幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 ぼくの本質

2010-12-14 03:53:19 | Weblog

 
 
  ぼくはなんにも進歩していない
 
  同じ所をぐるぐる回っている
 
  悪夢のように
 
 
  明日も仕事を休むだろう
 
  これから眠れてももう朝だ
 
  まったく行く気がしない
 
  病気だ
 
  
  わるいが、病名はつけられない
 
  うつでも統合失調でも人格障害でもない
 
  死に至る病でもない
 
  ニーチェ病でもない
 
  まして中二病でもない
 
 
  自分病だ
 
 
  宗教的な病
 
 
  存在の根源的な病
 
 
  本来あるべき姿である病
 
 
  わたしは本来、健康ではなかった
 
  そして、その苦しみが好きだった
 
  健康で幸せよりも
 
  病気で不幸の方を選ぶ
 
  なぜなら
 
  この世に健康で幸せな状態で享受したい喜びなどないから
  
  
  自己否定であり
 
  他者否定であり
 
  存在の否定だ
 
 
  社会の否定であり
 
  時代の否定であり
 
  未来の否定だ
 
 
  このような病の周期は十代を迎える前から始まった
 
 
  厭世的になり
 
  なにもしなくなり
 
  時間の感覚が狂ってくる
 
 
  神と話をしようとするが
 
  そうすると、そのときに限って、不覚にも眠ってしまう 
 
  
  唯一、神に似た存在があるとするばそれは
 
  母の愛だ
 
  でもそれとても、世間の色に染まっている
 
 
  だから脱け出す術はない
 
  いつの間にか自分自身の小さなサークルのパターンに閉じ込められ
 
  繰り返しが始まる
 
 
  なにが善でなにが悪か
 
  だんだんあいまいになり
 
  コントラストを失って混ざり合っていく
 
 
  そんな中で
 
  自分、自分、自分と叫んでいる人たちの言動がうるさく響く
 
  そして 
 
  だんだんと
 
  すべての言動が無意味になり
 
  人間のしゃべることが全て空虚になる
 
  ただのたわごとの集積
 
  
  唯一、自分の肉体の生理だけがリアルだが
 
  それとてもかなり低い代謝で維持されている状態
 
  怠惰と言われればそれまでだが
 
  神秘的、啓示的、トランス的リアリティーに飢えているという点で
 
  ただの愚鈍な怠惰とは区別される
 
  まあ、それとても
 
  自分の中だけに通用する意味でしかないのだが
 
  私という存在は、そのように無意味で
 
  しかも低俗過ぎるほどの神秘性を帯びている
 
  
  つまり、この私の本質は
 
  今までなにも変わることなく
 
  長い年月の間に、少しも進歩せずに
 
  小さな同じサークルの上を
 
  グルグルグルグル回っていただけだったのだ
 
 
  だから今となってはもう
 
  自分を諦めるしかない
 
 
  私は何もできない
 
  もう少しも努力できない