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漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「它タ」と「佗タ」「詑タ」「舵ダ」「柁ダ」「駝ダ」「鴕ダ」「跎ダ」「陀ダ」「沱ダ」「鉈シャ」「蛇ジャ」

2025年03月12日 | 漢字の音符

 タ・へび   宀部 tā・shé

解字 甲骨文は蛇をリアルに描いた象形、金文は頭が左右にふくらみ、その中を通して太い胴をえがき、背中にも線をいれている。第二字は単純化されており頭のふくらみに隙間ができている。篆文は頭のふくらみが誇張されて大きく、胴の線は頭の左右からのび、背中の線は無くなった。頭の大きな蛇の象形。現代字は上が宀、下がヒに分離した它になった。
 なお、金文の時代から它タの音を借りて「ほか」の意味にもちいる使い方があったので、ほか・よその意味がある。[常用字解]。
意味 (1)へび(它)。=蛇(へび)。「竜它リュウダ」(竜とへび) (2)ほか。よそ。別の。「它人タニン」(=他人) 
※現代中国では三人称代名詞に用い、人なら「他」(あの人)、女性なら「她」(彼女)、人以外のものなら「它」(それ)と書いて使い分けている。

イメージ 
 「へび」
(它・蛇)   
 「ほか(借音)」(佗・詑)
 「形声字」(舵・柁・鉈・駝・鴕・跎・陀・沱)
音の変化  タ:它・佗・詑  ダ:舵・柁・駝・鴕・跎・陀・沱  シャ:鉈  ジャ:蛇

へび
 ジャ・ダ・タ・へび  虫部 shé・
yí                          解字 「虫(動物)+它(へび)」の会意形声。它はへびの意味があり、虫を加えてその意味を明確にした。
意味 (1)へび(蛇)。くちなわ。「大蛇ダイジャ」「蛇足ダソク」 (2)形がへびに似ているもの。「蛇腹ジャばら」「蛇口ジャぐち

ほか(借音)
 タ・ほか  イ部 tuó・tuō
解字 「イ(ひと)+它(ほか)」 の会意形声。它は金文で它タの音を借りて「ほか」の意味に用いた。ほかの人の意。また、人にかぎらず、ほかの意を表す。
意味 (1)ほか(佗)。よそもの。(=它。他)。「佗日タジツ」(=他日)「佗人タニン」(=他人)(2)日本で侘(わび・静寂で落ち着いた味わい)の意味で使うことがあるが誤用である。例:「佗(わび)住い」
 タ・あざむく  言部 tuó
解字 「言(ことば)+它(ほか)」 の会意形声。本当のことを言わず、ほかの事をはなすこと。あざむく意となる。
意味 (1)あざむく(詑く)。そしらぬ顔をする。「詑語タゴ」(あざむき言う)(2)(人を)かろんずる。うぬぼれる。「詑詑タタ」(自らほこるさま。いい気になる)

形声字
 ダ・タ・かじ  舟部 duò
解字 「舟(ふね)+它(タ・ダ)」 の形声。船尾にあって船の進む方向を変える「かじ」を舵という。なお、「柁(木+它)」も同じ趣旨の字で、「かじ」を表す。

船尾の舵(コトバンク「千石船」より)
意味 かじ(舵)。船のかじ。「操舵ソウダ」(舵を操る)「舵手ダシュ」「舵取(かじと)り」
 ダ・タ・かじ  木部 tuó・duò
解字 「木(き)+它(=舵)」 の会意形声。舵の舟偏を木偏に替えた字で、船の木製の舵を表した字。
意味 かじ(柁)。船のかじ。「柁手ダシュ」(=舵手)
 シャ・シ・なた  金部 tā・tuó

剣鉈と腰鉈(「剣鉈と腰鉈の違い」より)
解字 「金(金属)+它(タ⇒シャ)」 の形声。短く幅のひろい金属の刃がついた刃物を鉈シャという。後漢の[説文解字]は「短い矛(ほこ)也(なり)。金に従い它の聲(声)」とする。日本ではナタの意味で用いる。
意味 (1)[国]なた(鉈)。薪(まき)などを割るのに使う短くて幅のひろい刃物。「鉈彫なたぼり」(鉈で彫ったような荒々しい力強さが特徴の仏像彫刻)「剣鉈ケンなた」「鉈豆なたまめ」(さやが鉈ほどの大きさになる豆)(2)ほこ。短いほこ。
 ダ・タ  馬部 tuó・
chí                                解字 「馬(うま)+它(ダ)」の形声。背中にこぶをつけたような馬を駝といい「駱駝ラクダ」に用いる。また形がラクダに似た鳥の「駝鳥ダチョウ」に用いる。
意味 (1)「駱駝ラクダ」に使われる文字。駱駝とは、背中にこぶがある大形の獣。「駝馬ダバ」(ラクダ)(2)「駝鳥ダチョウ」に使われる文字。駝鳥とは、足の長い大きな鳥で、よく走るが飛べない。頭から背中のふくらみにかけての形がラクダと似ている。
 ダ・タ  鳥部 tuó
解字 「鳥(とり)+它(=駝。ラクダ)」 の会意形声。ラクダに似て背のふくらみがある鳥を鴕といい、「鴕鳥ダチョウ」に用いる。
意味 だちょう(鴕鳥)。ダチョウ科の野鳥。鳥の中で最も大きい。駝鳥とも書く。
 タ・つまずく  足部 tuó
解字 「足(あし)+它(タ)」の形声。足がつまずくことを跎という。つまずく。足をふみはずす意となる。
意味 つまずく(跎く)。足をふみはずす。「蹉跎サタ」(蹉も跎も、つまずく意。もたもたして時期を失うこと)「蹉跎歳月サタサイゲツ」(もたもたして歳月をむなしく過ごすこと)
 ダ・タ  阝部 tuó・duò
解字 「阝(おか)+它(ダ)」 の形声。岡が傾斜して平らかでないさまを陀という。また、梵語の音訳字に用いられる。
意味 (1)梵語の音訳字。「仏陀ブッダ」(悟りに達した人。ほとけ)「阿弥陀アミダ」(極楽世界を主宰する仏。阿弥陀仏)「陀羅尼ダラニ」(呪文を翻訳しないでそのまま読誦する)(2)「陂陀ハダ」(かたむいて平らかでない)
 ダ  氵部 tuó・duò
解字 「氵(川)+它(ダ)」 の形声。ダという名の四川省を流れる川をいう。
意味 (1)川の名。「沱江ダコウ」(四川省中部を南流して長江にそそぐ川)(2)「滂沱ボウダ」とは、①大雨の降るさま。②涙がとめどなく流れるさま。
<紫色は常用漢字>


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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。



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