神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

六所神社

2008年09月28日 | 京都府
京都府相楽郡南山城村野殿


地図を見ていると、こんな山奥に集落があるのか、と驚くことがある。
鉄道駅からの距離、幹線道路からの距離、そこに至るまでの道路事情、地形などなど、山奥と感じさせる要素はいろいろあるけれど、標高もその一つであろう。
京都府唯一の村である南山城村にある野殿集落の標高は約500m。これが中部山岳地帯なら何でもない高さだが、京都府南部となると、かなりの意外性がある。
周辺の山々の標高は500~600m台。ほぼ山頂に村があるようなものなのだ。
事実、どの方面から入るにしても、長い坂道を上らねばならないし、幹線道路である木津川沿いの国道を走ってみても、そこから見える斜面の上に、集落が存在するとはとても思えない、まさに隠れ里のような場所である。
そんな場所にあって、気になる集落の野殿であるが、そこに六所神社という茅葺の社殿を持つ神社があるというのだから、私としては行ってみるのが当然の成行きで・・・。



狭く九十九折の道を野殿に向かって走る。峠を越えれば、地形が変わり、伸びやかな風景となる。
標高が高いのだから、当然のことながら周りの山々は丘のように低い。何となく「山奥」というイメージのせいか、その広く明るい風景が予想外に感じられる。
集落手前で夜明けを待つ。


清々しい目覚めを邪魔してしまったか、背後の民家で犬が吠え立てる。気になりつつも、心は目の前の参道に奪われる。


勧請縄がある。何を模ったものだろうか、魚らしきもの、箒らしきものなどがあって興味深い。


鳥居手前に杉の大木がある。
残念ながら、大木といえるほどのものはこの一本のみ。


整然と、よく清められた参道だ。


徐々に社殿へと近づいていく。
が、実は光の状態が良くなるのを待って、何度も往復していたりする。


事前に調べて、参道は杉林で暗いこと、社殿のある境内は砂地で明るそうなことは判っていた。太陽が出てからだとコントラストが強くなりそうなので、ここを撮るなら早朝と決めていた。
参道を行ったり来たりして、何回往復したか判らなくなる頃、この光線状態に出会う。ほぼ予想通りで理想的な光。お気に入りの一枚が撮れた。


早朝が終わり、朝の訪れである。


本殿に見える建物は、覆屋のようなもので、中には朱塗りの小さな社殿が六つある。
拝殿もそうだが、どちらの茅葺も葺き替えてからそんなに月日は経っていないようだ。


社殿の横から背後の森へと小道が続いている。さして深い森ではないが、小さな流れもあって鳥が囀っていた。


2万5千分1地形図 島ヶ原
撮影日時 080731 5時~6時40分

駐車場 なし 神社への分岐点辺りにある公民館前に駐車可
地図