喜多院法興寺

住職のひとりごと

ガン増殖を止めるタンパク発見

2005-10-05 05:14:23 | Weblog
 今回ノーベル賞の賞者に日本人は入っていなかったが、誠に残念である。しかし、中谷喜洋教授は米ハーバード大の研究チームと共同研究で、がん細胞の増殖を止めるタンパク質を発見した。
 培従来の抗がん剤の多くは、正常細胞のDNAにも影響を及ぼすため、副作用が強い。効果も限定され、薬だけで治癒可能なのは、血液やリンパ球などごく一部のガンしか効果がなかった。しかし特殊培養したがん細胞内のp600は、ほとんどすべてのガンに効果が期待できるとみている。

朝日新聞
 がん細胞の増殖を止める鍵になるたんぱく質を、米ハーバード大の中谷喜洋(なかたに・よしひろ)教授(分子生物学)らの研究チームが発見した。がん細胞内で、このたんぱく質「p600」の合成を妨げたところ、、次々と自滅したという。子宮がんや骨肉腫など、様々ながん細胞で効果を確認しており、新しい抗がん剤の開発につながると専門家は期待している。今週発行の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載される。

 体内では、役目を終えたり、異常が見つかったりした細胞が増殖を止めて自ら死に、新しい細胞が生まれることで新陳代謝が繰り返されている。この細胞の自殺(アポトーシス)がうまく働かなくなると、細胞は無秩序に増殖し、がんになる。中谷教授らが発見したp600は、アポトーシスに深くかかわっているとみられる。

 同教授によると、培養したがん細胞内のp600は、正常細胞と比べて異常に増えており、「自殺機能」が働かなくなっていた。そこで、p600の合成を妨げる特殊な手法で培養細胞中のp600の量を減らすと、がん細胞は次々と死んでいった。正常細胞には影響がなかった、という。

 子宮頸(けい)がん、骨肉腫、乳がん、直腸がんの細胞で、がん細胞は10%以下になった。胃、小腸、大腸、肺、卵巣、前立腺の各がん細胞では、同様のp600の異常増加が起きていることが分かった。このため、中谷教授は「ほとんどすべてのがんで効果が期待できる」とみている。

 ただ、人体への臨床応用には、p600に結びついて過剰な働きを抑え、しかも毒性のない物質の開発が必要になる。その後、健康人での安全性の確認、患者への治験などの段階を踏むことになる。

 従来の抗がん剤の多くは、細胞のDNA合成を妨げるもの。正常細胞のDNAにも影響を及ぼすため、副作用が強い。効果も限定され、薬だけで治癒可能なのは、血液やリンパ球などごく一部の特殊ながんだけで、より一般的な胃がんなど固形のがんを治癒する薬は、ほとんどないのが現状だ。