漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「史シ」<文書入れを手にもつ>「使シ」「事ジ」「吏リ」「駛シ」

2024年06月20日 | 漢字の音符
 シ・ふみ・ふびと  口部 shǐ    

解字 甲骨文字は「中(文書をいれる器に取っ手をつけた形)+又(て)」で文書入れを手でもつ形。[甲骨文字辞典]は吏・事となる字と同じく「使い」を表しており、甲骨文字の段階で意味は分かれていない、とする。金文で記録官(ふびと・ふひと)の意味になり、のちに記録の意味でも使われ、現在はふみ(史)・文書・記録の意味が中心になっている。
意味 (1)ふびと・ふひと(史)。ふみびと。記録を書きしるす役人。「史官シカン」「侍史ジシ」(貴人のかたわらに侍る書き役)(2)ふみ(史)。文書。社会の移り変わりの記録。「歴史レキシ」「史書シショ」「史跡シセキ」「史料シリョウ」「国史コクシ

イメージ 
 「文書入れをもつ」
(史・吏・使・事)
 「形声字」(駛)
音の変化  シ:史・使・駛  ジ:事  リ:吏

文書入れをもつ
 リ  口部 lì         

解字 文書入れを持つ形の史のなかで、タテ棒の先が枝分かれしている箇所が、篆文で一に変化し、最終的に吏になった。初期の意味は史と同じく「使い」であるが、後漢の[説文解字]は「人を治める者也」とし、使いを含む仕事をする役人の意味になった。
意味 つかさ。役人。「吏員リイン」「官吏カンリ」(役人。官人)「能吏ノウリ」(有能な役人)「獄吏ゴクリ」(監獄の役人)
使 シ・つかい・つかう  イ部 shǐ
解字 「イ(ひと)+吏(使い)」の会意形声。吏は、もともと文書をいれた器を手でもってゆく形で使いの意だが、篆文で役人の意味になったので、イ(ひと)をつけて使いを表した。
意味 (1)つかい(使い)。つかいする。「使者シシャ」「勅使チョクシ」(天皇の使い)(2)つかう(使う)。用いる。「使用シヨウ」「使途シト」(使いみち)「行使コウシ」(3)しむ・させる。使役の助字。
 ジ・ズ・こと  丨部たてぼう  shì          

解字 金文までは吏と同じ形。篆文からタテの棒が下までつきぬけた。そこから、吏は使いをする役人。事は使いが行う祭事の仕事の意味に分かれた。その後、転じて、出来事・ことがらの意ともなる。
意味 (1)こと(事)。しごと。ようじ(用事)。「事業ジギョウ」「家事カジ」(2)つかえる。目上の人に仕える。「師事シジ」(3)できごと。ことがら。「事実ジジツ」「事変ジヘン」「事柄ことがら」 

形声字
 シ・はやい  馬部 shǐ
解字 「馬(うま)+史(シ)」の形声。シは使(つかい)に通じ、使いを乗せた馬が疾走する意。
意味 (1)はせる。馬を速くはしらせる。「駛走シソウ」(はやく走る)「駕駛ガシ」(駕は馬車に乗る意。馬車をあやつりはしらせる。現代中国では、自動車・飛行機などを操縦する意)(2)はやい(駛い)。にわか。「駛雨シウ」(にわか雨)
<紫色は常用漢字>

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