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偽装質屋 ヤミ金新手口「担保」は年金 年利200%の高利も 九州から各地へ被害拡大

2013-05-05 14:36:05 | Weblog

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                   年利200%の高利も  

偽装質屋 ヤミ金新手口 「担保」は年金 年利200%の高利も 九州から各地へ被害拡大
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-04/2013050401_04_1.html

 質屋を装い、弱い立場の高齢者をねらい撃ちして金を貸し、法外な高金利を取り立てる新手口のヤミ金融「偽装質屋」が各地に進出しています。東京都、埼玉県、群馬県など関東地方でも被害が広がりはじめています。 (竹腰将弘)

 埼玉県越谷市に住む年金暮らしの女性(74)は今年2月、親戚の葬儀に出席する費用数万円の工面がつかず、「小口貸付」「質屋」という看板の文字にひかれて、電話で問い合わせました。
 店側は、「年金は受給しているか」と確認したうえ、「質草は何でもいいから適当に持ってきてくれ。預金通帳と印鑑を持ってくるように」と指示しました。

質物鑑定なし

 女性は古い腕時計2個を質草として用意し、2月27日に店に行きました。何の審査も、質物の鑑定もなしに4万円が借りられました。そのさい、次回の年金支給日に元本と利息を一括して返済することを約束させられ、年金を受給している口座から自動引き落としをするための書類に署名させられました。

 次回の年金が振り込まれた4月15日、口座から返済金が自動引き落としされました。元本に利息1万800円が上乗せされた5万800円。融資日から返済日までは48日間。この間の利率は27%、年利に換算すれば207%になります。

 2010年6月に改正貸金業法が完全実施され、上限金利は年20%に引き下げられました。「偽装質屋」は、質屋にだけ認められている特例金利の計算方法を使い、貸金業者の上限の10倍以上の高金利をかぶせているのです。

 2010年を前後して、九州地方を中心にしたヤミ金グループが、質屋の特例金利109・5%に目をつけ、質屋を偽装して金を貸す新手口をとりはじめました。

 彼らは、ほかからは金を借りられない年金生活者を相手にします。年金額を見て、その範囲内で貸すので、とりはぐれることはありません。「質草が必要」というのは、質屋を装うための形だけのことです。無価値の質草でも金を貸し、福岡県の偽装質屋では質草をもたない客に「100円ショップで何か買ってきて」と指示した例もあります。

 2カ月に1回の年金支給日には、銀行口座からの自動引き落としか、来店させ直接集金する方法で、確実に元本と高い利息を回収します。

相談が相次ぐ

 被害が先行した九州各県の消費者センターには、11年11月以降、「質を流してくれない」「執ような取り立てに困っている」などの相談が相次ぎ、12年5、10月には福岡、熊本両県で被害者が集団提訴。同10、11月には福岡、大分両県警が、大手偽装質屋グループを貸金業の無登録営業と超高金利の疑いで摘発しました。偽装質屋は、質屋営業ではなく、ヤミ金融による犯罪行為という社会的認知が広がっています。しかし、九州以外の各地に、新たな「偽装質屋」の触手がのびはじめているのです。
 前出の女性は、「利息がずいぶん高いなとは感じていたけれど、質屋だから大丈夫だと思っていた」といいます。

 女性の相談にあたった司法書士は「社会的に弱い立場の人から異常な高金利を取り立て、被害者は一度これに入ると抜け出せなくなる仕組みで、きわめて悪質だ」と話しています。

 質屋の特例高金利 質屋営業の金利の上限は、質草の鑑定・保管の手間がかかること、3カ月までの短期・小額金融であることから出資法の特例とされています。質屋営業法では、年利109・5%、貸付期間のわたる月数での利息計算を認めています。

                    偽装質屋 

                 貸金拡大・回収の手口 

              公的融資悪用 各地で被害広がる  

偽装質屋 貸金拡大・回収の手口 公的融資悪用 各地で被害広がる
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-08/2013050801_04_1.html

各地に被害を広げている新ヤミ金融「偽装質屋」。ほかからは借金ができないほど困窮した高齢者を主なターゲットに、借金依存の生活状態に陥れて、年金から法外な高利を吸い上げる仕組みをつくっています。そこでは、公的融資まで悪用し、被害をさらに大きくする手口が使われています。(竹腰将弘)

 年金で一人暮らしをしているAさん(72)が群馬県高崎市内の「偽装質屋」から金を借りるようになったのは2011年の暮れでした。

 質草となる高価な品物もないのに、その店ではほとんど無価値の時計で数万円を簡単に貸してくれ、年金が支給される偶数月の15日に返済する約束をさせられました。

 その後もAさんは、しだいに借り入れを増やし、2回目の返済日の12年2月15日にがくぜんとします。2カ月分で30万円に満たない年金の大半が、返済金として自動的に引き落とされ、口座が空になっていたのです。

 年金支給日には「質屋」に一括返済、生活のためにまた「質屋」通いという“借金依存”。Aさんがそんな生活状態におちいるまでわずかな期間しかかかりませんでした。

 Aさんは1年足らずで25回、この「質屋」から借金を重ねます。利息は、年率換算で平均340%。なかには利率1464%という貸金業の上限金利を73倍も上回る貸し付けもありました。

借金指示

 2月の返済で生活が立ち行かなくなったAさんに、「質屋」はこう持ちかけます。「年金を担保に融資してくれる公的機関がある。利用してはどうか」

 年金担保融資を行っている独立行政法人福祉医療機構からの借金を指示されたのです。

 Aさんは同機構に80万円の融資を申し込み、3月に口座に振り込まれました。同機構の融資は、年金から天引きの形で返済がされるので、支給額が減額されます。「質屋」への返済は引き続きかさみ、7月には再び、Aさんの生活は逼迫(ひっぱく)します。


 「質屋」は再び持ちかけました。「いま機構から受けている融資をいったん返済して、もっと多い金額を借り直せばいい。返済資金は肩代わりしてあげる」

 Aさんは、「質屋」から借りた金で機構の融資をいったん完済し、あらためて150万円の融資を申し込みました。融資は8月中旬に実行。しかし、Aさんはその日のうちに「質屋」に143万円余の返済をさせられます。150万円というまとまった金が入ったはずなのに、Aさんの手元にはわずか数万円しか残りませんでした。

 「質屋」は、公的な年金担保融資に借金をつけかえたうえ、Aさんが通常受け取る年金の範囲をはるかに超える多額の金を巻き上げたのです。

 これは、この「質屋」の常とう手段で、同県伊勢崎市でも、女性の客が公的年金担保融資の利用を持ちかけられたことが確認されています。

 Aさんの相談にあたった司法書士の西川正さんは「『生かさぬように殺さぬように』というが、偽装質屋は短期間に、客を確実に『殺し』にかける恐ろしいシステムだ」といいます。

損害賠償

 Aさんは、家賃を払えなくなり家を失いました。手元には150万円の借金が残っています。どうしてこういうことになったのかよくのみこめません。

 Aさんの被害=“盗(と)られた年金”の額は270万円。いま、弁護士の助言を受けながら、「質屋」への損害賠償請求を準備しています。

 公的年金担保融資 厚生年金保険、国民年金などの年金を担保に融資することはそれぞれの年金保険法で禁止されています。この例外として厚生労働省所管の独立行政法人「福祉医療機構」が唯一、公的年金の受給権を担保にした融資を行うことが認められています。