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漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「老ロウ」<おいる>「姥ボ」「蛯えび」と「孝コウ」「酵コウ」「哮コウ」 

2023年10月26日 | 漢字の音符
  増補しました。
 ロウ・おいる・ふける  耂部おいかんむり

解字 甲骨文字でわかるように長髪の人が杖をついている形の象形。長髪と杖は年長者の象徴であり老人を表わしている[甲骨文字小字典]。現代字は「耂+ヒ」の形だが、ヒは杖と手の一部が変化したもの。
意味 (1)おいる(老いる)。ふける(老ける)。「老人ロウジン」「老化ロウカ」 (2)経験をつむ。「老練ロウレン」「老獪ロウカイ」 (3)年輩で徳の高い人。「長老チョウロウ」「老師ロウシ」(年とった僧。また、先生)
参考 ロウは、部首「老(耂)ろう・おいかんむり」になる。上部に老または略体の耂が付き、年をとる意を表す。老(耂)部の主なものは以下のとおり。
常用漢字 3字 
 ロウ・おいる(耂を含む会意)
 コウ(耂+音符「丂コウ」)
 シャ・もの(耂を含む会意)
常用漢字以外
 モウ・ほうける(老+音符「毛モウ」)
 キ・シ・おいる・たしなむ(耂+音符「旨」)
  このうち、老ロウ・耆・考コウ・者シャ、は音符となる。

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 「おいる」
(老・姥・鮱) 
  老いて「腰がまがる」(蛯)
音の変化  ロウ:老  ボ:姥  えび:蛯  おおぼら:鮱

おいる
 ボ・モ・うば  女部
解字 「女(おんな)+老(おいる)」の会意。年をとった女性。
意味 うば(姥)。(1)年をとった女性。老婆。おうな。「姥桜うばざくら」(年をとっても、なまめかしさの残っている女性)「姥捨山おばすてやま・うばすてやま」(長野県北部にある月見の名所で知られる山。姥捨伝説が由来になっている) (2)老女の顔をかたどった能面。「尉じょうと姥うば」(能の衣装をつけた老夫婦が、熊手とほうきで松の落ち葉をかき寄せる姿。謡曲の「高砂」に基づく)
<国字> おおぼら  魚部
解字 「魚(さかな)+老(おいる⇒十分に成長する)」の会意。ボラ(ボラ科の海水魚)の十分に成長したもの。
意味 おおぼら(鮱)。ボラ科の海水魚「鯔ぼら」が成長するにつれて名前が変わってゆくが、その最後の段階の名称。オオボラは高知県で使われるという。高知県では、「こぼら(子鯔)」「いな(鯔)」「ぼら(鯔)」「おおぼら(鮱)」と変化する。

腰がまがる
<国字> えび  虫部
解字 「虫(小動物)+老(腰のまがった)」の会意。老人の腰のまがったかたちに見えるエビ。
意味 (1)えび(蛯)。海老・蝦とも書く。水中にすみ、足が十本ある甲殻類の動物。 (2)姓。「蛯原えびはら」「蛯名えびな


     コウ <子が親を大切にする>
 コウ  子部            

解字 「老の略体(老人)+子(子ども)」の会意。老は甲骨文字で老人が杖をついている形。孝は老人の杖の代わりに子を描いており、杖に代わって老人をたすける形。子どもが老人(親)を大切にすること。
意味 (1)子が心から親を大切にする。親につかえる。「孝行コウコウ」「孝心コウシン」「孝養コウヨウ」(孝行して親を養う) (2)祖先を大切にする。「孝孫コウソン」(先祖の祭りをする直系の子孫)

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 子どもが親を「たすける」(孝・酵) 
 「コウの音」(哮)
音の変化  コウ:孝・酵・哮

たすける
 コウ  酉部さけのとり
解字 「酉(酒つぼ=酒)+孝(たすける)」の会意形声。酒が醸(かも)される(発酵)のをたすけるもの。こうじ(麹)。こうじかび。
意味 (1)酒を造るときのもとになるもの。こうじかび。「酵母菌コウボキン」(糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する発酵作用をもつ菌類)「酵素コウソ」(体内で起こる化学反応の触媒となるたんぱく質) (2)酒がかもされてゆくこと。「発酵ハッコウ

コウの音
 コウ・ほえる・たける  口部
解字 「口(くち)+孝(コウ)」の形声。コウは、吽コウ・吼コウなどと同じく、けもののほえる声をいう。
意味 (1)ほえる(哮える)。たける(哮る)。「咆哮ホウコウ」(獣などが、たけりさけぶ) (2)「哮喘コウゼン」とは、ほえるように咳(せ)き上げる喘息(ぜんそく)のこと。
<紫色は常用漢字>

<関連音符> 
 コウ・かんがえる  耂部おいかんむり          

解字 「老の略体+丂(コウ)」の形声で、コウという発音の老人の意。老人は腰が曲がるので、体がまがる意で音符イメージとして用いられる。しかし、コウの発音から攷コウ・かんがえる。校コウ・かんがえる(校比=考え比べる)、くらべて調べる(校書・校訂)意味を持ち、むしろ、こちらの意味が主流となっている。
意味 (1)おいる(老)。亡父。「先考センコウ」(亡くなった父) (2)かんがえる(考える)。「思考シコウ」「長考チョウコウ」 (3)調べる。「考究コウキュウ」「論考ロンコウ」「考古学コウコガク」 (4)比較検討する。試験。「考査コウサ
イメージ   
 腰のまがった老人の意から「体がまがる」(考・拷・烤・栲)
音の変化  コウ:考・烤・栲  ゴウ:拷
音符「考コウ」

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