「夏炉冬扇」
夏の火鉢に冬のうちわ、
時期に合わない無用なものの
譬えです。
何気なく
「夏」という字を引いてみると、
すいにょうという部に入り、
もとは舞の名前、
その舞が夏に行われたところから
季節の名前になったようです。
面白いことに、
このすいにょうという部には
3つしか字がないのですが
その一つに、夔という字があります。
キと読み、「もののけ」という意味
角があり一本足で、面・手・足は
人に似た怪物とあります。
「ものけ姫」という映画がありましたが、
もののけという漢字があるのは驚きです。
夏炉冬扇と同じような意味で
「臘扇」という言葉があります。
臘とは12月の別名で、
臘扇とは12月のうちわということで
やはり、無用のものという意味です。
明治の宗教家に「清沢満之」という
この方の命日を「臘扇忌」といいます。
自己否定に徹したところから
こういう名前を付けられたのでしょう。
戦後になって司馬遼太郎さんから
高い評価を受けて一躍
有名になった方です。
それまでの仏教に対して、
特に明治以後においては
ヨーロッパという長い伝統を持った
思想との対決ということで、
そういう対決を通して
仏教を明らかにしていこうという
意識が高まったのです。
清沢満之という方は英語にも堪能で、
仏教を西洋哲学という観点からも
見直されていった方です。
そして、
夏目漱石や正岡子規にも
多大な影響を与えた方です。
夏炉冬扇
今の私にとっては
何かしらとてもぴったりする
言葉です。
ということもあって、
この言葉が気になったと思います。
しかし、調べてみると
いろいろ尽きないほどの興味が
次々と湧いてくるものです。
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