AKB48の旅

AKB48の旅

AKB48SHOW#116に見るAKBの現在位置

2016年06月13日 | AKB
6月11日放送のAKB48SHOWは、特別な出し物とか、新しい何かがあったわけではないんだけど、地味に、というと違うかもしれないけれど、地道に響くものがあった。

まずは「翼はいらない」のフルサイズ。出演メンバーも岡田奈々さんのアンダーに田野さんの、現状のフルメンバーと考えてよいと思うけど、これが意外なくらいに響いた。

誤解を恐れずに書いてしまうけど、「翼はいらない」という楽曲って、今この瞬間のAKBにしかできない、裏返しの「旬」とすら言い切ってしまいたい、なかなかにとんでもない楽曲にして絵柄なんではないか。

とか言うと、何のこっちゃかもしれないけど、以前も書いたとおり、様々な「過去」の要素をてんこ盛りにしてるんだけど、歌詞の内容がその「過去」なるものを引き受けた上で、その全否定をしてるともとれる内容になってる。表面的に受け取ってもいいし、あえて深読みも許容してる。

そんなことを考えさせられたのは、実は次に披露されたチーム8による「夢へのルート」を見せられたから。番組制作サイドが意図したとは言わないけど、この2曲の対比は、なかなかに意味深に見えてしまう。

「夢へのルート」は、「翼はいらない」とは真逆、と言い切るのは語弊があるけど、とにかく元気で前向きで明るくて一所懸命。歌詞の内容はAKB楽曲恒例のストレートな「指導」になってるし、まさにアイドルど真ん中。出演メンバーがみんな輝いてる中、センターの山田菜々美さんがひときわ映えてる。

そんな「表」をストレートに見せられて、気づかされたのが「翼はいらない」の体現してる「裏」ということになるのかな。チーム8が言わば振り返るべき過去のない、「前しか向かねぇ」なのに対して、AKB本体には決してないがしろにできない、深く堆積した過去がある。その分厚い基礎の上に現在がある。

たいがいの人はシンプルに新しいものが好きなわけで、どちらを見たいかと言われれば「翼はいらない」ではなくて「夢へのルート」ということになるかもしれない。けれども1ミリ先の未来に手を伸ばすのに、歴史を反芻するのは決して悪くない。その上で「翼はいらない」と敢えて言い切る秋元氏の「覚悟」を、やはり私は支持したい。