喜多院法興寺

住職のひとりごと

漢字が30%ほど含まれている文章は読みやすいという

2010-11-27 09:50:57 | Weblog
11月27日付 編集手帳 読売新聞
 {漢字が30%ほど含まれている文章は読みやすいという。20%では締まりがなくなり、40%では幾らか硬い感じになると、ジャーナリストの林邦夫さんが『「大漢和辞典」を読む』(紀田順一郎編、大修館書店)に書いている>
◆“漢字率”30%と言われてもちょっと見当がつかないが、三島由紀夫『潮騒』の書き出し部分がちょうどその比率とか。書棚の新潮文庫版をひらくと、なるほど、活字の並んだ姿が心なしか美しく感じられなくもない。
◆仮名という生地の上に浮き出た模様――漢字をそうたとえたのは作家の高田宏さんだが、日本の活字文化とは漢字と仮名がつくりだす織物の美でもあるのだろう。
◆29年ぶりに改定された常用漢字表が30日付の官報で内閣告示される。追加された196文字には「 鬱 ( うつ ) 」や 語彙 ( ごい ) の「彙」など画数の多い漢字も含まれている。いわば 刺 ( し ) 繍 ( しゅう ) の新しい糸である。学び、慣れていくなかで日本語の面白さや美しさに触れる中高生もいるだろう。伝統の織物に親しむきっかけになればいい◆蛇足ながら小欄458文字のうち、本日の漢字は162文字、35%、三島さんの芸当は 真似 ( まね ) できない。}

 強烈な自決をした三島由紀夫が死んで40年、関連本が続々と出版され「憂国の士」素顔に脚光を浴びている。三島由紀夫を知る人は、「憂国の士」という文脈よりは、気さくで頼りがいのある父性的な存在の印象が強い。『楯の會』で見た三島由紀夫と普段の三島とは印象が違って別人の印象だという。三島著作の「金閣寺」や30%漢字の『潮騒』などが増刷され売れているという。