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特命捜査班 ~マル調~ 「スマホのサービス悪用!?『現金化』とは」

2013-10-15 11:29:00 | Weblog

                        特命捜査班  

                   ~マル調~ 

          「スマホのサービス悪用!?『現金化』とは」 

特命捜査班 ~マル調~ 「スマホのサービス悪用!?『現金化』とは」
http://www.mbs.jp/voice/special/201310/10_post-365.shtml

 今や一気に普及した「スマートフォン(スマホ)」。
 その便利さは、わたしたちの生活スタイルを変えてしまうほどです。
 本当にいろんなことができますよね。
 まずはショッピング。
 通販サイトなどで様々なものが買えますね。
 そして地図。
 ナビゲーション機能があって、目的地やルートなどが簡単に確認できます。
 さらに天気予報、ピンポイントの気象情報などもわかりますね。
 でお次はと・・・
 ん?現金化?
 なんだかあやしい響きですよね?

 今回の「マル調」、「スマートフォン」のサービスを悪用してお金を調達する
「現金化」、その手口に迫ります。

 先月、「iPhone 5s」と「iPhone 5c」が発売され、ますます活況のスマート フォン市場。
 「ガラケー」と呼ばれる携帯電話に取って代わり、先月末までの「スマホ」の
 契約数は、ついに5,000万件を突破した。

 
 「手放せないですね」
 
 「アプリあったら何でも出来るという感じ。それが便利やと思います」

 人気の理由は多岐にわたる優れた機能性だが、一方で、あるサービスを悪用した商法を「マル調」は目の当たりにした。

 神戸市に住むAさん。
 先月、実家の母親が入院することになり、急遽、現金が必要になった。
 持ち合わせのなかったAさんは、以前、「スマートフォン」に届いたある業者からのメールを思い出したという。
 「急ぎでお金が必要な方必見、新サービス登場!最短15分で振込可能です!」(業者からのメール)
 Aさんは早速、この業者のサイトにアクセスした。
 取引の方法は、まず、サイトに載っているインテリアガラスやブレスレットなどの商品を購入する。
 すると代金の80パーセントの現金が、その日のうちに業者から口座に振り込まれるというのだ。

 
 「夜だったというのもあったし、翌日が休みの日だったということもあって、8割返ってきて、ものがもらえるならいいか、と思った」

 Aさんはこの取引を利用することにしたが、支払い方法には条件がつけられていた。

 
 「『携帯電話の会社のキャリア決済の利用で支払ってください』というのが絶対条件だった」

 携帯電話の「キャリア決済」。

 「キャリア決済」とは、携帯電話でインターネットショッピングをしたときなど、その代金の請求を販売した店ではなく、
携帯電話会社が代わりに行うもので、携帯電話会社は後日、電話の使用料金とともに代金を徴収する仕組みだ。

 利用条件や限度額は会社によって違うが、Aさんが使っている「ソフトバンク」では、月10万円まで利用ができるという。
 Aさんは結局、4万円分の商品を契約。
 すると、その日のうちに代金のおよそ8割にあたる、3万1,500円が業者から振り込まれてきた。

 
 「これを利用しようと思って、決済をするまでどれくらいの時間がかかりました?」
 
 「5分かからないですね。それは楽です。(利用した)1日は利用者が多いらしくて、ぼくで『74番目なんですよ』と
(業者に言われたんです)」

 そして、数日後、Aさんが注文した商品が届いた。
 Aさんが指定した名前や模様が彫刻されたインテリアガラスだ。
 翌月には、電話料金と一緒に売買代金の4万円を支払うことになるが、Aさんはそれまでの間、3万1,500円を
業者から借りたことになり、差額の8,500円は商品の代金という理屈だ。

 では、Aさんに届いた商品には、8,500円の価値はあるのだろうか?

 大阪市内で10年以上、ガラスの彫刻をしている工房で、あくまで写真だけでの判断という条件で、Aさんの購入した
商品を見てもらった。

 
 「そんなに深く彫ってないように見受けられますけど、1,000円か1,500円くらいといったところじゃないかと思います」 

 8,500円でなく、1,500円程度の価値しかないという。
 これが本当なら、業者はおよそ7,000円の手数料を金利として得ていることになる。
 Aさんの支払いは1か月半後であることから、年利で計算すれば140パーセ ントにのぼる可能性があり、法定金利を
 大きく超えている。
 これは、高利貸しと同じではないのか?
 「マル調」は、電話で業者に問い合わせることにした。

 
 「これは実質的には、貸金業ではないのですか?」
 
 「何のご用件ですか?」

 「スマートフォン」のキャリア決済による現金化。

 
 「これって、ヤミ金と一緒やなって」

 届いた商品の価値を推定すれば、年利140パーセントもの高金利となる。
 「マル調」は、以前、同じ様な商法を取材していた。

 
 「すみません、毎日放送なんですけどクレジットカードの現金化されてますよね?」
 
 「え?」
 
 「クレジットカードの現金化されてますよね?」
 
 「なにこれ?」

 クレジットカードを使った現金化だ。
 業者の手数料が高く、年利にすると200パーセント以上の超高金利となることから、実質的なヤミ金とも言われている。
 警察が摘発に乗り出し、先月も東京の業者が出資法違反の疑いで、逮捕されたばかりだ。

 その手口はこうだ。
 利用者がクレジットカードを使って、業者から商品を購入すると業者からは、形ばかりの商品と現金が届く。
 業者はカード会社に料金を請求し、後日、カード会社から本人に請求が回ってくる。
 その結果、利用者は高い金利を支払っていることになるが、今回のケースは、クレジットカードが「スマホ」になり、
 カード会社が「携帯電話会社」に変っただけで、やり方はほとんど変らない。

 貸金業に詳しい司法書士は、クレジットカードの場合と同じ手口だとしたうえで、子どもからお年寄りまで使う
 「スマホ」ならではの危険性を指摘する。

 <前田勝範司法書士>
 「クレジットカードを利用できない方でも、一定期間、携帯料金をきちっと払って継続している方なら、信用情報とかで 借り入れが出来ない方でも安易に利用ができてしまう、それが被害が拡大する恐れがあるかな、と思います」

 では、Aさんが利用した業者の見解はどうなのか?
  電話で問い合わせてみると、意外な答えが返ってきた。

 
  「いまでも、8割のキャッシュバックってやってるんですか?」
  
 「もうやってないです」
 
 「それは、なんでですか?」
 
 「もう、そういう場所がないから、出す場所が」
 
 「出す場所がないから?」
 
 「はい」
 
 「インターネットショッピングできる場所がない?」
 
 「もうないですね」
 「すみません、忙しいんで失礼します」

 業者は、「現金化は、今はもうしていない」といい、電話を切った。
 確認のため業者のサイトを開いてみると、確かに業者のネットショッピングは休止されていた。

 実は、Aさんが利用している「ソフトバンク」が事態を把握し、「公序良俗に反し、誠に遺憾な行為だ」として、
 業者との契約を解除していたのだ。

 一方、利用したAさん。
 この手口の危険性を、今でも感じるという。

 
 「携帯1つでお金にかえる、魔法の道具みたいに感じたんです。本当にお金困った人がこれを利用したら、
 ドツボにはまるなと完全に思いましたね」

 甘い言葉で利用を呼びかける、現金化業者。
 「スマホ」ならではの手軽さゆえに、安易に手を出さないよう注意が必要だ。