別府町をゆく(22) 瀧瓢水物語(14) 浜までは 海女も蓑着る 時雨かな
瀧瓢水物語(1)で紹介した句ですがもう一度紹介しておきましょう。
瓢水が、ある年の暮れ、風邪をひき籠っていたことがありました。
ちょうどその時でした。
一人の雲水(うんすい)が瓢水の噂を慕ってその葦屋に訪れました。
あいにく、薬を取りに行くところだったので、「しばらく待っていてくだされ・・・・」と言い残して待たせておいて、一走り薬屋へ薬を取りに行きました。
後に残された雲水は、「瓢水は生命の惜しくない人間と聞いていたが、案外な男だった・・・」と言い捨てて、そのまま立ち去っていきました。
帰ってこの話を近所の人から聞いた瓢水は「(雲水は)まだそんなに遠くはゆくまい、どうかこれを渡してくだされ」と言って、一枚の短冊にさらさらと書いたのは、「浜までは 海女も蓑着る 時雨かな」の一句でした。
(*生命は、固執するものではないが、最後まで大切にすべきものである)
これを受け取った雲水は、非常にわが身の浅慮を後悔し、再び瓢水翁を訪れ一晩中語り明かしたといいます。
この瓢水の句碑(写真)が、平成5年11月3日に宝蔵寺(瓢水の菩提寺)の境内に建てられました。
*『瓢水』(瀧瓢水句碑建設記念誌編集委員会)参照
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