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派遣法改正案ー骨抜き修正は禍根残す/骨抜きの修正は疑問だ

2011-11-21 20:25:40 | Weblog

          派遣法改正案  

   骨抜き修正は禍根残す/骨抜きの修正は疑問だ 

【北海道新聞】ニュース > オピニオントップ > 社説 - 2011.11.20
派遣法改正案 骨抜きの修正は疑問だ(11月20日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/333019.html

 衆院で継続審議となっている労働者派遣法改正案について、民主党が自民、公明両党に配慮し、大幅な修正に応じる方針だ。
 製造業派遣や仕事のある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣の原則禁止を削除する方向だ。
 これらは改正案の柱である。

 当初は派遣労働者の待遇改善のため、大胆な規制強化に踏み込んだが、修正で中身は大幅に後退する。
 いったんは法案として具体化しておきながらの撤回である。その理由の説明とともに派遣労働者を守る手だてをきちんと整えてもらいたい。

 改正案は民主、社民、国民新の3党が連立政権を組んでいた昨年4月に衆院に提出された。
 これに対し、自民、公明両党が「国内雇用の縮小につながる」「中小企業への影響が大きい」などとして、大幅な規制強化に慎重姿勢を示していた。衆参のねじれもあって、野党の同意が得られなければ審議の再開は困難な状況だという。

 政府は「社会保障と税の一体改革」の一環として、有期で働く労働者の待遇改善などの法案を来年の通常国会に提出する。派遣法改正案の審議が進まないと、これらの法案提出に支障が出かねない。

 民主党は大幅な譲歩によって今の臨時国会で審議し、修正案の早期成立を目指すとしている。

 しかし、法改正の趣旨は派遣労働の規制強化を通じて、より安定的な働き方の実現を目指すものだったはずだ。これでは不安定な現状を追認することになりかねない。
 
2008年秋のリーマン・ショック後、製造業などで大量の派遣労働者の雇い止めが起き、社会問題化した。大手自動車会社は派遣労働を直接雇用の期間従業員に切り替えてきた。ただ国内の景気は
なお低迷しており、世界経済も欧州債務危機で先行きは不透明だ。大量の「派遣切り」が再現しないとは言い切れまい。

 東日本大震災直後の混乱や自粛ムードによる個人消費の低迷で、多くの非正規労働者が真っ先に解雇されたことを忘れてはならない。 派遣労働の規制強化を断念するのであれば、雇用や生活の安定を保証する方策が大事である。

 民主党は09年の衆院選マニフェストで、製造現場への派遣を原則禁止するなど雇用の安定を明記していた。政権公約と今回の修正の整合性について説明してほしい。
 
野田佳彦首相は「中間層の厚みを増す」との理念を掲げている。中間所得層を増やすには安定した仕事が欠かせない。膨らんだ非正規の割合を減らし、雇用の受け皿を増やす具体策を早急に示すべきだ。

【中日新聞】社説・コラム > 社説一覧 - 2011.11.19
派遣法改正案 骨抜き修正は禍根残す
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011111902000005.html

 懸案だった労働者派遣法改正案が大幅に修正され今国会で成立する可能性が強まった。社会問題化した“派遣切り”再現を防ぐ規制策が骨抜きになりかねない。労働者保護の原点に立ち戻るべきだ。
 
2年前の政権交代を機に民主、社民、国民新3党の合意でまとまった労働者派遣法改正案は、ねじれ国会の影響でずっと継続審議となっていた。民主党はこのほど自民、公明両党と改正案の修正で合意した。
 
主な修正内容は、現行改正案で原則禁止とした「登録型派遣」と「製造業派遣」の規定を削除するほか、偽装請負など違法派遣があった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し込んだとみなす「みなし雇用制度」の導入を、3年後に延期するとしている。

 また短期(日雇い)派遣の禁止では、期間を2カ月以内から1カ月以内に緩和する。
 一方、派遣会社に対しては派遣料金と派遣労働者の賃金との差額の比率(マージン率)を明らかにすることなど、情報公開の義務付けを残すことになった。

 修正内容には驚くばかりだ。これでは現行案が目指す派遣労働者の処遇改善は到底困難だ。
 派遣法改正案の成立を急ぐのは来年の通常国会で、社会保障と税の一体改革の一環として契約社員などの待遇改善をはかる「有期雇用法制」や、厚生年金の支給開始年齢引き上げにともなう高年齢者雇用安定法の改正など、重要法案がめじろ押しのためという。

だが現行案は雇用政策を転換させる一里塚となるものだ。労働者派遣法は1985年「派遣事業の適正な運営確保と派遣労働者の就業条件整備」を目的に制定されたが、相次いで緩和された結果、労働者保護が薄れてしまった。

 派遣という働き方が問われたのはリーマン・ショックの時だ。失職したとたん仕事も住居も失う。全国に出現した“年越し派遣村”は大問題となった。不安定雇用の削減・解消が大切なのだ。

 派遣会社の中には禁止業務である建設現場に労働者を送り込んだり、データ装備費と称して多額の手数料を徴収するなど違法・不法行為が目立っていた。

 製造業への派遣禁止は残すべきだ。すでに自動車など主要企業は派遣から期間工採用など直接雇用への転換が進んでいる。

連合が修正案を容認する姿勢を打ちだしたことは残念だ。これでは「すべての労働者の処遇改善」のスローガンが色褪(あ)せる。