封 ホウ・フウ・ほうじる・ふうじる 寸部 fēng
解字 甲骨文第一字は、土盛りに植物を植えた形。第二字は土盛りが略体になった形。当時は境界に植物を植えたため領域の意味となり、領域・くに(地方勢力)などの意で使われた[甲骨文字辞典]。金文から「植物(若木)+土(つち)+又(て)」 となり、若木の苗を、盛った土に手で植える形。領土を象徴する土盛りの上に苗木を植えて、領土を諸侯に与える儀式を行うこと。領土が定まると、境界を厳重に管理するので、封じる・とじる意となる。篆文は、又⇒寸に変わり、現代字は、「土+土+寸」の形に変化した。
なお、封の中の「圭」は、玉圭ギョクケイ(古代中国で帝王が諸侯に与える先端の尖った玉の板)の圭ケイと同じ形だが、成り立ちが異なる字である。
意味 Ⅰ:ホウの発音。①ほうずる(封ずる)。諸侯に領地を与えてその支配者にすること。「封建ホウケン」(君主が封土を分け、諸侯を建てて領地を治めさせること)「封建制度ホウケンセイド」(天子の下に諸侯が封土を領有し、諸侯が全権をもつ国家制度。⇔郡県制度(全国に郡県を置き、中央政府が地方官を派遣して治める中央集権的な国家制度)
「冊封サクホウ」(冊書[皇帝の文書]により近隣諸国の土地を皇帝が封じた形にする名目的な君臣関係)「封域ホウイキ」(領地の境。また、領地)「封君ホウクン」(諸侯)
Ⅱ:フウの音。②ふうじる(封じる)。とじる。とじこめる。「封鎖フウサ」「封書フウショ」「封印フウイン」
イメージ
「ほうずる」(封・邦)
「形声字」(幫)
音の変化 ホウ・フウ:封 ホウ:邦・幫(幇)
ほうずる
邦 ホウ・くに 阝部おおざと bāng
解字 金文は、封の左辺と同じ「若木+土」に、邑(諸侯の領地)がついた形。領土を象徴する土盛りの上の苗木は領土を諸侯に与える儀式を表す。すなわち、封と同じ構造の字で、それに邑(諸侯の領地)がついた邦は、天子が諸侯にあたえた領土を表す。篆文は左辺が丰ホウに変化し、現代字で右辺が阝に変化した邦になった。意味は、当初の「諸侯の領土」から、のちに、より大きな領土をもつ「くに」の意味になった。
現在字形からの解字は、「丰ホウ+阝(諸侯の領地)」の形声。丰ホウは封ホウ(封ずる。領土を与える)に通じ、封じられた領土の意となる。音符は丰ホウだが、金文の字形との関係で、ここに収録した。
意味 くに(邦)。(=国)。諸侯の領地。みやこ。「邦人ホウジン」(①その国の人。②日本人)「異邦イホウ」(異国)「邦土ホウド」(国土。領土)
形声字
幫[幇] ホウ・たすける 巾部 bāng
解字 「帛(しろぎぬ)+封(ホウ)」の形声。宋代の韻書[集韻]は「履(はきもの)の邊(辺)を治す也(なり)」とし、履物の縁をなおす帛(しろぎぬ)でなおす意とする。履は写真で分かるように浅い靴のような履物で周囲を布で覆って装飾してある。この履物の周囲を帛(絹)で補修する意。転じて、たすける意となり、さらに朋ホウ(とも)に通じ、なかま・なかまをたすける意となった。帛⇒巾になった新字体の幇も通用する。
宋代の履リ(中国ネット「履・古代」から)
意味 (1)履(くつ)の側面をつくろう布。また、つくろう。(2)たすける(幇ける)。力をそえる。「幇助ホウジョ」(①力を加えてたすける。②[国](他人の犯罪行為をたすける)(3)なかま。くみ。「幇党ホウトウ」(なかま)(4)間をとりもつ。「幫間ホウカン」(①双方の間をとりもつ者。②酒席の取り持ちを専業とする者、たいこもち)
<紫色は常用漢字>
参考音符
音符「圭ケイ」へ
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文第一字は、土盛りに植物を植えた形。第二字は土盛りが略体になった形。当時は境界に植物を植えたため領域の意味となり、領域・くに(地方勢力)などの意で使われた[甲骨文字辞典]。金文から「植物(若木)+土(つち)+又(て)」 となり、若木の苗を、盛った土に手で植える形。領土を象徴する土盛りの上に苗木を植えて、領土を諸侯に与える儀式を行うこと。領土が定まると、境界を厳重に管理するので、封じる・とじる意となる。篆文は、又⇒寸に変わり、現代字は、「土+土+寸」の形に変化した。
なお、封の中の「圭」は、玉圭ギョクケイ(古代中国で帝王が諸侯に与える先端の尖った玉の板)の圭ケイと同じ形だが、成り立ちが異なる字である。
意味 Ⅰ:ホウの発音。①ほうずる(封ずる)。諸侯に領地を与えてその支配者にすること。「封建ホウケン」(君主が封土を分け、諸侯を建てて領地を治めさせること)「封建制度ホウケンセイド」(天子の下に諸侯が封土を領有し、諸侯が全権をもつ国家制度。⇔郡県制度(全国に郡県を置き、中央政府が地方官を派遣して治める中央集権的な国家制度)
「冊封サクホウ」(冊書[皇帝の文書]により近隣諸国の土地を皇帝が封じた形にする名目的な君臣関係)「封域ホウイキ」(領地の境。また、領地)「封君ホウクン」(諸侯)
Ⅱ:フウの音。②ふうじる(封じる)。とじる。とじこめる。「封鎖フウサ」「封書フウショ」「封印フウイン」
イメージ
「ほうずる」(封・邦)
「形声字」(幫)
音の変化 ホウ・フウ:封 ホウ:邦・幫(幇)
ほうずる
邦 ホウ・くに 阝部おおざと bāng
解字 金文は、封の左辺と同じ「若木+土」に、邑(諸侯の領地)がついた形。領土を象徴する土盛りの上の苗木は領土を諸侯に与える儀式を表す。すなわち、封と同じ構造の字で、それに邑(諸侯の領地)がついた邦は、天子が諸侯にあたえた領土を表す。篆文は左辺が丰ホウに変化し、現代字で右辺が阝に変化した邦になった。意味は、当初の「諸侯の領土」から、のちに、より大きな領土をもつ「くに」の意味になった。
現在字形からの解字は、「丰ホウ+阝(諸侯の領地)」の形声。丰ホウは封ホウ(封ずる。領土を与える)に通じ、封じられた領土の意となる。音符は丰ホウだが、金文の字形との関係で、ここに収録した。
意味 くに(邦)。(=国)。諸侯の領地。みやこ。「邦人ホウジン」(①その国の人。②日本人)「異邦イホウ」(異国)「邦土ホウド」(国土。領土)
形声字
幫[幇] ホウ・たすける 巾部 bāng
解字 「帛(しろぎぬ)+封(ホウ)」の形声。宋代の韻書[集韻]は「履(はきもの)の邊(辺)を治す也(なり)」とし、履物の縁をなおす帛(しろぎぬ)でなおす意とする。履は写真で分かるように浅い靴のような履物で周囲を布で覆って装飾してある。この履物の周囲を帛(絹)で補修する意。転じて、たすける意となり、さらに朋ホウ(とも)に通じ、なかま・なかまをたすける意となった。帛⇒巾になった新字体の幇も通用する。
宋代の履リ(中国ネット「履・古代」から)
意味 (1)履(くつ)の側面をつくろう布。また、つくろう。(2)たすける(幇ける)。力をそえる。「幇助ホウジョ」(①力を加えてたすける。②[国](他人の犯罪行為をたすける)(3)なかま。くみ。「幇党ホウトウ」(なかま)(4)間をとりもつ。「幫間ホウカン」(①双方の間をとりもつ者。②酒席の取り持ちを専業とする者、たいこもち)
<紫色は常用漢字>
参考音符
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