新年早々、良書に出会いました。
「願いを祈りに」
願いを祈りに
7人の著者が、
それぞれの立場から「祈り」について書いていらっしゃいます。
どの方も祈りの中で生き、祈りを伝えることを実践されています。
その中で、私がもっとも胸打たれたのは、
東京大学名誉教授 中澤英雄氏の
「広島からの祈り」の中の一節。
平和運動の会議で、
被爆した母が、
やはり被爆して亡くなった幼い息子さんの最後の言葉を伝えるために発言した。
その言葉に一同が押し黙り、ただただ平和を祈ることとなる。
私は、その信じられないくらいに愛にあふれた言葉を読んだ瞬間、
胸をつかれ、涙が出ました。
自分の愚かさ、狭さをいやというほど知らされました。
そして、ヒロシマを通しての平和活動の問題点、
平和運動=反戦であるがゆえの限界を指摘されてもいます。
人間は、嫌なものは忘れたいもの。
犠牲者の姿を二度とみたいとは思わない。
世界からみても、日本が平和を訴えることがもっとも納得がいくし、
そう期待されています。
被害者としての反戦運動から、
平和への祈りの国へとなっていかなくてはなりません。
さまざまな視点から「祈り」を語られ、
全編通して、エゴを解き放つことの重要さを痛感しました。
そうはいっても、説教くさいことはなく、
読後は清々しい気分です。
ぜひ、多くの方に手にとってお読みいただきたいと思いました。