漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「五ゴ」<上下の二線が交差する>と「吾ゴ」「悟ゴ」「語ゴ」 

2021年01月29日 | 漢字の音符
 ゴ・いつ・いつつ  二部

解字 「二(上と下の二つの線)+Ⅹ印(中心で交差する線)」 の指示文字。上から出た線と下から出た線が交わる形。仮借カシャ(当て字)して数字の五を表す。現代字は変形して五となった。
意味 いつつ(五つ)。数の名。いつたび。「五感ゴカン」「五穀ゴコク」「五節句ゴセック」「五臓六腑ゴゾウロップ」(はらわた。内臓)「五里霧中ゴリムチュウ」(手掛かりがつかめずとまどう)

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 「いつつ」
(五・伍)
音の変化  ゴ:五・伍
  
 ゴ  イ部
解字 「イ(ひと)+五(いつつ)」の会意形声。五人の意で、五人一組の仲間をいう。
意味 (1)くみ(組)。なかま。五人一組の単位。五戸一組の単位。「伍長ゴチョウ」(①軍隊で五人の兵卒の長。②五戸一組の隣組の長)「隊伍タイゴ」(隊列の組。くみ) (2)「五」の代わりとして用いる。


    ゴ <口で話して交わる>
 ゴ・われ  口部

解字 「口(くち)+五(交差する)」 の会意形声。五は上と下の線が交差するかたちで、まじわるイメージがある。吾は、口で話して互いに交わること。仮借カシャ(当て字)され、一人称の代名詞となった。
意味 (1)われ(吾)。わが。じぶん。「吾輩わがはい」(①われ。②われら)「吾人ゴジン」(われら) (2)相手を親しんで呼ぶときに添える語。「吾兄ゴケイ」(親しい友人をいう)

イメージ  
 「仮借カシャ」
(吾)
 「口で話して交わる」(悟・語・寤・圄)
 「形声字」(梧・鼯・齬・衙)
音の変化  ゴ:吾・悟・語・寤・圄・齬・梧・鼯  ガ:衙

口で話して交わる
 ゴ・さとる  忄部
解字 「忄(心)+吾(口で話して交わる)」の会意形声。吾は口で話して交わること。悟は、口で相手と話して初めて心でわかること。
意味 (1)さとる(悟る)。さとす。思い当たる。「悟空ゴクウ」(①空(虚無)の真理をさとる。②「西遊記」の主人公の猿) (2)迷いからさめる。真理に目覚める。「覚悟カクゴ」(迷いを去り道理を悟る。心構え。観念する)「悟性ゴセイ」(物事を判断する思考力) (3)さとい。かしこい。「英悟エイゴ」 (4)めざめる(=寤
 ゴ・かたる・かたらう  言部
解字 「言(いう)+吾(口で話して交わる)」の会意形声。吾は口で話して交わること。語は、吾の意味を、言(いう)を付けて強めた字。また、言葉一般の意味にもなる。
意味 (1)かたる(語る)。かたらう(語らう)。ものがたる。議論する。「落語ラクゴ」「私語シゴ」「語り部ベ」 (2)ことば。ご。「言語ゲンゴ」「語源ゴゲン」「英語エイゴ
 ゴ・さめる  宀部 
解字 「宀(たてもの)+爿(ベッド)+吾(=悟。さめる)」 の会意形声。爿はここで木製のベッドの意。建物の中のベットで人が目覚めた状態をいう。対語は寐(寝る)。悟に通じ、さとる意でも用いる。
意味 (1)さめる(寤める)「寤寐ゴビ」(①目覚めることと寝ること。②寝てもさめても) (2)さとる。「覚寤カクゴ」(さとる)「醒寤セイゴ」(さとる)「改寤カイゴ」(さとって改める)
 ゴ・ギョ  囗部
解字 「囗(かこい)+吾(口で話して交わる)」の会意形声。囲いの中に閉じ込められ、口で話して交わることができない状態をいう。
意味 ひとや(圄)。牢獄。「囹圄レイギョ・レイゴ」(牢獄。囹も圄も、牢屋の意)「圄空ギョクウ」(罪人がなく牢屋が空になる。国家が治まっている例え)

形声字
 ゴ  木部

アオギリの実(「恵那山ねっと」より)
解字 「木(き)+吾(ゴ)」の会意形声。ゴは五(いつつ)に通じ、五つのがく片からなる花をもち、実は完熟前に舟形の5片に割れ、舟の中に小球状の種子を付ける木。
意味 (1)あおぎり。アオギリ科の落葉高木。庭木・街路樹にし、材は建具・家具・楽器などに用いる。「梧桐ゴトウ・あおぎり」「梧陰ゴイン」(あおぎりのかげ) (2)(あおぎり製の)つくえ。「梧下ゴカ」(手紙の宛名の脇付の語。=机下。梧右)
 ゴ・むささび  鼠部

ムササビの飛行姿
解字 「鼠(ねずみ)+吾(ゴ)」の形声。ゴは五に通じ、木から木へと前足と後足をひろげて飛ぶ姿が五の古代文字に似ているネズミの一種。
意味 むささび(鼯)。ネズミ属リス科の哺乳類。長い前足と後足との間に飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空し、樹から樹へと飛び移ることができる。「ももんが」にもこの字を当てる。「鼯鼠ゴソ・むささび
 ゴ  歯部
解字 「歯(は)+吾(ゴ)」の形声。ゴは互(たがいちがい)に通じ、歯のかみ合わせが合わない事。
意味 くいちがう。「齟齬ソゴ」(くいちがい。ゆきちがい)
 ガ  行部
解字 「行(ゆく)+吾(ガ)」の形声。ガは牙(きば)に通じ、牙旗ガキ(旗の竿頭を象牙で飾った旗で、大将軍の旗を意味する)の意。衙は、軍行のとき将軍が牙旗を立てた場所で、将軍のいるところを表す。のち、官衙カンガ(官庁)の意味となった。[字統]
意味 (1)役所。つかさ。「官衙カンガ」「公衙コウガ」「国衙コクガ」(国司の役所) (2)天子のいる所。宮城。「衙兵ガヘイ」(宮城を守る兵隊) (3)まいる。役所に出勤する。「衙参ガサン」(官吏が宮廷に参集すること)
<紫色は常用漢字>

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