幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 絶対

2010-09-13 00:19:00 | Weblog

 
 
  たった今さっき
 
  本当の権威が雲の間から現れて
 
  絶対はあると言った
 
 
  その絶対は世間にはない
 
  だから手放す
 
 
  相対界の絶対の法則
 
  それが光速の絶対性なら
 
  その光より速いものがあったら
 
  この世の時間はひっくり返る
 
  法律も政治も道徳も
 
 
  だから絶対を手放し
 
  手放すことによって
 
  絶対界を意識する
 
  この世、
 
  この相対の世間にあって
 
 
  ぼくは肉体を持ったひとつの限界
 
  精神も弱いし意志も弱い
 
  そこに相対の時間がのしかかったら
 
  簡単に壊れてしまう
 
 
  絶対が支えてくれない限り
 
  たったひとつの息もできないはずなのに
 
  ぼくはその絶対を手放す
 
  なぜならぼくはひとつの限界として
 
  この相対の世間に存在し
 
  壊れることを受け入れなければならないから
 
 
  やがて壊れる
 
 
  肉体を
 
  心を
 
  記憶を
 
 
  失う
 
 
  そのときが絶対だ
 
 
  それ以外
 
  絶対という言葉はあり得ない
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

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