幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 あまりかわりはしない

2011-04-07 02:24:13 | Weblog

 
 
  あまりかわりはしない
 
  10年だろうと30年だろうと70年80年だろうと
 
  違いはない
 
  
  違うとすれば
 
  埃っぽい空気に
 
  熱せられ、照らされた昼下がり
 
 
  日曜日に礼拝に行き
 
  家に帰る道すがら
 
  聖なるものを選び
 
  地面を見つめる
  
  善と悪が隣り合わせに
 
  右足と左足
 
  
  昼食を食べ
 
  進化論を否定し
 
  思想で遊ぶ
 
  夕暮れの光と戯れるように
 
  響いてくる黄昏
 
 
  子供は子供であることを忘れ
 
  今いる所すら忘れ
 
  たしか10だったはずなのに
 
  なにもかも忘れ
 
 
  そのとき
 
  80は不要かもしれない
 
 
  醜い屍のようになって
 
  輝くような回想のみが
 
  唯一の夢だとしても
 
 
  存在するものはすべて老い
 
 
  朽ち果てる
 
  
  10を数え
 
 
  指を折り
 
 
  また開いて
 
 
  太陽にかざす
 
 
  10でも80でも
 
 
  変わりはしないのだとささやき
 
 
  埃っぽい地面に堕ちる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
  
 
 
  
 
 

 
  
 
 
  
 
 
  
 
 
  
 
  
 
  

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