「そんなの関係ねえ」 イラク派遣に関する高裁違憲判断で空幕長
◆航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長が、4月18日の定例記者会見したなかで、名古屋高裁が「航空自衛隊のイラク空輸活動は違憲」と判決した影響について、「そんなの関係ねえ」と発言したという。自衛隊創設以来、自衛官のなかにある「本音」を吐露したものとはいえ、「憲法尊重擁護義務」を課せられている公務員(憲法第99条)という立場を無視するような軽率な発言としてその責任を追及せざるを得ない。しかも、「オンレコ」である公式の記者会見の場で「司法判断」に挑戦するかのような発言を聞き逃すこともできない。
防衛庁が防衛省に昇格したのに伴って自衛隊の地位が上がったかのような錯覚に自衛官が囚われているとしたなら、由々しき事態である。イージス艦「あたご」が漁船を沈没させ、父子2人の犠牲者を出したとき、国民世論からは、「海上自衛隊はそこのけ、そこのけイージス艦が通るというような傲慢な振る舞いをするようになったのか」と批判の声が上がったけれど、今度は、航空自衛隊トップが違憲判決を無視するような発言を堂々とするようになったのかという批判の声が、すでにあちこちから沸きあがってきている。
◆米国ブッシュ大統領が平成15年3月19日、イラク戦争を命令し、米英軍が空爆を開始してからもう5年を過ぎ、米兵だけでも4000人の戦死者を出しているというのに、未だに終戦に至っていない。イラク国内でのテロ事件は跡を立たず、かつてのベトナム以上に泥沼化している。イラク国内での濃淡はあるにしても、イラク全土が戦場であることには変わりはない。名古屋高裁は、この意味で航空自衛隊の空輸活動を「戦場での活動」と認定し、違憲と判じたのであろう。憲法裁判所の機能を与えられているにもかかわらず、とかく憲法判断を避けたがってきたのは、最高裁判所である。その下で、高裁や地裁が憲法判断を下すのは、裁判官にとって相当勇気のいることである。
◆自衛隊のイラク派遣については、当初から「憲法違反」の疑いが持たれてきた。それを小泉純一郎元首相は「戦闘地域」と「非戦闘地域」という奇妙奇天烈な用語を持ち出して、「非戦闘地域への派遣」を「合憲化」しようとしてきた。しかし、米国や英国、これに協力してきた多国籍軍は、「イラク全土」を対象に戦争を仕掛け、遂行してきたことは、明々白々であった。だから、小泉元首相の定義は、屁理屈の謗りは免れなかった。
名古屋高裁は、イラク戦争の実態を素直に直視して「違憲」と判じたにすぎなかったとも受け取れる。おそらく、現地に派遣されている空輸部隊員の多くは、どこから弾が飛んでくるかも知れないという恐怖感に苛まれながら、与えられた使命を果たそうと努めているはずである。それは何にも増して「ここは戦場だからだ」という認識を持っているからである。いまは撤退してきているけれど、サマワに派遣された陸上自衛隊員のなかには、戦争の恐怖感から自殺者や精神異常者が出ているという話もある。防衛省は、その詳細を明らかにしていない。
◆田母神俊雄航空幕僚長は、たとえ意に反する違憲判決が下されたとしても、司法が下した判決に対して、憲法尊重擁護義務者の一人として「敬意」を示すべきであった。それを敵意を剥き出しにして真っ向から反発するように「そんなの関係ねえ」と発言してしまった以上、公務員として不適格者として、今の地位に止まることは許されない。自衛隊最高指揮官である福田康夫首相は、シビリアンコントロールを正常に行使する立場から、田母神俊雄航空幕僚長を即クビにすべきである。
板垣英憲マスコミ事務所

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◆航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長が、4月18日の定例記者会見したなかで、名古屋高裁が「航空自衛隊のイラク空輸活動は違憲」と判決した影響について、「そんなの関係ねえ」と発言したという。自衛隊創設以来、自衛官のなかにある「本音」を吐露したものとはいえ、「憲法尊重擁護義務」を課せられている公務員(憲法第99条)という立場を無視するような軽率な発言としてその責任を追及せざるを得ない。しかも、「オンレコ」である公式の記者会見の場で「司法判断」に挑戦するかのような発言を聞き逃すこともできない。
防衛庁が防衛省に昇格したのに伴って自衛隊の地位が上がったかのような錯覚に自衛官が囚われているとしたなら、由々しき事態である。イージス艦「あたご」が漁船を沈没させ、父子2人の犠牲者を出したとき、国民世論からは、「海上自衛隊はそこのけ、そこのけイージス艦が通るというような傲慢な振る舞いをするようになったのか」と批判の声が上がったけれど、今度は、航空自衛隊トップが違憲判決を無視するような発言を堂々とするようになったのかという批判の声が、すでにあちこちから沸きあがってきている。
◆米国ブッシュ大統領が平成15年3月19日、イラク戦争を命令し、米英軍が空爆を開始してからもう5年を過ぎ、米兵だけでも4000人の戦死者を出しているというのに、未だに終戦に至っていない。イラク国内でのテロ事件は跡を立たず、かつてのベトナム以上に泥沼化している。イラク国内での濃淡はあるにしても、イラク全土が戦場であることには変わりはない。名古屋高裁は、この意味で航空自衛隊の空輸活動を「戦場での活動」と認定し、違憲と判じたのであろう。憲法裁判所の機能を与えられているにもかかわらず、とかく憲法判断を避けたがってきたのは、最高裁判所である。その下で、高裁や地裁が憲法判断を下すのは、裁判官にとって相当勇気のいることである。
◆自衛隊のイラク派遣については、当初から「憲法違反」の疑いが持たれてきた。それを小泉純一郎元首相は「戦闘地域」と「非戦闘地域」という奇妙奇天烈な用語を持ち出して、「非戦闘地域への派遣」を「合憲化」しようとしてきた。しかし、米国や英国、これに協力してきた多国籍軍は、「イラク全土」を対象に戦争を仕掛け、遂行してきたことは、明々白々であった。だから、小泉元首相の定義は、屁理屈の謗りは免れなかった。
名古屋高裁は、イラク戦争の実態を素直に直視して「違憲」と判じたにすぎなかったとも受け取れる。おそらく、現地に派遣されている空輸部隊員の多くは、どこから弾が飛んでくるかも知れないという恐怖感に苛まれながら、与えられた使命を果たそうと努めているはずである。それは何にも増して「ここは戦場だからだ」という認識を持っているからである。いまは撤退してきているけれど、サマワに派遣された陸上自衛隊員のなかには、戦争の恐怖感から自殺者や精神異常者が出ているという話もある。防衛省は、その詳細を明らかにしていない。
◆田母神俊雄航空幕僚長は、たとえ意に反する違憲判決が下されたとしても、司法が下した判決に対して、憲法尊重擁護義務者の一人として「敬意」を示すべきであった。それを敵意を剥き出しにして真っ向から反発するように「そんなの関係ねえ」と発言してしまった以上、公務員として不適格者として、今の地位に止まることは許されない。自衛隊最高指揮官である福田康夫首相は、シビリアンコントロールを正常に行使する立場から、田母神俊雄航空幕僚長を即クビにすべきである。
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