AKB48の旅

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メッセージソングとしての「恋するフォーチュンクッキー」

2013年08月23日 | AKB
表面上は、自分に自信のない女の子という設定の歌詞だし、さっしーの当て書きであるかのように読める。それはそれでオッケーなんだけど、最初に聞いた時からそうなんだけど、実際に耳に滑り込んでくる言葉は、そこではないような。まあ人にもよるんだろうけど。

未来はそんな悪くないよ
ツキを呼ぶには笑顔を見せること
運勢今日よりもよくしよう
人生捨てたもんじゃないよね
あっと驚く奇跡が起きる
その殻さあ壊してみよう
先の展開神様も知らない
そんなにネガティブにならずに
世界は愛で溢れているよ
悲しい出来事忘れさせる
明日は明日の風が吹くと思う

以上、拾い上げてみたけど、歌詞の中に、普遍性のあるフレーズが多用されてることが分かる。そこに込められてるのは、控えめな前向き、つつましやかな希望、おだやかな未来。今の日本に、これ以上フィットする世界観はないように思うし、それは日本に限ったことじゃない。このメッセージが届く人は、ワールドワイドで相当な数に上るんじゃないか。歌詞の心地よさ、耳障りの柔らかさ、心に染み入る暖かさ。見事なメッセージソングとして成り立ってると思う。

そしてそんな見方が、私の勝手な思い付きなんかじゃないことも、「恋するフォーチュンクッキー」のMV冒頭の、AMラジオ音源風DJが語る言葉からも、伝わるように思う。

そしてもう一つ。耳で聞くだけでももちろんだけど、実際に歌詞を何度も口ずさんでみて、鼻歌で歌ってみて、気づけることがあるように思う。それは二番のラスト「明日は明日の風が吹くと思う」の「思う」と言う言葉。ここがちょっと前のめりになると言うか、わずかにだけど体重が乗る感じと言えば伝わるんだろうか。

この「思う」に込められた意思、その実態は、個々人でそれぞれに違っていて当たり前だけど、静かに息を吸って前に一歩出る、対峙すべき現実に向かうという意思に思える。さらに言うなら、1ミリ先の未来を探るという、秋元康氏らしさが、こっそりと表現されてるようにすら思う。

「恋するフォーチュンクッキー」は曲だけでも神曲だけど、実はこの歌詞こそが秀逸で、秋元氏会心のできにして、その全力を見る気がする。秋元氏のギャンブラーとしてのカンが、この曲が勝負曲になることを、見抜いてるんだろうと思う。