漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「菐ボク」 <ノコギリ歯の道具を手にもつ> と 「僕ボク」「樸ボク」「撲ボク」「蹼ボク」「璞ハク」

2024年06月28日 | 漢字の音符
  改訂しました。
 ボク  大部 pú 

解字 菐ボクの字は音符として抜き出された文字で、単独で使われることはない。金文は先端に3本の突起をもつ工具を両手で持つかたち。3本の突起はノコギリ状の鋸歯と思われる。篆文は鋸歯が長短4本となった。現代字は両手の部分が大に変化した菐となった。意味は鋸歯状の道具を使うこと。イメージとしては、「ノコギリ歯の道具をもつ」、ノコギリ歯から「ギザギザ状の」、それに「ボク」の音、である。

イメージ 
 「ノコギリ歯の道具をもつ」
(撲・樸・璞) 
 ノコギリ歯から「ギザギザ状の」(蹼)
 「形声字」(僕)
音の変化  ボク:僕・樸・撲・蹼  ハク:璞

ノコギリ歯の道具をもつ
 ボク・うつ・なぐる  扌部 pū

解字 金文は「戈(ほこ)+菐(ノコギリ歯の道具をもつ)」の会意形声。ノコギリ歯の道具で門や建物を切り開き、武器の戈で相手を討つこと。篆文は戈⇒扌(て)に変化した撲になった。これにともない、手でうつ・なぐるなどの意が加わった。
意味 (1)うつ(撲つ)。討つ。「撲滅ボクメツ」(撲ち滅ぼす)「撲殺ボクサツ」(撲ち殺す) (2)なぐる(撲る)。打つ。たたく。はる。「打撲ダボク」(打ちたたく)「相撲ソウボク・すもう」(①相いうつ。②土俵の中で二人が打ち合い、組み合って闘う競技)
 ボク・ハク・あらき  木部 pǔ
解字 「木(き)+菐(ノコギリ歯の道具をもつ)」 の会意形声。ノコギリ歯の道具をもって木を切ること。切り出したままで加工をしていない木材をいう。また、この状態を人に移していう。
意味 (1)あらき(樸)。切り出したままの木材。荒木。 (2)ありのまま。飾り気のない。「素樸ソボク」(=素朴)「粗樸ソボク」(粗末で飾り気のない)「樸実ボクジツ」(飾り気がなく誠実=朴実)
 ハク・あらたま  玉部 pú
解字 「王(玉)+菐(ノコギリ歯の道具をもつ)」 の会意形声。ノコギリ歯の道具をもって玉の材料を切ること。切り出したままで加工をしていない玉をいう。
意味 あらたま(璞)。磨いてないたま。「璞玉ハクギョク」(磨いていない玉。人工を加えていない宝石)「璞玉渾金ハクギョクコンキン」(あらたまと、あらがね。磨いてない玉と精錬してない金属。人の素質がすぐれている)

ギザギザ状の
 ボク・みずかき  足部 pǔ
 鴨の水かき ウイキペディアより
解字 「足(あし)+(ギザギザ状の)」 の会意形声。ギザギザ状にみえる水鳥の足の水かき。
意味 みずかき(蹼)。水鳥などの足の水かき。「蹼状ボクジョウ」(みずかき状の)「蹼足ボクソク」(みずかきのある足)「蹼膜ボクマク」(みずかきのまく)「鴨蹼オウボク」(カモのみずかき)

形声字
 ボク・しもべ  イ部 pú        

解字  甲骨文は[漢典]および[漢字古今字資料庫]に収録されている字で、頭部に辛(針状の刃物)があり、これで額に入れ墨をされた奴隷(尾が描かれている)がチリトリである箕を持つさま。チリトリの上に集める小点をいくつも描いており、掃除をしている召使いを表している「新漢語林」。金文から「人+菐(ボク)」となり、召使いの意味の発音がボクであることを表す。後漢の[説文解字]は「給事者(貴人の身のまわりの世話、雑用をする人)。人に従い菐ボクに従う。菐は亦(また)聲(声)」とする。
意味 (1)しもべ(僕)。めしつかい。「下僕ゲボク」「公僕コウボク」「奴僕ドボク」(男の召使い)「車僕シャボク」(御者)「僕婢ボクヒ」(下男と下女。使用人) (2)謙遜して言うときの自称。「僕等ぼくら
<紫色は常用漢字>

   バックナンバーの検索方法
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