喜多院法興寺

住職のひとりごと

柳田稔法相は事実上の更迭

2010-11-23 08:14:24 | Weblog
11月23日付 編集手帳 読売新聞
 {正岡子規が大学予備門、のちの旧制一高を受験したとき、英語の試験問題に「Judicature」という単語が出た。隣の受験生にこっそり聞くと、「ホーカン」(法官)だという。
◆子規は答案に「 幇間 ( ほうかん ) 」(=たいこもち)と書いた。司馬遼太郎さんが『坂の上の雲』(文春文庫版)に書き留めている。法官を束ねる立場の人も似たような勘違いをしたのかも知れない。
◆法相はいいですよ。答弁を二つ覚えておけば務まります…。地元の支持者らを前にして下手な幇間よろしく、笑いを誘って聴衆のご機嫌を取り結ぼうとした自虐ネタが 仇 ( あだ ) となり、柳田稔法相が国会軽視の発言で引責辞任した。
◆火災現場でダジャレを言う消防士はいない。手術中に漫談をする外科医もいない。スピーチをする人ならば誰しも多少の笑いを取りたいのが人情とはいえ、国難と呼んでもいい「尖閣」問題の渦中に身を置く閣僚が、職務を 貶 ( おとし ) める冗談をみずから口にする。常識の 埒 ( らち ) 外 ( がい ) であり、資質を疑われても仕方があるまい。
◆タイコだけにバチが当たります―― 小 ( こ ) 咄 ( ばなし ) のサゲではなし、緊張感を欠いた菅内閣のお粗末は笑うに笑えない。}

 柳田稔法相は22日午前、辞任に当たり、広島市の会合で、よく知っている仲間なので、気を許し過ぎ、結果的に不用意な発言をした事に陳謝した。この柳田法相の地元の支持者らを前にしての、リップサービスが、命取りになった。検察問題や「尖閣」問題の渦中に身を置く閣僚が、のうてんきな馬鹿話をする時期ではなかった。もっと早くに辞めさせるべきだった。