寧 ネイ・デイ・ニョウ・やすい・むしろ・いずくんぞ 宀部


上が寧、下が皿
解字 甲骨文は、建物の中で丁字形の台(時代により丅(示の略体)や丂コウに変化する)の上に、液体をいれたり食物を盛る皿を描いた形。容器(皿)の中のものが欠けることがないよう祈る祭祀の形。日照りがなく作物が実り、やすらかな生活ができるようにと祈るので、やすらかの意となる。金文から皿の上に心がついた「宀(建物)+心+皿+丁」の形となり、心がやすらかな意を表す。意味は「平安・安定」(簡明金文詞典)。旧字までこの形が続いたが新字体は、旧字の皿 ⇒ 罒に変化した寧になった。この変化は画数が減るわけでもなく無意味であった。寧ネイ以外の音符字は罒が皿になるなんて覚えるだけも大変だ。おまけに旧字もネットに出ない(旧字を入れても新字体に変換されてしまう)。新字体を簡素化したつもりで字体が表す意味も分かりにくくなり、音符が表す文字の統一性も失った典型的な例といえるだろう。
なお寧には、ネイ(漢音・呉音)・デイ(漢音)・ニョウ(呉音)があり、音符字にはデイが変化したドウがある。
覚え方 浮(ウ)くこころ(心)よこめ(罒)使って、てい(丁)寧に <彼女とデート>
意味 (1)やすらか。やすい(寧い)。やすんじる(寧んじる)。「安寧アンネイ」(おだやかで平和)「寧日ネイジツ」(やすらかな日) (2)ねんごろ。「丁寧テイネイ」(手厚く礼儀ただしい) (3)むしろ(寧ろ)。比較・選択の意。 (4)いずくんぞ(寧んぞ)。なんぞ。疑問・反語の意。 (5)地名。「寧波ニンポー」(浙江省の沿海部の都市。古くから海上交通の中心地で遣唐使もここから上陸した)
イメージ
「やすらか」(寧・嚀)
「形声文字」(獰・檸・濘)
音の変化 ネイ:寧・嚀・檸・濘 ドウ:獰
やすらか
嚀 ネイ・ニョウ・ねんごろ 口部
解字 「口(いう)+寧の旧字(意味②のねんごろ)」の会意形声で、ねんごろに言うこと。
意味 ねんごろ(嚀ろ)。「叮嚀テイネイ」に使われる字。叮嚀とは、念入りに頼むこと。日本では、こまかく気を配ってすること。
形声字
獰 ドウ 犭部
解字 「犭(いぬ)+寧の旧字(ネイ・デイ⇒ドウ)」の形声。古い字書には見えず、新しい字。ドウは同音の擰ドウに通じる。擰は、日本であまり使われないが中国では、①手でひねる・ねじる、②強情な・つむじ曲がり、の意味があり、犭(いぬ)が強情でつむじ曲がりなこと。わるい・にくにくしい意となる。[字統]によると「元代の郝経カクケイの『泰山の賦』に獰悪ドウアク(荒々しく凶悪)がある」とする。「獰猛ドウモウ」とともによく用いられる。
意味 わるい。にくにくしい。「獰猛ドウモウ」(たけだけしい。残忍で凶暴)「獰悪ドウアク」(荒々しく凶悪)
檸 ネイ・ドウ 木部
解字 「木(き)+寧の旧字(ネイ)」の形声。ネイという発音の木。

レモン(「わかさの秘密」の写真より)
意味 「檸檬ネイモウ・れもん」に使われる字。(1)「檸檬ネイモウ」(現代中国語発音はニンモン)とは、lemonを音訳した字で、ミカン科の木の名。果実は黄色で芳香があり、果汁はジュースなどに用いられる。現在の日本では「レモン」と表記される。「檸檬水れもんすい」(2)文学作品の名。「檸檬」(れもん。梶井基次郎の短編小説。梶井の代表的作品。大正15年に雑誌に発表、昭和6年、短編集として出版)
濘 ネイ・デイ・ニョウ・ぬかる 氵部
解字 「氵(みず)+寧の旧字(デイ・ネイ)」の形成。デイは泥デイ・ナイ(どろ)に通じ、氵(みず)を含み、土が泥のようになった状態を言う。発音はネイが主に用いられる。
意味 ぬかる(濘る)。「泥濘デイネイ」(ぬかるみ)「濘滑ネイカツ」(ぬめる)「濘滞ネイタイ」(ぬかるみ)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。


上が寧、下が皿
解字 甲骨文は、建物の中で丁字形の台(時代により丅(示の略体)や丂コウに変化する)の上に、液体をいれたり食物を盛る皿を描いた形。容器(皿)の中のものが欠けることがないよう祈る祭祀の形。日照りがなく作物が実り、やすらかな生活ができるようにと祈るので、やすらかの意となる。金文から皿の上に心がついた「宀(建物)+心+皿+丁」の形となり、心がやすらかな意を表す。意味は「平安・安定」(簡明金文詞典)。旧字までこの形が続いたが新字体は、旧字の皿 ⇒ 罒に変化した寧になった。この変化は画数が減るわけでもなく無意味であった。寧ネイ以外の音符字は罒が皿になるなんて覚えるだけも大変だ。おまけに旧字もネットに出ない(旧字を入れても新字体に変換されてしまう)。新字体を簡素化したつもりで字体が表す意味も分かりにくくなり、音符が表す文字の統一性も失った典型的な例といえるだろう。
なお寧には、ネイ(漢音・呉音)・デイ(漢音)・ニョウ(呉音)があり、音符字にはデイが変化したドウがある。
覚え方 浮(ウ)くこころ(心)よこめ(罒)使って、てい(丁)寧に <彼女とデート>
意味 (1)やすらか。やすい(寧い)。やすんじる(寧んじる)。「安寧アンネイ」(おだやかで平和)「寧日ネイジツ」(やすらかな日) (2)ねんごろ。「丁寧テイネイ」(手厚く礼儀ただしい) (3)むしろ(寧ろ)。比較・選択の意。 (4)いずくんぞ(寧んぞ)。なんぞ。疑問・反語の意。 (5)地名。「寧波ニンポー」(浙江省の沿海部の都市。古くから海上交通の中心地で遣唐使もここから上陸した)
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「やすらか」(寧・嚀)
「形声文字」(獰・檸・濘)
音の変化 ネイ:寧・嚀・檸・濘 ドウ:獰
やすらか
嚀 ネイ・ニョウ・ねんごろ 口部
解字 「口(いう)+寧の旧字(意味②のねんごろ)」の会意形声で、ねんごろに言うこと。
意味 ねんごろ(嚀ろ)。「叮嚀テイネイ」に使われる字。叮嚀とは、念入りに頼むこと。日本では、こまかく気を配ってすること。
形声字
獰 ドウ 犭部
解字 「犭(いぬ)+寧の旧字(ネイ・デイ⇒ドウ)」の形声。古い字書には見えず、新しい字。ドウは同音の擰ドウに通じる。擰は、日本であまり使われないが中国では、①手でひねる・ねじる、②強情な・つむじ曲がり、の意味があり、犭(いぬ)が強情でつむじ曲がりなこと。わるい・にくにくしい意となる。[字統]によると「元代の郝経カクケイの『泰山の賦』に獰悪ドウアク(荒々しく凶悪)がある」とする。「獰猛ドウモウ」とともによく用いられる。
意味 わるい。にくにくしい。「獰猛ドウモウ」(たけだけしい。残忍で凶暴)「獰悪ドウアク」(荒々しく凶悪)
檸 ネイ・ドウ 木部
解字 「木(き)+寧の旧字(ネイ)」の形声。ネイという発音の木。

レモン(「わかさの秘密」の写真より)
意味 「檸檬ネイモウ・れもん」に使われる字。(1)「檸檬ネイモウ」(現代中国語発音はニンモン)とは、lemonを音訳した字で、ミカン科の木の名。果実は黄色で芳香があり、果汁はジュースなどに用いられる。現在の日本では「レモン」と表記される。「檸檬水れもんすい」(2)文学作品の名。「檸檬」(れもん。梶井基次郎の短編小説。梶井の代表的作品。大正15年に雑誌に発表、昭和6年、短編集として出版)
濘 ネイ・デイ・ニョウ・ぬかる 氵部
解字 「氵(みず)+寧の旧字(デイ・ネイ)」の形成。デイは泥デイ・ナイ(どろ)に通じ、氵(みず)を含み、土が泥のようになった状態を言う。発音はネイが主に用いられる。
意味 ぬかる(濘る)。「泥濘デイネイ」(ぬかるみ)「濘滑ネイカツ」(ぬめる)「濘滞ネイタイ」(ぬかるみ)
<紫色は常用漢字>
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