漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「勺シャク」<ひしゃく> と「杓シャク」「酌シャク」「妁シャク」「灼シャク」「芍シャク」「釣チョウ」「的テキ」「豹ヒョウ」「約ヤク」

2024年08月13日 | 漢字の音符
  改訂しました。
 シャク  勹部

解字 金文はひしゃくの形の象形。スプーンで液体などを酌(く)んださまを描いている。篆文は全体がタテ形になり、隷書はその流れをうけて変化し、現代字は勹に丶をいれた勺になった。スプーンで液体の一部を酌んださまを描いている。杓の原字。なお、日本の表記では、常用漢字で勺になり、それ以外では杓のように勹の中が一になるものが多いが統一されていない。
意味 (1)ひしゃく。スプーン。 (2)わずかの量。(3)枡目の単位。一合(180cc)の十分の一。一勺は約18cc。「酒一合五勺を飲む」(4)[日本]土地面積の単位。1坪の百分の一。0.033㎡。

イメージ 
 「ひしゃく」
(勺・杓・酌・妁)
  液体の一部分を汲むことから「一つを取り出す」(的・釣・灼・芍・豹)
 「形声字」(約・芍)
音の変化  シャク:勺・杓・酌・妁・灼・芍  テキ:的  チョウ:釣  ヒョウ:豹  ヤク:約

ひしゃく
 シャク・ヒョウ・ひしゃく・しゃく  木部

柄杓(曲げわっぱ柄杓

杓子(宮島杓子。右下は粥杓子)
解字 「木(き)+勺(ひしゃく)」の会意形声。木製のひしゃく。
意味 (1)ひしゃく(杓)。「柄杓 ヒシャク」とも書く。水や液体を汲む道具。「杓子シャクシ」(飯を盛ったり粥をすくう杓。しゃもじ)「杓子定規シャクシジョウギ」(杓子の柄を定規にする。自分の基準で他人を律する)(2)しゃくう(杓う)。すくう。
 シャク・くむ  酉部
解字 「酉(さけ)+勺(ひしゃく)」の会意形声。ひしゃくで酒をくむこと。
意味 (1)くむ(酌む)。酒をくむ。「晩酌バンシャク」「媒酌バイシャク」(結婚の仲立ちをする)(2)意をくむ。「参酌サンシャク」(意見を聞いて参考にする)「斟酌シンシャク」(意を酌んで処置する)(3)[国]酒を杯につぐこと「お酌シャク
 シャク  女部
解字 「女(おんな)+勺(=酌。意をくむ)」の会意形声。男女の意を酌んで結婚の仲立ちをする女。
意味 なこうど(仲人)。媒酌人。「媒妁バイシャク」(=媒酌)

一つを取り出す
 テキ・まと  白部
解字 「白(しろ)+勺(一つを取り出す)」の会意形声。一つ取り出して置いた白いもの。白くて目立つ弓の「まと」をいう。
意味 (1)まと(的)。めあて。ねらい。「目的モクテキ」「射的シャテキ」(2)あたる。たしか。あきらか。「的確テキカク」「的中テキチュウ」(3)英語の~ticの音訳字。「劇的ゲキテキ
 チョウ・つる  金部
解字 「金(つり針)+勺(一つを取り出す)」の会意形声。釣針で魚一匹を釣り上げること。
意味 (1)つる(釣る)。魚をつる。「釣果チョウカ」(釣りの成果)「釣人つりびと」「釣竿つりざお」「釣戸チョウコ」(魚釣りを職業とする家。またその人)「釣台チョウダイ」(①釣りをする小高い丘。②昔の名士が釣りをしたと伝えられる場所)(2)[国]つる。つるす。「釣鐘つりがね」(3)[国]つりせん。「釣銭つりせん
 シャク・やく  火部
解字 「火(ひ)+勺(一つを取り出す)」の会意形声。火を一か所に取り出して保つ意でお灸をいう。転じて、やく・あぶる、火が燃えてかがやく・あきらかの意となった。
意味 (1)やいと。お灸。「灼艾シャクガイ」(艾もぐさのお灸)(2)やく(灼く)。あぶる。「灼熱シャクネツ」(焼けつくように熱い)「灼骨シャッコツ」(骨を焼いてうらなう。=卜骨ボッコツ)(3)かがやく。あきらか。「灼然シャクゼン」(光り輝くさま)
 ヒョウ  豸部むじな
解字 「豸(けもの)+勺(一つを取り出す)」の会意。一つ一つが目立つ黒い斑点が体の表面にあるけもの。

アムールヒョウ(旭川動物園)
意味 ひょう(豹)。虎に似てやや小さく敏捷なネコ科の哺乳動物。黒く美しい斑点が特徴。「豹変ヒョウヘン」(態度や意見ががらりと変わること。豹の斑紋の毛が抜け変わって、その斑紋が鮮やかになることから)「豹紋ヒョウモン」「海豹あざらし

形声字
 ヤク・つづめる  糸部
解字 「糸(いと)+勺(シャク⇒ヤク)」の形声。糸を束ねることを約ヤクという。後漢の[説文解字]は「(まと)め束ねる也(なり)」とする。たばねる。まとめる。簡単にする。ちかう意に用いる。
意味 (1)しめくくる。たばねる。まとめる。つづめる(約める)。「要約ヨウヤク」「簡約カンヤク」(2)つづまやか(約やか)。つましい(約しい)。「倹約ケンヤク」「節約セツヤク」(3)ちかう。ちぎる。「約束ヤクソク」「誓約セイヤク」(4)おおよそ。ほぼ。「大約タイヤク」(5)[数学]整数でわりきる。「約分ヤクブン」(分数の分母と分子を公約数で割ること)「約数ヤクスウ
 シャク  艸部
解字 「艸(草)+勺(シャク)」の形声。勺(シャク)という名の草。芍薬シャクヤクに用いられる。
芍薬(「季節の花300」より)
意味 芍薬シャクヤクに使われる字。「芍薬シャクヤク」(ボタン科の多年草。初夏にボタンに似た大形で美しい花が咲く。根は、収斂・消炎・鎮痛・抗菌・止血・浄血などの作用があり生薬となる)
<紫色は常用漢字>

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