阿 ア・くま(まがる・おくまる) 阿 ア・くま・おもねる 阝部こざと ā・ē
上は阿、下は可
石斧をつけた曲がった木の枝(レプリカ) 解字 「阝(おか)+可(カ⇒ア)」の形声。可カは石斧をつけた曲がった木の枝の形で、まがるイメージがある。それに阝(おか)がついた阿アは、おかの曲がったところ。「くま(まがる・おくまる)」の意をあらわす。転じて、自分をまげておもねる意ともなる。[説文解字]は「大陵(大きな陵(おか)也(なり)。一に曰(いわ)く曲る阝(おか)也(なり)」とする。その他、接頭語や梵語や外国語の音訳字などに用いる。
意味 (1)くま(阿)。山や川の曲がったところ。奥まってかくれた所。「山阿サンア」(山のくま。山の入りくんだ所)「水阿スイア」(川の曲がって奥まったところ)「四阿シア」(屋根に四つの曲がりがある[あずまや]。亭ちん) 四阿シア(あずまや)(ウィキペディアより) (2)おもねる(阿る)。へつらう。自分の気持ちを曲げて従う。「阿諛アユ」(おもねり、へつらう)「曲学阿世キョクガクアセイ」(学説を曲げて世におもねる) (3)人を親しみ呼ぶときに、つける接頭語。「阿母アボ」(おかあさん)「阿国おくに」(歌舞伎の祖)「阿呆アホウ」(おろか。たわけ)(4)梵語や外国語の音訳字。「阿弥陀アミダ」(人々を極楽に導く仏)「阿吽アウン」(吐く息と吸う息)「阿闍梨アジャリ」(徳の高い僧)(5)地名・国名など。「阿波あわ」(旧国名。今の徳島県)「阿蘇山アソサン」(熊本県東北部にある活火山)「阿蘭陀オランダ」(和蘭・和蘭陀とも書く)(6)姓。人名。「阿部あべ」「阿倍あべ」「阿倍仲麻呂あべのなかまろ」(奈良時代の入唐留学生)
イメージ
「くま」(阿・痾)
「形声字」(婀)
音の変化 ア:阿・痾・婀
くま
痾 ア・やまい 疒部 kē
解字 「疒(やまい)+阿(くま。まがって奧まったところ)」の会意形声。病気が奧まったところに入りこんだように治らないこと。
意味 やまい(痾)。こじれて長びく病気。「宿痾シュクア」(長い間治らないやまい)
形声字
婀 ア・たおやか 女部 ē 解字 「女(おんな)+阿(ア)」の形声。女性の姿がしなやかで美しいさまを婀アという。 江戸の婀娜アダな女たち 『守貞漫稿 』より
意味 たおやか(婀やか)。なまめかしく美しい。「婀娜アダ」(美しくしとやか。女性の色っぽいさま。娜ダもしなやかなさま)「婀娜アダな姿の洗い髪」(風呂上がりの女の、色っぽい姿の洗い髪)「婀嬌アキョウ」(①なよなよしてなまめかしい。美人。②漢・武帝の妻の幼名)
<関連音符>
可 カ 口部 kě・kè
解字 「口(くち)+丁カ(斧の柄にするまがった木)」の形声。仮借カシャ(当て字)して、許可、可能の意になるが、丁カ(曲がった木の柄)から「まがる」イメージがある。音符「可カ」を参照。
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