漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「思シ」<囟シ(ひよめき)がうごく>「偲シ」と「鰓えら」「顋えら」

2023年05月09日 | 漢字の音符
 鰓サイと顋サイに図版を追加しました。
 シ・おもう  心部

泉門(デジタル大辞泉)
解字 篆文は「心(心臓)+囟(ひよめき)」の会意形声。囟(ひよめき)は、幼児の頭の骨がまだ完全に縫合し終わらない形で、左右の前頭骨と頭頂骨とに挟まれた菱形のものを大泉門、左右の頭頂骨と後頭骨との間の三角形のものを小泉門という。この字で、ひよめきは大泉門を指す。
 思は、心臓の動き(脈拍)につれて大泉門がヒクヒクと動くこと。脳をおおっている頭蓋骨が心臓の鼓動でゆれるさまは、人が脳をはたらかせているさまであり、思う意となる。現代字は、篆文の囟 ⇒ 田に変化した。
幼児のひよめきが動く
意味 おもう(思う)。おもい。「思考シコウ」「思慮シリョ」(思いめぐらす)「思潮シチョウ」「意思イシ」(考え。おもう)「相思相愛ソウシソウアイ

イメージ
 「おもう」
(思・偲)
 心臓の動きにつれて、ひよめきが「ヒクヒクと動く」(鰓・顋)
音の変化  シ:思・偲  サイ:鰓・顋

おもう
 シ・サイ・しのぶ  イ部
解字 「イ(ひと)+思(おもう)」の会意形声。人が過去や物事をなつかしく思うこと。また、孜(つとめる・はげむ)に通じ、はげむこと。
意味 (1)[国]しのぶ(偲ぶ)。 (2)努力する。「偲偲シシ」(たがいにはげましあう)

ヒクヒクとうごく
 サイ・えら  魚部
解字 「魚(さかな)+思(ヒクヒクとうごく)」の会意形声。魚が常にヒクヒクと動かして呼吸する部分。えらをいう。

コイの鰓(「MCF Japan-CARP」より)
意味 (1)えら(鰓)。魚など水生動物の呼吸器。「鰓呼吸えらコキュウ」 (2)(魚のえらは口の両側の後ろにあることから)俗に人の両あごの下の部分を指す。正式な字は「顋サイ」。
 サイ・えら  頁部
解字 「頁(あたま・かお)+思(=鰓。えら)」の会意形声。人の顔のえらに当る部分。(魚のえらは口の両側の後ろにあることから)口の両側のあごの下のところをいう。また、あたまの上のヒクヒクうごく「ひよめき」の意でも使う。
 
意味 (1)えら(顋)。①人の顔でほほの下に当るあごの部分。「顋の張った人」②魚などのえら。正式な字は「鰓」(2)ひよめき(顋門)。乳児の頭蓋骨がまだ接合していない部分。
<紫色は常用漢字>

<関連音符>

 シ・シン  口部
意味 ひよめき。脳の蓋骨。また、生後間もない赤ちゃんの完全に閉じきっていない頭蓋骨の隙間のことを言う。音符「囟シ」を参照。 

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