4月8日付 編集手帳 読売新聞
{1年前の今頃はどうしていたかと、無性に気になる。大震災の後の非日常的な毎日の中で、記憶が混乱していることが少なくない。こんな時は新聞の縮刷版を開くと、ありありと思い出すことができる。
◆昨年のきょう4月8日朝刊に「『花見自粛』見直す動き」とあった。ソメイヨシノが満開の東京・上野公園は、夜までは続けないが昼は盛り上がろうという宴会グループでにぎわっていた。井の頭公園では「宴会自粛」の看板を撤去した、との記事も。
◆被災者のために、被災地のために、何をしたらいいのか、あるいはせめて、何をしないのがいいのか――皆が悩み、試行錯誤する日々だった。もちろん、それは今も続いている。
◆卒業式目前の震災発生で、離ればなれになったままの宮城県の中学卒業生が「2012年3月11日に同級会を開催します」と携帯メールを交わし、再会を誓い合っているとの記事もあった。先日、 叶 ( かな ) ったはずだ。その場に居合わせなくとも情景は 想 ( おも ) い描ける。
◆〈さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉〉。平年より1週間近く遅れて桜前線、北上中。東北まで追いかけて行きましょうか。}
4月8日は花祭りでお釈迦様の誕生日でお寺では花見堂を作り、金属製の幼仏像をその中にまつり、甘茶を参拝者によってその誕生仏にかけ、お祝いをす日です。お釈迦様が生まれた直後に周囲を見わたし七歩あるいて右手を天に指し左手を大地に向けて「天上天下唯我独尊」と言ったとか。甘茶とは砂糖入りのお茶というわけではなくユキノシタ科のアマチャやウリ科のアマチャヅルを煎じた飲料です。麦茶に似た色をしていてちょっと甘くちょっとにがく、とろりとした飲みごこちがします。我が寺院では、飲みやすい紅茶に砂糖を入れたお茶を用意しています。
{1年前の今頃はどうしていたかと、無性に気になる。大震災の後の非日常的な毎日の中で、記憶が混乱していることが少なくない。こんな時は新聞の縮刷版を開くと、ありありと思い出すことができる。
◆昨年のきょう4月8日朝刊に「『花見自粛』見直す動き」とあった。ソメイヨシノが満開の東京・上野公園は、夜までは続けないが昼は盛り上がろうという宴会グループでにぎわっていた。井の頭公園では「宴会自粛」の看板を撤去した、との記事も。
◆被災者のために、被災地のために、何をしたらいいのか、あるいはせめて、何をしないのがいいのか――皆が悩み、試行錯誤する日々だった。もちろん、それは今も続いている。
◆卒業式目前の震災発生で、離ればなれになったままの宮城県の中学卒業生が「2012年3月11日に同級会を開催します」と携帯メールを交わし、再会を誓い合っているとの記事もあった。先日、 叶 ( かな ) ったはずだ。その場に居合わせなくとも情景は 想 ( おも ) い描ける。
◆〈さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉〉。平年より1週間近く遅れて桜前線、北上中。東北まで追いかけて行きましょうか。}
4月8日は花祭りでお釈迦様の誕生日でお寺では花見堂を作り、金属製の幼仏像をその中にまつり、甘茶を参拝者によってその誕生仏にかけ、お祝いをす日です。お釈迦様が生まれた直後に周囲を見わたし七歩あるいて右手を天に指し左手を大地に向けて「天上天下唯我独尊」と言ったとか。甘茶とは砂糖入りのお茶というわけではなくユキノシタ科のアマチャやウリ科のアマチャヅルを煎じた飲料です。麦茶に似た色をしていてちょっと甘くちょっとにがく、とろりとした飲みごこちがします。我が寺院では、飲みやすい紅茶に砂糖を入れたお茶を用意しています。