ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

春の里山散策

2024-04-15 14:42:14 | 風景写真/春

ムカシトンボ探索

 東京都内にもムカシトンボが生息しており、羽化の季節となった。ところが、地域によっては激減している。その大きな理由が大雨である。2019年10月12日。過去最強クラスの台風19号が大型で強い勢力を保ったまま伊豆半島に上陸し、中でも静岡県や関東甲信越、東北地方ではこれまでに経験したことのないような記録的な大雨が降り、大規模な河川氾濫や土砂災害に見舞われた。東京の西多摩地域では、他の月の、月間降水量より多い384.5mmが、たった1日で降ったのである。
 この雨により、山地の渓流は人よりも大きな岩が流れ、崩落も起きた。当然、水生昆虫の多くが流されてしまい、ゲンジボタルでは、翌2020年の発生はほとんどなかった。それでも一昨年からゲンジボタルは徐々に復活してきたので、2017年以降にまったく観察していなかったムカシトンボの状況を確認するため、大雨から5年経過した今年、久しぶりに生息地を3カ所訪れてみた。結果は以下に示した通りである。

  • 生息地A:2014年と2017年に産卵を撮影した場所・・・崩落の為、徒歩でも通行できず断念(未確認)
  • 生息地B:2017年に羽化の様子を撮影した場所・・・・1頭の羽化殻を確認
  • 生息地C:2011年に水中のヤゴを撮影した場所・・・・1頭の飛翔を確認

 今回、生息地BとCでは、1個体ずつではあるが、生息を確認できた。まだ羽化時期の初期であるから、今後も個体数が増える可能性は高いが、生息地Cでは羽化殻が確認できなかったため、下流に流されたヤゴが下流域で生き延びて羽化し飛翔してきたとも考えられる。どちらも、観察当時とは川の様子が激変していたが、現時点での生息環境は良い状況であった。
 ムカシトンボは、成虫になるまで7年かかると言われており、今年羽化する個体は、2019年当時は若齢幼虫である。長く水中で生活することは、大雨などの危険に遭遇する確率が高まるが、ゲンジボタルと同じで水中に様々な齢の幼虫が生息していることは、個体群の絶滅を回避する意味もある。生きている化石とも言われるムカシトンボが、今も生き続けている保存戦略の1つなのであろう。しかしながら、我々が経験したことのないような記録的な大雨は、環境を一変させ、回復には何年もかかる。未調査なので何とも言えないが、仮に2020年以降の羽化数が極端に少なく、今年も少ない場合は、個体群の存続は厳しいかもしれない。本年の羽化数が多いことと、下流域等からの飛翔個体の多さに期待したい。
 残念ながら生息地Aは、5月中旬過ぎまで行くことができないため確認できないが、生息地BとCにおいては、今年はどの程度の個体が発生したのか、目視ではあるが継続して確認していきたい。

参照ブログ記事:ムカシトンボ

花と蝶の西多摩編

 今月最初の投稿記事にて「早春の里山散策」と題して狭山丘陵で撮影した里山の映像を掲載したが、今回は半月ほど経過した里山の様子を、場所を西多摩地域に変えて映像を撮ってきた。スミレやニリンソウ、二ホンタンポポなどの花々とスギタニルリシジミやムラサキシジミなどのチョウ、そしてトウキョウサンショウウオの卵嚢を収めてきた。映像と編集は、相も変わらず素人の出来であるが、生きているそのものの姿を見たことがない方々には、少しは参考になるのではないかと思う。

以下の掲載写真は、1920×1080ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画も 1920×1080ピクセルのフルハイビジョンで投稿しています。設定の画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ムカシトンボの羽化殻の写真
ムカシトンボの羽化殻
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F10 1/20秒 ISO 2500 -1/3EV(撮影地:東京都 2024.04.13 9:03)
ムカシトンボの羽化殻の写真
ムカシトンボの羽化殻
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/30秒 ISO 3200(撮影地:東京都 2024.04.13 9:47)
春の里山散策~花と蝶の西多摩編~
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