「 死は、生命の
最高の発明だ 」
スティーブ・ジョブズ
彼の言葉を聞いていると、どうも仏教の香がする。
有名な、
「 ハングリーであれ、愚か者であれ 」
( Stay hungry 、 Stay foolish ) は、
禅宗の教えで、
『 愚の如く、魯の如く、よく相続するを
主中の主と名づく 』
を、訳したものといわれている。
『 愚 』 も、おろかという意味、
そして、 『 魯 』 も、おろか、という意味です。
よく、お坊さんが自分のことを謙遜して、
「 愚僧 」 といいます。
また、親鸞はご自身のことを 『 愚禿 』
( おろかなはげあたま ) と、
自分の立場を、一番下におかれています。
「 無知の智 」 とはソクラテスの言葉です。
そして、 『 相続 』 ということを
「 ハングリー 」 と表現されたのでしょう。
そこには求道していく力を感じます。
満腹になれば、落ち着いてしまって、
道を求めるということもなくなってしまいます。
「 死は、生命の最高の発明である 」
この言葉を聞いたとき思い出したのは
スティーブン・スピルバーグ監督の
『 A.I. 』 という映画です。
( Artifical ) 人工の
( Intelligence ) ( 知能 )
という、人型ロボットの物語です。
ロボットに愛情はもてるのかというのが
スピルバーグ監督のテーマだったようです。
子どものいない夫婦にロボットがやってくる。
( 実は不治の病の子供がいるのです )
その子どものロボットは絶対に裏切らない
愛情を持つようにプログラムされている。
ところが、不思議にも
本当の子供が快復してその両親の元に返ってくる。
ということで、ロボットの子どもは捨てられる。
それからいろいろあって、
そのロボットは海に落ちて海の底に沈んでしまう。
それから、 2000年が経ち …
人類は滅亡してしまう。
未来の生物が来て、海の底でその子どものロボットを発見する。
大変興味深げにその子どものロボットを調べ、
過去の人類の情報を拾い上げる。
そこで、この子どものロボットの愛情に興味を持ちます。
「 何か欲しいものはあるか ? 」
未来の生物は尋ねます。
その子どものロボットが未来の生きものに頼みます。
「 もう一度、お母さんに会いたい。」
「 お母さんの情報は何かあるか ? 」 と、
すると、ポケットからお母さんの髪の毛を取り出します。
「 これだけでは、お母さんを作り出すことは出来ない。
出来ても、一日だけならなんとかしてあげよう。
そのかわり、君のいのちも亡くなる。」
このままでいれば、この子どものロボットは
永遠に生き続けることができる。
お母さんを復元してもらえば、それで君の命も亡くなる。
子どものロボットは迷います。
「 でも、もう一度、お母さんに会いたい ! 」
未来の生物は、一日だけのお母さんを作り出します。
子どものロボットはお母さんの胸にだけれて、
お母さんと一緒に一日のいのちを生きるのです。
そして、お母さんと一緒に死んでしまいます。
この映画を見たとき、
「 いのち 」 そして 「 死 」 ということを
考えさせられました。
不思議なことに、この映画はアメリカでは不評で
日本での興行がヒットして収益が出たということです。
「 A.I. 」 意味は 人工知能ということですが、
キーボードでは 「 あ.い. 」 と打ち込みます。
『 愛 』 というメッセージも
込められているのではないでしょうか。