漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「舟シュウ」 <ふね> と 「受ジュ」

2018年02月13日 | 漢字の音符
 シュウ・ふね・ふな  舟部
 山東省発掘の丸木舟(『甲骨文字小字典』より)
 
解字 くり舟の形の象形。甲骨文は舳先(へさき)のない箱型の舟をタテに表している。『甲骨文字小字典』には、山東省で発掘された紀元前二千年紀の丸木舟の写真が掲載されているが、甲骨文字と同じ形をしている。舟は部首となり、舟の意をしめす字をつくる。
 舟は、くり舟であることから、木をくりぬいた鉢・たらい・大皿・おけ等のうつわを示す形として会意文字の中で使われることがある。
意味 (1)ふね(舟)。小さなふね。「舟運シュウウン」「漁舟ギョシュウ」「舟歌ふなうた」 (2)[国]水・湯・酒などを入れる桶。「湯舟ゆぶね」(浴槽)
」 
参考 舟は部首「舟ふね」になる。漢字の左辺について船や船の状態を表す。常用漢字で8字、約14600字を収録する[新漢語林]では51字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 航コウ(舟+音符「亢コウ」)、舶ハク(舟+音符「白ハク」)、船セン(舟+音符「㕣エン」)、舷ゲン(舟+音符「玄ゲン」)、艇テイ(舟+音符「廷テイ」)、艦カン(舟+音符「監カン」)、般ハン(「舟+殳」の会意)、など。なお、般はさらに音符となる。
 また、舟はかたちを月にかえて部首「月ふなづき」になる。主な字に、服フク(月+音符「𠬝フク」)、朕チン(「月+关ソウ」の会意)、など。しかし、現在「月ふなづき」は、部首「月つき・にくづき」に包含され埋もれてしまっている。



           ジュ <うける・うけとる>
 ジュ・うける・うかる  又部

解字 甲骨文・金文は「爪(下むきの手)+舟シュウ(舟形の器)+又(手)」の会意。ここで舟は木をくりぬいた容器のかたち。受は、舟(器)に物をのせて手から手へ受け渡しする形で、うける・うけとる意となる。篆文以降、舟⇒冖に変化した。音符は舟シュウの転音。
意味 (1)うける(受ける)。うけとる。もらう。「受賞ジュショウ」「受験ジュケン」「受付うけつけ」 (2)うけいれる。「受諾ジュダク」「受容ジュヨウ」 (3)こうむる。「受難ジュナン

イメージ  手から手へ 「うける・わたす」 (受・授・綬)
音の変化  ジュ:受・授・綬

うける・わたす
 ジュ・さずける・さずかる  扌部
意味 「扌(手)+受(うける・わたす)」 の会意形声。手でわたす意では、さずけるになり、手でうける意では、さずかるとなる。
意味 (1)さずける(授ける)「授業ジュギョウ」「授乳ジュニュウ」「授賞式ジュショウシキ」(賞をさずける式)「教授キョウジュ」 (2)さずかる(授かる)。「神授シンジュ」(神からさずかる)
 ジュ・ひも  糸部
解字 「糸(ひも)+受(うける)」 の会意形声。印や勲章などをさずかる時に、一緒にさずかる組ひも。印や勲章の種類によって組ひもの色が異なる。
 紫綬褒章
意味 ひも(綬)。くみひも。古代中国で、官職を表す印を身につけるのに用いた組みひも。官位によって色を異にした。また、勲章などをつりさげるのに使う組ひも。「印綬インジュ」(身分や位階を表す官印につける組ひも)「紫綬褒章シジュホウショウ」(紫色の組ひもにつりさげられた褒章。学術芸術上の功績がある者に贈られる)
<紫色は常用漢字>


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