谷を仰ぐと尾白山の稜線が少しばかり見えた。
事前に地形図で確認していた登りやすそうなこの谷の左側の尾根に取りつくことにするが、上の方には針葉樹の塊のように見える岩場があり心配だ。
登り出し、ブナの急登はそれほどやぶはうるさくなく快適だ。
ひと登りすると、すっきりした小さなブナ平。ここならテント泊も気持ちよさそうだ。ゆっくり腰を下ろしたい…。
ふと見ると、カモシカ。はやく俺の庭から出ていけ、と言わんばかりにじっとこちらを見ていた。
はいはい、わかりました。休まず行きます
カモシカはいいが、また熊と出くわすのも嫌なので、時々勢子声を出して登る。
心配していた岩倉は、隙間にある沢状地形の急登でうまく巻くことが出来そうだ。
急登&藪漕ぎの連続をようやく登り切り、主尾根に取りつく。振り返ると、高度感あるある
いよいよ沢の奥に、裏尾白からの山頂が見えてきた!
が、豪雪に削られた細尾根ではハイイヌツゲ、アズマシャクナゲ、ヤマグルマ、ヒメコマツの藪漕ぎが待っていた…。
西側の尾根の向こうに、古町丸山が見えた。あの山も藪漕ぎしたっけな~、と思いにふけっていると。
行く先から突然、ギューッ!ギューッ!と嘶きが聞こえたかと思うと、どどどどーと何かが猛スピードで駆け下りていった。
またカモシカだ。あっという間に崖を降り、反対側へ駆け上ってこちらを見上げていた。
やっと細尾根が終わるとブナと灌木の緩やかな尾根となり、尾白山への登山道尾根が近づいたことを感じる。
歩き出してから3時間20分で、ようやく登山道へ合流した。ちょうど旧雨量観測小屋の手前である。
あとは高速道路のような登山道をたどり、山頂を目指すだけ。
旧雨量小屋からは15分で山頂へ。
今回の足元は、舞茸取り仕様のスパイク長靴。やはり急登藪漕ぎでは頼もしい。
大嵐山、枯木山の山並みの奥には、日光の山々が見えた。雲間からのやわらかい日差しは、奥会津の冬枯れの山肌を斑に照らす。
いつもの燃えるような山肌は、すっかり冬枯れだ。
今夜は降りずにブナ森でツェルト泊。静かな森泊りを楽しむ。
今日は天気がもったが、明朝には寒冷前線が接近するようだ。
NHKのラジオ深夜便をうとうと聞いてると、星空ではあったが雷の雑音が時々遮り、同時に遠く西の方でフラッシュが光り出してきた。
食事を済ませ、すぐに下山の準備。
ヘッドランプを照らしながら山を下りるとき、東の空が染まって来ていた。
小塩口到着直前に、雨が降り出してきた。ぎりぎりセーフ。
はい、おつかれさまでした