「覲キン」を追加しました。
堇 キン 土部
解字 甲骨文は手を縛られ火の上に立つ人で、ひでりのとき犠牲の人を焚(や)いて雨乞いをする祭祀を表している(「字源(中国)」「字統」などを参照した)。金文もほぼ同じ形を踏襲したが、篆文で下部が火⇒土に誤った変化をして意味も「ねばつち」や「ぬる」意となったが、形声字の音符になると「ひでり」、ひでりで実りが「わずか・すくない」イメージをもつ。新字体では堇の上部の、廿⇒廾に変化する。
なお、この字の成立ちについて[甲骨文字辞典]は、日照りを意味する「暵カン」の初文で、「堇キン」も同源字とし、甲骨文字では①動物の革の正面形、②その下に火を加えた形があるとし、①②とも、災害の意味で用いられているとしている。①の動物の革の象形を「ひでり」の意味に用いた理由については、明らかでないが、あるいは「日照りで死んだ動物が皮だけになった状態」という解釈による引伸義かもしれない、としている。
意味 (1)ねばつち。=墐キン。 (2)ぬる。 (3)わずか。=僅。
イメージ
「日でり」(饉・殣・勤・懃)
日でりで稔りが「わずか・すくない」(謹・覲・僅・槿・菫)
音の変化 キン:饉・殣・勤・懃・謹・覲・僅・槿・菫
日でり
饉 キン・うえる 食部
解字 「食(たべもの)+堇(日でり)」の会意形声。日でりで作物の育ちが悪く、食べ物が極端に少ないこと。食へんは旧字体。
意味 うえる(饉える)。うえ。ひどく空腹になる。作物の凶作。「飢饉キキン」(農作物が実らず飢え苦しむこと)「凶饉キョウキン」(飢饉。凶作)
殣 キン 歹部
解字 「歹(しぬ)+堇(=饉。うえる)」の会意形声。飢えて死ぬこと。
意味 うえじに。餓死する。ゆきだおれ。「道殣ドウキン」(ゆきだおれ)
勤 キン・ゴン・つとめる・つとまる 力部
解字 旧字は勤で、「力(ちから)+堇(日でり)」の会意形声。日でりの続く困難な状況で力のかぎりをつくすこと。つとめる・はげむ意となる。新字体は勤に変化。
意味 (1)つとめる(勤める)。精を出す。「勤勉キンベン」「勤労キンロウ」 (2)つとめ。しごと。「勤務キンム」 (3)つとめ。修行。「勤行ゴンギョウ」
懃 キン・ゴン・ねんごろ 心部
解字 「心(こころ)+勤(つとめる)」の会意形声。まじめに勤める心。
意味 ねんごろ(懃ろ)。ていねい。「慇懃インギン」(ねんごろで、ていねいなこと)「慇懃無礼インギンブレイ」(うわべはていねいだが、実は相手を見下していること)
わずか・すくない
謹 キン・つつしむ 言部
解字 旧字は謹で、「言(ことば)+堇(すくない)」の会意形声。言葉を少なくしてつつしむこと。新字体は謹に変化。
意味 つつしむ(謹む)。かしこまる。「謹慎キンシン」「謹告キンコク」(つつしんでお知らせする)「謹賀キンガ」(つつしんで祝う)
覲 キン・まみえる 見部
解字 「見(みる)+堇(=謹。つつしむ)」の会意形声。つつしんでお目にかかること。
意味 まみえる(覲える)。諸侯が天子にお目にかかる。あう。「覲礼キンレイ」「朝覲チョウキン」「参覲サンキン」
僅 キン・わずか イ部
解字 「イ(ひと)+堇(わずか)」の会意形声。堇は飢饉で食べ物が「わずか」の意。その意味をイ偏を付けて表した字。新指定の常用漢字のため旧字と同じ。上部を廿⇒廾に変化させても可。
意味 わずか(僅か)。ほんの少し。「僅少キンショウ」「僅差キンサ」
槿 キン・むくげ 木部
解字 「木(き)+堇(わずかの時間)」の会意形声。朝咲いた花が夕方にしぼむ、はかない花をつける木。
意味 むくげ(槿)。木槿とも書く。アオイ科の落葉低木。花は一日でしぼむ。「槿花キンカ」(むくげの花)
菫 キン・すみれ 艸部
解字 「艸(草)+堇(わずかの時間)」の会意形声だが、堇の上部の廿⇒一に簡略化されている。当初、槿(むくげ)と同じ意味で使われたが、のちムクゲは槿・木槿と書くようになり、スミレに使われるようになった。なぜスミレに使われたかは不明。
意味 (1)むくげ。 (2)すみれ(菫)。スミレ科の多年草。道ばたで春に濃紫色の小さな花を咲かせる野草。「菫色すみれいろ」(濃紫色) (3)とりかぶと。キンポウゲ科の多年草。毒草の一種。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
堇 キン 土部
解字 甲骨文は手を縛られ火の上に立つ人で、ひでりのとき犠牲の人を焚(や)いて雨乞いをする祭祀を表している(「字源(中国)」「字統」などを参照した)。金文もほぼ同じ形を踏襲したが、篆文で下部が火⇒土に誤った変化をして意味も「ねばつち」や「ぬる」意となったが、形声字の音符になると「ひでり」、ひでりで実りが「わずか・すくない」イメージをもつ。新字体では堇の上部の、廿⇒廾に変化する。
なお、この字の成立ちについて[甲骨文字辞典]は、日照りを意味する「暵カン」の初文で、「堇キン」も同源字とし、甲骨文字では①動物の革の正面形、②その下に火を加えた形があるとし、①②とも、災害の意味で用いられているとしている。①の動物の革の象形を「ひでり」の意味に用いた理由については、明らかでないが、あるいは「日照りで死んだ動物が皮だけになった状態」という解釈による引伸義かもしれない、としている。
意味 (1)ねばつち。=墐キン。 (2)ぬる。 (3)わずか。=僅。
イメージ
「日でり」(饉・殣・勤・懃)
日でりで稔りが「わずか・すくない」(謹・覲・僅・槿・菫)
音の変化 キン:饉・殣・勤・懃・謹・覲・僅・槿・菫
日でり
饉 キン・うえる 食部
解字 「食(たべもの)+堇(日でり)」の会意形声。日でりで作物の育ちが悪く、食べ物が極端に少ないこと。食へんは旧字体。
意味 うえる(饉える)。うえ。ひどく空腹になる。作物の凶作。「飢饉キキン」(農作物が実らず飢え苦しむこと)「凶饉キョウキン」(飢饉。凶作)
殣 キン 歹部
解字 「歹(しぬ)+堇(=饉。うえる)」の会意形声。飢えて死ぬこと。
意味 うえじに。餓死する。ゆきだおれ。「道殣ドウキン」(ゆきだおれ)
勤 キン・ゴン・つとめる・つとまる 力部
解字 旧字は勤で、「力(ちから)+堇(日でり)」の会意形声。日でりの続く困難な状況で力のかぎりをつくすこと。つとめる・はげむ意となる。新字体は勤に変化。
意味 (1)つとめる(勤める)。精を出す。「勤勉キンベン」「勤労キンロウ」 (2)つとめ。しごと。「勤務キンム」 (3)つとめ。修行。「勤行ゴンギョウ」
懃 キン・ゴン・ねんごろ 心部
解字 「心(こころ)+勤(つとめる)」の会意形声。まじめに勤める心。
意味 ねんごろ(懃ろ)。ていねい。「慇懃インギン」(ねんごろで、ていねいなこと)「慇懃無礼インギンブレイ」(うわべはていねいだが、実は相手を見下していること)
わずか・すくない
謹 キン・つつしむ 言部
解字 旧字は謹で、「言(ことば)+堇(すくない)」の会意形声。言葉を少なくしてつつしむこと。新字体は謹に変化。
意味 つつしむ(謹む)。かしこまる。「謹慎キンシン」「謹告キンコク」(つつしんでお知らせする)「謹賀キンガ」(つつしんで祝う)
覲 キン・まみえる 見部
解字 「見(みる)+堇(=謹。つつしむ)」の会意形声。つつしんでお目にかかること。
意味 まみえる(覲える)。諸侯が天子にお目にかかる。あう。「覲礼キンレイ」「朝覲チョウキン」「参覲サンキン」
僅 キン・わずか イ部
解字 「イ(ひと)+堇(わずか)」の会意形声。堇は飢饉で食べ物が「わずか」の意。その意味をイ偏を付けて表した字。新指定の常用漢字のため旧字と同じ。上部を廿⇒廾に変化させても可。
意味 わずか(僅か)。ほんの少し。「僅少キンショウ」「僅差キンサ」
槿 キン・むくげ 木部
解字 「木(き)+堇(わずかの時間)」の会意形声。朝咲いた花が夕方にしぼむ、はかない花をつける木。
意味 むくげ(槿)。木槿とも書く。アオイ科の落葉低木。花は一日でしぼむ。「槿花キンカ」(むくげの花)
菫 キン・すみれ 艸部
解字 「艸(草)+堇(わずかの時間)」の会意形声だが、堇の上部の廿⇒一に簡略化されている。当初、槿(むくげ)と同じ意味で使われたが、のちムクゲは槿・木槿と書くようになり、スミレに使われるようになった。なぜスミレに使われたかは不明。
意味 (1)むくげ。 (2)すみれ(菫)。スミレ科の多年草。道ばたで春に濃紫色の小さな花を咲かせる野草。「菫色すみれいろ」(濃紫色) (3)とりかぶと。キンポウゲ科の多年草。毒草の一種。
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます