漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「旦タン」と「但タン」「坦タン」「担タン」「胆タン」と「亶タン」

2013年04月07日 | 漢字の音符
   タン <地平線から太陽が上がる>
 タン・ダン・あした  日部 

解字 金文は雲から明け方の太陽が昇るかたちで早朝の意。篆文は「日(太陽)+ 一 印(地平線)」の会意。太陽が地平線から上る形で明け方・早朝の意を示す。旦を音符に含む字は、地平線から太陽が上る意から「あらわれる」イメージがある。
意味 (1)あした(旦)。よあけ。あさ。あけがた。「元旦ガンタン」「旦夕タンセキ」(朝夕) (2)あける。夜があける。「平旦ヘイタン」(よあけ) (3)梵語の音訳語。「旦那ダンナ」(僧に施しをする人)

イメージ 
 地平線から太陽が「あらわれる」(旦・袒・但)
 地平線が「たいら」(坦)
 「形声字」(担・胆・疸・靼)
音の変化  タン:旦・袒・但・坦・担・胆・疸・靼

あらわれる
 タン・はだぬぐ  衤部
解字 「衤(ころも)+旦(あらわれる)」の会意形声。衣から肌があらわれる意。
意味 (1)はだぬぐ(袒ぐ)。かたぬぐ。衣をぬいで肩をあらわす。「袒裼タンセキ」(袒も裼もはだぬぐ意) (2)ひとはだぬぐ。味方する。「左袒サタン」(左も袒もたすける意)
 タン・ただし  イ部
解字 「イ(人)+旦(あらわれる)」の会意形声。人が肩肌をあらわすのが原義。「ただ」「ただし」の意の助字に仮借カシャ(当て字)される。
意味 (1)ただ(但)。いたずらに。限定を示す。 (2)ただし(但し)。条件や例外を補足するときの語。「但し書き」 (3)地名。「但馬たじま」(兵庫県北部地方の旧国名。但州タンシュウ) (4)肌があらわれる。(=袒タン

たいら
 タン・たいら  土部
解字 「土(つち)+旦(たいら)」の会意形声。旦は地平から太陽が昇る形。そこに土がついた坦は地平(たいら)な土地の意。
意味 (1)たいら(坦ら)。たいらか(坦らか)。「平坦ヘイタン」 (2)おだやか。心がひろい。「坦懐タンカイ」(わだかまりがなくおおらかな気持ち)「虚心坦懐キョシンタンカイ」(わだかまりのないおだやかな心)

形声字
 タン・かつぐ・になう  扌部
解字 旧字は擔タンで、「扌(手)+詹タン(=儋。にないがめ)」の会意形声。にないがめを手でかつぐ意。詹タンは同じ発音の旦に置き換えられた。
意味 (1)かつぐ(担ぐ)。になう(担う)。「担架タンカ」(動けない人をのせて運搬する器具)「負担フタン」(負い担ぐ) (2)引き受ける。受け持つ。「担当タントウ」「分担ブンタン」 (3)たすける。味方する。「加担カタン
 タン・きも  月部にく
解字 旧字は膽タンで、「月(からだ)+詹タン(=儋。にないがめ)」の形声。体の中にあって胆汁(苦い消化液)をためておく器官。詹タンは同じ発音の旦に置き換えられた。
意味 (1)きも(胆)。肝臓の右にあって胆汁を分泌する器官(かめ)。「胆汁タンジュウ」(脂肪を消化するため胆から分泌される液体)「胆石タンセキ」 (2)きもったま。度胸。「大胆ダイタン」 (3)こころ。きもち。「魂胆コンタン
 タン  疒部
解字 「疒(やまい)+旦(=胆。胆のう)」の会意形声。胆のうの病気。
意味 おうだん。胆汁色素が異常に増加し、肌が黄色くなる病気。「黄疸オウダン
 タン・タツ・なめしがわ  革部
解字 「革(かわ)+旦(タン)」の形声。革をよく使うタンという名の部族。韃靼ダッタンという部族の名に使われる。
意味 (1)韃靼ダッタンに使われる字。韃靼はタタールの音訳字で、達タツと旦タンで発音を表し、遊牧の民であるタタール人がよく使う革(なめし革)を意符とした。現代中国ではdada(ダーダー)と発音される。韃靼はモンゴル系の一部族タタールの呼称。また、中国北方民族の呼称。 (2)なめしがわ(靼)。なめして柔らかくした革。
<紫色は常用漢字>

   バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。



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