本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

話しのオチ

2018-04-08 21:15:30 | 住職の活動日記

お釈迦様のお誕生日、花まつり

ということもあってお寺詣り

そしてお話も聞きました。

昨年もお聞きした

「篠田暢之先生」の法話です。

一応『忖度』というお題で

今話題の言葉ということもあって

興味深い話でした。

 

先生も初め聞いた時には

「そんたく」?「損得」かと

聞き違えたほど

「忖度」はそれほどメジャーな言葉

ではなかったということです。

 

昔から法話には僧侶の方々も

苦労されたようで、

話しが始まると眠くなる

言葉も難しいし、意味もわからない

眠くなって当然なのです。

 

そこで、禅宗の白隠禅師

仏画と仏語をもって

白隠さん独特の語り口、

そして奇抜な書画でもって

民衆の教化に尽力した

ということです。

 

「忖度」ということも

もともとは

衆生を悟りの境地に導き

苦しみからのがれさす意味

だそうです。

だから、神仏の有り難さへの

気遣いを忖度といったのでしょう。

 

白隠禅師より少し前の方で

策伝(さくでん)安楽庵策伝

この方が法話をわかりやすく説かれ

白隠と違って禅画や禅語でなく

話芸でもって説かれたと

いうことです。

岐阜の生まれで、

晩年は総本山誓願寺の法主となられた

誓願寺は京都の中心、新京極にあり

女人往生の寺としても有名です。

説法を『醒酔笑』(せいすいしょう)

眠りを覚まし笑わせ

そしてその話の落としどころ

仏の話になったという。

この『醒酔笑』が現代まで続く

落語の礎を築いたということです。

 

ですから、

「オチ」ということは

笑わせて最後は仏の話に落とし込む

仏の話にストンとおちる

そこから「オチ」ということが

でてきたのです。

 

最近ではよく漫才師の方が

また素人の人まで

「その話しのオチは?」

ということをよく使いますが

本当は仏の話に持っていく

仏教の話に落とし込む

ということなのですが、

 

その『醒酔笑』は8巻あり

話しの題材も千近くあるそうです。

ということもあって

「策伝」は落語の祖と

呼ばれるようになり、

今でも「誓願寺」では

奉納落語会が催されています。

 

そこで、

今日の篠田先生のオチは

忖度を損得と聞き違え

忖度は「心の秤(はかり)」

 人としての生き方や歪を正す

 意味が込められ

損得は「生計の秤」

 ビジネスや生計を維持する工夫

損得は間違うと自分の都合へ向かう

行き過ぎると過剰な金銭欲に走り

人としての品位を疑うことに繋がり

『生きる価値』が見失われる

と結んでおられました。

 

そして、これからの時代

「成長から、成熟へ」

成長成長とプラスだけでなく

成熟という引き算の社会が基本

となる時代、

笑いの中に仏の真実を観取する

心のゆとりが社会で求められると

 

とても面白く有意義な一時でした。

 

お釈迦さまの降誕会

お寺にお参りして

こういう話を聞くのも大切な

一時のように思います。

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする