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<空き家を生かす!!>住宅弱者の入居支援 NPOと福祉関係者ら協力

2015-07-03 06:17:01 | Weblog

                                       <空き家を生かす!!> 

                                        住宅弱者の入居支援 

                                     NPOと福祉関係者ら協力  

<空き家を生かす!!>住宅弱者の入居支援 NPOと福祉関係者ら協力
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2015070202000215.html

 古くなった賃貸住宅の空き室は、一戸建て住宅と同じように増える一方だ。

それなのに、所得が少なく身寄りのない高齢者や障害者らは、部屋探しに四苦八苦する場合が多い。岡山市では、不動産業者や弁護士のほか、連帯保証人となるNPO法人が協力し、住宅弱者のアパート入居を進めて空き室を減らそうとしている。 (白井康彦)

 岡山市北区にある七階建て賃貸マンション「サクラソウ」。五十四戸の大半に精神障害者と高齢者が住む。築二十七年の建物は岡山市の不動産会社・阪井土地開発が所有する。社長の阪井ひとみさん(56)が、自分では住居の確保が困難な人のために六年前に購入した。

 日暮れ時、一階にある談話スペースに入居者が集まってきた。ソファに座り、阪井さんが作った壁新聞を見ながら雑談し、時折笑い声も上がる。

 五十代の女性は統合失調症を患う。六週間に一度、精神科に通院している。「これまでアルバイトしたことはあるけど、体調管理ができなくなるので、フルタイム勤務は難しいんです」。困った時は、「阪井のおばちゃん」を頼る。「何かあれば来てくれるから安心やわ」と表情が和らいだ。

 多くの入居者が生活保護や障害年金を受けており、家賃と共益費、町費で計三万八千七百円を払う。入居者は地域に溶け込むため、町内会の清掃活動など地域行事にも積極的に参加している。

 阪井さんが、精神障害者の入居支援活動を始めたのは十九年前。同社が管理していたアパートに入居していた五十代の男性が電話をかけてきた。「誰かが俺を殺そうとしている」。男性は、統合失調症やアルコール依存症のため、妄想にとらわれていた。
 阪井さんは驚きながらも、男性が助けてほしいというサインを出してきたのではと思った。話し相手になったり、病院に付き添ったりするうちに、精神の病気に悩む人の多くは住まい確保が極めて難しいことを知った。

 「不動産業者の店頭で断られることがほとんど。貸してくれるという部屋があっても、薄暗い北向きの部屋とか、鍵がかからないとか劣悪物件ばかり。雨漏りする部屋で我慢して暮らす人もいました」

 これまでに五百人ほどの精神障害者の入居支援をしてきた。賃貸住宅の大家の多くは「精神障害者がトラブルを起こすのでは」と心配するが、阪井さんは「うちはほとんど、トラブルはありません」。医療や福祉の関係者らと、精神障害者を見守る態勢づくりに努めてきたのが功を奏した。

◆入居者を見守るネットワークも

 民間アパートに入居する際、連帯保証人を立てることを要求される場合が多い。家族と縁が薄くなっている障害者や高齢者にとって、入居の壁となっている。保証人問題を解決しようと、六年前に設立されたのがNPO法人おかやま入居支援センターだ。
 理事長の井上雅雄弁護士によると、NPOが連帯保証人になるには、医療ソーシャルワーカーや行政担当者らと申し込むことなどが条件。センターの支援で賃貸住宅に入居できた人は既に百人を大幅に超した。入居希望者それぞれについて、医療機関や財産管理者、不動産仲介業者などの支援ネットワークをつくって見守っている。障害者の住居確保支援を実践してきた阪井さんもNPO理事だ。

 岡山県内でも賃貸住宅の空き室は多い。阪井さんは「精神障害者や高齢者らの入居を進めれば、空き室対策にもなります」と、大家を説得して回っている。入居者を見守るネットワークが大家の安心材料になっているという。