いっちょー会

被害者の、被害者による、被害者のための交流会

第30回 全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会in岐阜

2010-12-09 15:03:25 | Weblog

   第30回 全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会in岐阜 
                   参 加 報 告 書           大阪いちょうの会幹事 世良 朋孝  

<1日目(11月27日)> 

1.全体集会   
  今回のテ-マが、「だれもが希望を持てる社会へ~多重債務・貧困・自殺をなくそう~」となっており、多重債務問題だけではなく、年々「貧困」「自殺」など、生活再建を阻害する要因にメスを入れようとする姿勢が、明確になってきた。

  しかし、その分、私たち多重債務被害者にとって、内容が複雑になりすぎ、もっとシンプルな集会に、と思うのは、私だけではなかったように感じた。(いきなり被害者活動を阻害するような感想で申し訳ないが、活動そのものを否定しているわけではないので、誤解なきように。)

  宇都宮先生の講演「生きがい、希望をもてる社会へ」は、日弁連の会長に就任され、初めての  交流集会となった宇都宮先生の生き様を紹介されつつ、昨今の被害状況、被害の要因となる貧困、  最悪の事態となる自死問題など、貸金業法の完全施行後も続く、さまざまな障害に対し、立場を超えた連携が必要であることが、改めて理解できた。

 2.分科会   
   今回、第18分科会「問題弁護士・司法書士などの「貧困」な債務整理を問う」に参加。これは、最近の相談件数の減少の要因の一つである「広告司法事務所問題」を、一般人の立場からどう考えていけばいいのか。また、被害の実態を具体的に知り、私たち被害者団体の役割の重要性を改めて知ること。これが主な参加理由である。

  具体的な報告内容では、「具体的な解決手段を行政から知らされていないこと」「そのために広告を見て相談をせざるをえないこと」「報酬内容についての告知がなされないこと」「そのために本来解決できるものが解決できない状態になってしまっていること」など、問題点が多く出された。 地方の被害実態の報告では、分業による「非弁行為」まがいの実態、地元で知られたくないために、全国ネットの広告を出している法律事務所への相談をし、被害になっている実態も明らかになった。

  関西に住んでいる人間からすると、当初から「広告を出す ⇒ 高額な広告の原資は被害者の手数料から ⇒ 高額な手数料 ⇒ 相談に逡巡」となり、振り込め詐欺被害同様、他地域に比較して、相談被害は少ないと想定される。が、いちょうの会でもこういった被害に遭った方が再度相談にいらっしゃるケースもあり、一概には言えない。要するに、「被害者視点の被害救済」ができていないことが、こういった問題を引き起こす要因となっている。すべての解決は、被害者視点、という基本的考え方さえしっかりしていれば、被害を防ぐことができるし、さらなる解決が図ることができるのではないだろうか。

  (ちなみに「新しい弁護士のカタチを提案」という事務所は、要するに「弁護士は表に出ないで、通常の案件処理は事務担当でやるぞ」という意思表示なので、即刻排除すべし。)   もう一つ、テレビや新聞の取材の影響からか、運営側、参加者側とも、非常に内容に深みがなかったのが、少し気になった。

3.懇親会   
  今年の懇親会は、よかったと思う。進行を中川・西川コンビで行えたことも要因だったか。(ただ、食事が少し少な目だったように思う。高山ラーメンの行列は何とかならなかったのか。)   今年は、いつも以上に、他の団体の皆様との交流が思いのほか図れ、本当に良かった。我々   被害者の立場から、この機会は、いちょうだけで固まらず、絶対に幅広く交流すべき。

<2日目(11月28日)> 

1.パネルディスカッション   

  「貧困・自殺・多重債務をなくすために、今、私たちがなすべきこと」とのテーマで、パネルディスカッションが行われた。新里先生がコーディネータ、福島瑞穂・前消費者担当大臣、湯浅誠・反貧困ネットワーク代表、清水康之・ライフリンク代表の各氏が、それぞれの立場で、これからなすべきことを述べられていた。 

  上記の3つは、いずれも大切なことであるが、我々被害者の立場からすると、多重債務の要因はさまざまで、決して貧困だけではなく、その他の要因もある。その点からの話し合いが必要ではないかと感じた。申し訳ないが、正直、期待とは少し異なる内容であった。   もっと、多重債務問題に絞り込んで、ディスカッションを進めることも重要ではないか。   (もっとも、自死問題は、多重債務と切っても切れない関係だが)

 2.分科会報告    

   各分科会の報告が行われた。すべての分科会報告がない状態で、もう少し時間配分を考えて   ほしかった。  

 3.閉会式    

   昨年は熱い閉会式であったが、今年は、非常に落ち着いた閉会式であった。  

 4.最後に    

   今回、滋賀小倉に続き、3度目の全国集会の参加となった。毎回思うことだが、多重債務問題を取り巻く環境が、社会情勢の変化とともに、変わってきていることを実感している。   特に今年は、貸金業法の完全施行後の大きな課題となっている、貧困・自死をテーマのひとつとされていること。これが印象的であった。それに引き替え、運営の中心がまだまだ弁護士・司法書士中心かな、とも感じた。私たちは被害者・専門家・相談員という枠を超えて   連携し、厳しい社会情勢の中、これ以上多重債務被害を生みださない社会を実現するため、   情報交換と行動を起こしていかなければならないと感じた、そんな2日間であった。   これから、主にいっちょー会を中心にした活動を通じて、多重債務被害を受けた方の支援と、   ケアを行う上で、今回学んだことを常に念頭に置いて、活動していきたい。   この機会を与えてくださった皆様に、本当に感謝している。