喜多院法興寺

住職のひとりごと

「がん探知犬」マリーンが早期がん発見

2012-04-25 06:41:44 | Weblog
4月25日付 編集手帳 読売新聞

 {いまの京都府、丹波の国で犬が 狢 ( むじな ) (アナグマ)を食い殺したところ、狢の腹から 勾玉 ( まがたま ) が出てきた。飼い主が朝廷に献上したと、『日本書紀』(巻第六)にある。犬の名を「 足往 ( あゆき ) 」という。
◆狢の体内に宝物のにおいを嗅ぎ取ったのか、どうか。正史に名前の刻まれる栄誉に浴したのだから、大変なお手柄なのだろう。足往君も、しかし、マリーンさんには 兜 ( かぶと ) を脱ぐに違いない。
◆雌のラブラドルレトリバー、10歳である。子宮がんなど婦人科がんでは、マリーンが患者の尿からほぼ確実にがんを嗅ぎ分けたことを日本医科大学千葉北総病院、宮下正夫教授のグループが判別試験で確認したという。
◆自覚症状のない早期がんも嗅ぎ分ける。マリーンの感じ取るにおいの物質を見つけることで早期発見の技術につなげることができるならば、どんな宝物にもまさる“鼻のお手柄”だろう。
◆〈 犬類 ( けんるい ) に 金木犀 ( きんもくせい ) の花の 香 ( か ) はいかにかひびくこのゆふぐれに〉(小池光)。わが愚鈍な鼻にさえ、花の香りは響く。春 爛漫 ( らんまん ) の花の季節、濃縮ジュースを薄めずに飲むのにも似た苦痛がありはしないか…と、誉れ高き“犬類”の鼻をふと案じる。}


 千葉県南房総市内の専門施設で訓練を受けた雌のラブラドルレトリバー「マリーン」は
子宮 頸 ( けい ) がんや卵巣がんなど5種類の婦人科がん患者43人の尿では、すべてがんと判定。子宮筋腫など、がん以外の婦人科疾患29人の患者の尿では、1人分を誤ってがんと判定したが、それ以外は間違わずに嗅ぎ分けた。宮下教授は「自覚症状がない早期がんでも嗅ぎ分けられる。犬が感じているにおい物質を特定し、早期発見の技術につなげたい」と話している。