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漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「軍グン」<兵車がまるく包囲する>「運ウン」「揮キ」「輝キ」

2023年05月12日 | 漢字の音符
  改訂しました。
 グン・クン・いくさ  車部           

解字 金文・篆文は、「車(兵車)+勹(まるく取り囲む)」の会意。軍隊の兵車が敵をまるく包囲する形で、陣形から「いくさ」の意味を表わす。現代字は、勹 → 冖に変化した。
意味 (1)いくさ(軍)。たたかい。「軍事グンジ」「軍旗グンキ」「軍議グンギ」 (2)つわもの。兵士の集団。「軍隊グンタイ」「将軍ショウグン」 (3)中国古代の兵制。周代では一軍は1万2500人。「三軍サングン」(①周代の上・中・下軍、計3万7500人、②陸・海・空軍の総称) (4)スポーツのチーム。「巨人軍キョジングン」「二軍ニグン」(正規のチームの予備のチーム)

イメージ 
 「軍隊」
(軍・運) 
  兵車がまるく包囲する意から「まるい・まるく」(揮・暈・褌)
 「形声字」(暉・輝・葷・皹)
音の変化  グン:軍  クン:葷・皹  ウン:運・暈  キ:揮・暉・輝  コン:褌・渾

軍隊
 ウン・はこぶ  辶部 しんにょう
解字 「辶(ゆく)+軍(軍隊)」の会意形声。軍隊がいくさのため行くこと。各地を転戦するので、めぐる・まわる意に、移動の際、必要な物資をはこぶ意となる。
意味 (1)めぐる(運る)。まわる。「運行ウンコウ」「運動ウンドウ」 (2)はこぶ(運ぶ)。うつす。「運送ウンソウ」「運搬ウンパン」 (3)うごかす。する。推し進める。「運営ウンエイ」「運筆ウンピツ」 (4)めぐり(運)。めぐりあわせ。「運命ウンメイ

まるい・まるく
 キ・ふるう  扌部
解字 「扌(手)+軍(まるく)」の会意形声。手をぐるぐるとまわすような動作。
意味 (1)ふりまわす。ふるう(揮う)。「発揮ハッキ」 (2)とびちる。まきちらす。「揮発キハツ」 (3)さしずする。「指揮シキ
 ウン・かさ・ぼかす・くま  日部
解字 「日(太陽)+軍(まるい)」の会意形声。太陽の周りに現れる光の輪。月の輪にもいう。
日暈ニチウン(GOO辞書より)
意味 (1)かさ(暈)。太陽や月のまわりにうすく現れる光の輪。「日暈ニチウン」(太陽のかさ)「月暈ゲツウン」(月のかさ) (2)めまい。「眩暈ゲンウン」(めまい) (3)[国]ぼかす(暈す)。ぼかし(暈し)。色の濃淡の境目をはっきりさせない。あいまいにする。 (4)[国]くま(暈)。(=隈)。色と色が接する所。光と陰の接する所。「暈取(くまど)り」(①ぼかしを加える。②歌舞伎などで顔に太い線の彩色をほどこすこと)
 コン・ふんどし  衣部
解字 「衤(ころも)+軍(まるい)」の会意形声。腰のあたりをまるくおおう下ばかま。
意味 (1)したばかま。ももひき。 (2)[国]ふんどし(褌)。まわし。したおび。「褌祝へこいわい」(九州地方の成年式。男の子はふんどし、女の子は腰巻を初めてつけて祝う。=兵児祝)

形声字
 キ・ひかり・かがやく  日部
解字 「日(太陽)+軍(キ)」の形声。[説文解字]は、「光也(なり)。日に从(したが)い軍の聲(声)。発音は許歸切(キ)」とする。日(太陽)の光をキ(軍)の発音で表した。
意味 (1)ひかり(暉)。日のひかり。「春暉シュンキ」(春の日のひかり)「夕暉ユウキ」(夕日のひかり) (2)かがやく(暉く)。「暉暉キキ」(日のかがやくさま)
[煇] キ・かがやく  車部
解字 正字(篆文)は煇で「火(ひ)+軍(キ)」の形声。キは暉(かがやく)に通じ、火がかがやく意。楷書から火⇒光に変わった輝になった。光と軍は、どちらも部首でないので、車が部首になっている。
意味 かがやく(輝く)。かがやき(輝き)。てる(輝る)「光輝コウキ」(光りかがやく)「星輝セイキ」(星のひかり)「輝映キエイ」(てりはえる)
 クン  艸部
解字 「艸(草)+軍(クン)」の形声。艸(草)は野菜の意。軍クンは熏クン(くゆらす)に通じる、臭いをくゆらす草の意で、においのつよいニラ・ネギなどの野菜をいう。さらに、生臭いもの(肉など)をいう。なお、熏クンに艸(くさ)をつけた薫クンは、かおる(薫る)。かおり(薫)の意味になるが、軍に艸をつけた葷クンは、においの強い意味に使い分けて用いる。
意味 においの強い野菜。ニンニク・ニラ・ネギなど。「葷菜クンサイ」「葷酒クンシュ」(においの強い野菜と酒。また、なまぐさいものと酒)「葷辛クンシン」(においの強い野菜と辛い野菜)「葷腥クンセイ」(なまぐさいもの。腥はなまぐさい肉の意)「五葷ゴクン」(仏教の思想に基づき、精進料理では避けるべきと考えられている食材。五葷は時代や地域によって異なるが、主にネギ属のネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラなどをいう)「不許葷酒入山門」(葷酒、山門に入るを許さず。多く禅宗寺院の入口に建つ石碑の文字)

不許葷酒入山門の石碑(高知市の真如寺「じゃらんnet」より)
 クン・ひび・あかぎれ  皮部
解字 「皮(ひふ)+軍(クン)」の形声。クンは、亀キ・クン(かめ)に通じ、亀の甲羅のような亀裂のある皮膚をいう。亀の発音は、①キ(guī )②キュウ(qiū)③クン・コン・キン(jūn)の3系統の発音があり(カッコ内は現代中国語発音)、現代中国語では亀の発音は(guī )、亀裂の発音は(jūnliè)で、皹裂(jūnliè)と同じである。
意味 ひび(皹)。あかぎれ(皸)。寒さのため手足の皮膚にひびがはいること。「皹裂クンレツ」(あかぎれができる)
 コン・すべて  氵部
解字 「氵(水)+軍(グン⇒コン)」の形声。水の状態をコン(軍)という発音で表す文字だが、多様な意味がある。[説文解字]は「混流の聲(ひびき)也」とし、水が混じり会って流れる音とする。また、「溷(にごり)て流れる聲(ひびき)也」と濁流の意ともする。また、入り混じってひとつになる。すべて。などの意味がある。
意味 (1)水がわき出て流れるさま。勢いがよい。さかん。「渾渾コンコン」「雄渾ユウコン」(雄大で勢いがよい) (2)(まじる意から)「渾沌コントン」(物事の区別がはっきりしないさま) (3)(入りまじって)ひとつになる。「渾然コンゼン」(異なったものが一体となる)「渾一コンイツ」 (4)(ひとつになることから)すべて(渾て)。まったく。「渾身コンシン」(からだ全体)「渾天コンテン」(すべての宇宙)「渾天儀コンテンギ」(地球儀の宇宙版。天球儀)
<紫色は常用漢字>

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