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神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

熊野神社

2009年03月24日 | 京都府

京都府舞鶴市杉山


京都府と福井県の境、大浦半島の付け根あたりに青葉山という山がある。
白山火山帯に属するコニーデ式の死火山で、若狭高浜付近から、その秀麗な姿を望むことが出来、若狭富士とも呼ばれている。
京都府側から見ると、全く異なった無骨な山容となるが、私はこちらから見た青葉山が好きだ。
若狭出身の小説家、水上勉の初期の作品に「霧と影」というものがある。
推理小説なのでフィクションではあるが、その舞台として登場する青峨山が、この青葉山であると思われる。
私が中学生の頃、植物の豊富な山、ということで青葉山の存在を知り、そしてこの「霧と影」を読んだ。
そこに描かれる深い樹海と山麓にある閉鎖的な集落。殺人の舞台になるのだから、小説での描写は不穏な空気を孕んで不気味さが漂っているが、実際には海を望む明るい山だ。
ただ、深い樹林もあるし、山頂で一泊した際には不思議な体験もしているので、明るさだけでなく、どこか陰を感じる山でもある。

前置きが長くなったが、山麓をうろついただけのものも含めれば、青葉山へは6回以上訪れていて、とても思い出深い山なので、麓にある神社のどこかに行ってみたいと思っていた。
地図を見て気になったのが、山の西側にある杉山集落そばの神社記号。
火山の裾野を思わせる緩やかな傾斜にあって、背後には深い森がありそうに思える。
更にgoogleの詳細な地図を見てみると、僅か150メートルほどの距離に、熊野神社、秋葉神社、大杉神社の三つの神社が記載されていた。
いったいどんなところだろう、と興味を抱かせるに充分であった。


集落の外れに車を駐車し、舗装された狭い横道に入る。
地形図にある神社記号の位置は熊野神社で、その一本隣の道を進めば大杉神社へと辿り着く。

大杉神社の名前の通り、杉の巨木が目に飛び込んでくる。
神社の下からは水が湧き出ており「大杉の清水」と呼ばれ、平成の名水100選に選ばれている。
柄杓や立て看板はあるものの、水自体はコンクリートの溝を流れており、溝から直接すくって飲むので「名水」という雰囲気でもなく、素朴であるのが好ましい。
各地の山で谷川の水を飲んできたが、ここの水は相当おいしいと感じた。



鳥居も質素であるのが嬉しい。
神社の向かいはワサビ田で、かつて杉山のワサビと言えば、日本一の味と言われるほどだったらしい。
一度は途絶え、現在は復活に向けて取り組まれているようだ。
当然、栽培には大杉の清水が使われているから、さぞかし風味豊かなのではなかろうか。



大杉の樹齢は800年を超えるという。
右に伸びる大木はタブノキ。



長い歳月を生きてきた木には、他の植物も根を下ろす。



社殿、というか祠は、前後に並んでいる。



大杉神社の横手から山へ登っていく道があり、それを少し進むと石灯籠が現れる。
短い石段の先に岩が聳えていて、その基部に祠がある。
どうやらこれが秋葉神社で、独立した神社としてみるのは少し厳しい気もするが、水、大木、岩と、この辺り一帯の環境自体が信仰対象に相応しいと言える。



秋葉神社から更に山道を進む。ほぼ平坦なので苦労は無く、それなりに踏まれた道を3分も歩けば熊野神社前に出る。
電柱が無粋だが、緑豊かな空間が迎えてくれる。



鳥居と社殿の間の鮮やかな緑は公孫樹の葉で、色付けばさぞかし美しいだろう。



鳥居横の杜を見る。
向こうに見える祠のようなものは、実はトイレだったりする。



それにしても濃密な緑だ。
雨が降る中の参拝だったが、滴る水滴まで緑に染まってしまいそうな場所。



本殿。



本殿左手には、さざれ石のような露岩があり、何か祭祀されているようだ。



その背後の杜。
よく見れば、斜面の先、木々の奥に岩肌が見える。
踏み跡程度の小道があったので登ってみることにする。



ぐずぐずと崩れ易い嫌な斜面を登りきると、先ほどの秋葉神社と同じく、安山岩質と思われるざらついた岩が聳えており、そこに穴が穿たれ木枠が嵌め込まれている。
ちょっと高い位置にあるので、中をしっかり見ることが出来なかったが、何かの像が置かれていた。
かつては修験道の山として女人禁制だった時代もあるらしいから、その関係かも知れない。



熊野神社から集落への道を歩く。
山の間を雲が覆っているが、その下は海である。
風光明媚で気持ちの良いところで、いずれ晴れ渡った日にも再訪してみたい。


2万5千分1地形図 青葉山
撮影日時 081023 6時半~8時50分

駐車場 神社への分岐近くで道が広くなっている場所がある。
地図

 


熊野神社

2009年02月26日 | 京都府

京都府綾部市黒谷町


国道27号線を舞鶴から南下すると、綾部市に入って最初に現れる集落が黒谷町だ。
和紙で有名なところらしく、その伝統技術は京都府無形文化財にも指定されている。
国道から外れ、その黒谷の狭い谷間を奥へと進む。
左は民家の石垣、右には谷川が流れていて狭く離合困難な道だ。
谷川の水面から道路までの高さは僅かで、強い雨が降れば直ぐに冠水してしまいそうだけど、車に乗りながら清流を感じることが出来て風情がある。
そんな道を暫く進むと、やがて正面に熊野神社が見えてくる。
谷沿いにあって、短いながらも参道がありそうだったので、ちょっといい環境かな、と軽い気持ちで立ち寄ってみたのだが、正面に現れたその姿は、紅と黄に彩られた美しい空間だった。


~一の鳥居から二の鳥居~















杉の立ち並ぶ参道の奥に、紅と黄の木々に覆われて二の鳥居がひっそりと立つ。
華やかなのだけれど、華やかという表現が似合わず、静まり返ったような気配が立ち込める。
とは言っても、実際には石灯籠にニホンミツバチの巣があって、盛んに出入りする彼らの羽音が賑やかだった。それは私には好ましく感じられる賑やかさである。
参道は苔生し、緑の絨毯に散らばる落ち葉は妖しさを感じさせるほど赤い。


~一の鳥居を振り返る~





参道だけが杉林で、周りは明るい空間である。
この仄暗い参道を歩くと、気持ちが高まると同時に、別の部分では静まっていくような落ち着きを与えてくれる。


~社殿~





社殿周りは明るい。
本殿は覆屋の中であるが、拝殿と繋がっていて撮影が困難だったので割愛。
本殿背後に末社群。


~参道横の風景~











参道横から社殿横は、神社の敷地だとは思うが憩える広場となっている。
凄艶なほど赤く色付くモミジと、公孫樹の落葉の絨毯に、暫し夢見心地になる。
下から三枚目、竹垣で目隠しされた簡素な建物はトイレである。トイレそのものは美しいとは言い難いけれど、風景を乱さず、景観に配慮されたものだ。


~社殿横の風景~







社殿横のモミジは、赤と黄色の中間の濃淡で着飾っていた。
ちょうど薄日が差して、その枝振りをシルエットにし、葉は光を透かして輝く。


~社殿背後の風景~











境内横から背後にかけては谷川が流れている。
社殿の裏からは山道が伸びていて、竹林へと続いていた。
その奥では、杉林の中で公孫樹が色付いていた。


2万5千分1地形図 梅迫
撮影日時 081116 13時20分~15時半

駐車場 参道横のスペースに駐車可
地図

 


奥上神社

2009年02月12日 | 京都府

京都府舞鶴市吉田


西舞鶴の市街地を抜けて殺風景な埋立地を北上すると、やがて左手から山が迫り、舞鶴湾の狭い海に寄り添うようになる。
短いトンネルを抜ければ吉田の集落。更に進めば、以前に紹介した白杉神社がある。
集落内に車を入れるのは遠慮して、海岸沿いの道の広くなっている場所に駐車する。
家並みの間の狭い道を歩くが、漁村というよりは山里の風情。車で進むよりも、のんびり歩く方が気持ちよい。
途中、瑠璃寺というお寺があり、舞鶴市の天然記念物に指定された枝垂桜がある。京都の吉田山から移植されたものと言われ、集落名もそこからきているとか。長い歴史を辿れば、海縁の小さな集落であっても、様々な場所や人物に繋がっていくのだろう、などと考えると楽しい。
小さな川に沿うようになると、徐々に人家も減ってゆき、田畑と山が広がる風景になる。所々に柿の実の彩りが見え、そして奥上神社も見えてくる。
時刻は夕暮れ時で、鳥居周りを覆う大木が仄暗い陰を作り、しっとりと境内を包み込んでいる。
ああ───と、安息の呟きを漏らしてしまうような、そんな気配で満たされていた。



鳥居周りはケヤキの大木が圧倒的な存在感を放っている。サルノコシカケも巨大で、まさに猿が腰を掛けられる大きさ。他にはムクノキ、カゴノキなどが見られ、狭いながらも豊かな杜だ。
左端に、仄かに浮かび上がる二の鳥居にも、ちょっと身震いがするほど惹かれた。


一の鳥居、正面から。


小さな集落の小さな神社でしか味わえない空気に出逢えた気がする。


外はまだ明るいが、境内には柔らかく陰が降りてくる。


息を潜めて待っていれば、そろそろ木々たちが語らい出すのではないか、なんて夢想をしてしまう。


参道から直角に曲がった先に二の鳥居。


二の鳥居前は苔の絨毯。


拝殿と、出雲タイプの狛犬。


拝殿と本殿。
本殿背後は、やや木々が浅いのが残念。


本殿横の狛犬は、小さくて愛らしい。横顔は童子のようであどけない。


正面から見ると、ちょっとオマヌケな表情だったりするけれど・・・。


本殿背後から。
台座にちょこんと座る風情も可愛らしい。
苔生した石垣、夕暮れの陰翳。


夕暮れ時というものは、時に寂しさを連れてきたり、子供の時分なら怖さを感じたりもしたものだけど、今は心地良さが大きい。奥底には畏れみたいな感覚もあるが、この気配の中に溶け込めそうな気さえする。


こちらは小さいながらも厳めしい横顔。


正面から見ても厳めしい。が、やはり小さいためか、愛らしく感じる。


神社の外から、おばさん達の立ち話が聞こえてくる。
聞くとはなしに聞いていると、やがて別れの挨拶。「はよ帰らな猪が出てくんでー」。
冗談まじりの、だけどちょっと本気にも聞こえる田舎らしい挨拶に、思わず笑みがこぼれた。


2万5千分1地形図 西舞鶴
撮影日時 081023 16時~17時

駐車場 神社横駐車可? 海岸沿いの道からは徒歩8分ほど。
地図
 


阿須須岐神社

2009年01月25日 | 京都府

京都府綾部市金河内町


予定より随分と遅れて、夕暮れ間近に金河内集落に着いた。
広場でお年寄り達がゲートボールをされていたので、神社に駐車場所があるかどうか訊ねる。
すると四、五人の方が集まってきて、駐車場所どころか、間違いようの無い一本道の道のりまで説明して下さる。
それぞれが口々に話され、冗談も混じったので、静かな山村風景は賑やかに彩られた。

集落内の狭い道を進み、その突き当りが神社前。
茗荷占い等、興味深い神事が行われる式内社であるが、所在地の地形だけ見ても惹かれる要素はあって、以前から行ってみたい神社の一つであった。
集落名が金河内、神社の別名に金宮大明神、背後の山が金ヶ峰、とあるので、単純に鉱山に関連する神様が祀られているものと思ったけれど、主祭神ではなく、末社にその名が見られるのみ。
地名などから、かつては付近に鉱山があったと考えることは出来るし、その衰退と共に祭神も移り変わったのかな、などと、何の裏付けもないけれど、勝手に想像してみたりする。



民家の尽きた山際に、ひっそりと鳥居が立つ。
鳥居の左手から、茗荷占いに用いるための「御茗荷田」へ続く小道がある。


阿須須伎神社とも書かれるが、鳥居の扁額は「岐」になっているので、ここでは阿須須岐神社とした。


さして深い杜ではないし、さして深い参道でもないのだが、夕暮れ時ということもあってか神寂びた気配が立ち込めて、思わず息を潜めてしまうような雰囲気。


参道は左に直角に折れ、二の鳥居の先に社殿が見えてくる。


やはり、息を潜めて暫し見入ってしまう。




拝殿前の狛犬は、前脚に修繕の跡が見られるものの、もはや原型を留めていない。
風化した姿は寂しくもあるが、石は丸みを帯びて優しげなものにも感じられる。

以下、拝殿の風景が気に入ったので、何枚か似たようなものを。











紅葉も綺麗だったが、何より静けさに浸れる空間であった。


本殿。
覆屋に覆われているものの、横からつぶさに見る事が出来る。


本殿左手の境内社。


神事舎越しに本殿右手の境内社。


その更に右奥に稲荷神社。


鳥居左手から御茗荷田へ続く小道。右奥に板垣に囲まれた御茗荷田が見える。
道は、その先の石段を上って社殿のある境内へと続いている。
ここは木々が深く、既に夜のように暗い。


あまり使わないISO400の感度で30秒ほどの露光。
見た目の明るさとは違うし、見た目の色とも違う。だが、心象風景といえば大袈裟になるが、その場で感じた雰囲気には近いと思う。


杜の奥は闇と言っていい暗さ。その暗がりの中で、枯れ枝を踏み締める音が響く。鹿や猪などの動物達が活動し出す時間なのだろう。
ただ、黄色く色付いた葉だけは、自ら光を放つかのように、いつまでも鮮やかに浮かび上がっていた。


2万5千分1地形図 梅迫
撮影日時 081116 16時~17時10分

駐車場 鳥居前にスペースあり
地図

 


朝禰神社

2009年01月14日 | 京都府
京都府舞鶴市倉谷


山里の神社が好きだから、市街地周辺の地図は、おざなりに見る傾向がある。
ここ舞鶴も、西と東にそれなりに大きな市街地を形成していて、どうせなら街から離れた場所を、と思うけれど、港町でありながらも三方は山に囲まれており、ちょっと蔑ろに出来ない雰囲気がある。
そんなわけで、街の中心部はともかく、山際にある神社記号を丹念に見ていくと、一ヶ所、とても目を引く場所があった。それがこの朝禰神社であった。
西舞鶴駅から東へたったの1km。山際とはいえ、これほど市街地に近い神社をここに載せるのは珍しい。けれど、地図を見てもらえば判る通り、参道はかなりの距離がありそうで、ちょっと行かずにはおれないような雰囲気を感じる。
何となく、いつもとは勝手の違う地理的条件なので、どんな場所か想像し難い状態ではあったが、それを楽しく思いながら現地へ向かった。



街の中心部から少し外れ、工場と住宅と畑の混在する何だか掴み所の無い場所に辿り着く。畑の向こうに鳥居が見えているが、参道らしきものが見当たらない。適当に畦道のようなところを進んで鳥居前に着く。周囲に神社らしい雰囲気は無く、忽然といった感じで鳥居だけがある。


暫く進むと右手の林に末社群がある。少し離れた場所には稲荷神社もあったが、「當勝稲荷神社」と書かれていた。


左手に池が見えてくると、参道は山道の気配になる。


道が右へ直角に折れると、その先に階段が現れ、やっと参道の気配が高まってくる。


やや荒れた竹薮だが、奥深くへといざなわれるようで気持ちが昂る。


階段を上りきると、今度は左へ直角に折れ、先には二の鳥居が見えてくる。
もう市街地の気配は微塵も無く、心地良い山の気を独り占めしている気分。
尤も、人によっては不気味と感じる雰囲気であるかも知れない。


二の鳥居前から振り返る。
朝から雨が降ったり止んだりの天気だったが、時おり日が射すようになってきた。


ここからは石段の上り。


振り返れば、木漏れ日と鳥居のシルエットが美しく、暫し足を留めて見入る。


濡れた石段の質感と、木漏れ日の輝き。


石段を上りきれば、三の鳥居と、社殿のある境内が見えてくる。
社務所の、アルミサッシの雨戸がちょっと残念。


とはいえ、仰ぎ見る三の鳥居と、それを取り巻く雰囲気は素晴らしいものがある。


市街地近くで、よくぞこれだけの気配を湛えているものだと感心する。


木々に囲まれた、小さく開けた空間に本殿覆屋。
狛犬が二対、前向きに並んでいる。


本殿にも狛犬。手前には、どこの屋根に使われていたものか、鬼瓦らしきものも置かれている。


山里の神社より奥深いくらいの、素敵な神社空間を満喫させてもらった。


2万5千分1地形図 西舞鶴
撮影日時 081023 12時~13時50分

駐車場 なし
地図

 

大川神社

2008年12月18日 | 京都府

京都府舞鶴市大川


舞鶴市街からは離れた由良川沿いにある。
由良川は京都府を代表する川で、丹波山地の奥深くからの水を集めて日本海へと注ぐ。全国的に見れば、流域面積や長さは大したことはないけれど、私はこの川が好きで、大河の風格があると思っている。
一般の大きな川のような広い河口平野を持っておらず、それがこの川の良さでもあって、海まで僅か数キロの大川神社辺りでも、山と水田を基調とした長閑な風景になっている。海抜は3メートルにも満たないので、流れの殆ど感じられない、ゆったりとした大らかさがある。
神社名や地名の大川は、ありがちで単純な字面だけれど、そばを流れる由良川の豊かさを表しているようで好ましい。神社そのものも、舞鶴を代表する素敵なものだ。



国道から外れ、すぐに駐車場。狭く小さな谷間にある神社だが、社頭の風景は風格がある。


二の鳥居。
右手は社務所で、左手は一般の民家だろうか、立派な茅葺屋根がある。


中門。拝殿や本殿と共に、市指定文化財。


中門を過ぎると、参道横に立派なケヤキが聳えている。以前に紹介した白杉神社では、舞鶴市がランク付けした横綱ケヤキについて触れたが、こちらは大関にランクされている。


紅葉の見頃には、まだちょっと早かったが、それでも色彩の変化は目を楽しませてくれる。


拝殿と本殿。
本殿よりも拝殿の方が大きいことが多いが、ここは本殿が格段に大きい。


拝殿越しに本殿。
舞鶴市最大の本殿というが、舞鶴市に限らず、これほど大きな本殿は珍しい。


とても重厚な、堂々たるものだ。


彫刻も美しく、暫し見入る。


彫刻もいいが、何とも言えぬ木の色合いと陰翳が味わい深い。


静寂と躍動を併せ持つ気配。


最近になって気付いたのだが、どうも私は龍の彫刻が好きなようである。
他の神社でも、龍の彫刻を見ると、とりあえず写真を撮っているような・・・。

駐車場から国道を渡れば末社らしきものがあって、その裏には由良川が流れている。写真を撮り忘れたのが残念。


2万5千分1地形図 西舞鶴
撮影日時 081106 12時半~13時半

駐車場 あり
地図

 


水分神社

2008年12月07日 | 京都府

京都府綾部市於与岐町


綾部から舞鶴に向かって車を走らせていると、右手に特徴あるピラミッド型の山が見える。
弥仙山と呼ばれる山で、その山容から、信仰の対象となっていることは容易に想像出来るし、事実、修験道の山として開山され、女人禁制の時代もあったようだ。
山のガイドブックでこの山の存在を知ったのは高校生の頃で、登りたい山の一つであった。機会の無いまま歳月は経ってしまったし、興味の対象は変わってしまったけれど、当時から変わらずに地図を見るのは好きで、そして、この山の麓にある神社記号は気になる存在となっていた。
地形図を見れば、山頂、中腹、山麓にそれぞれ神社記号があり、頂上にあるものが金峯神社、中腹にあるものが於成神社(蔵王権現堂)、山麓にあるものが水分神社となっていて、出来ることなら山頂まで行ってみたいところだが、体力的に厳しいものがあるので、山麓の水分神社のみを訪ねることにした。
水分神社という名称は奈良近辺に多く、この辺りでは珍しいと思うけれど、水分の名に相応しく谷間に鎮座している。
本来は水を司る神であるが、地元では子授け、子育ての神さんとして親しまれている。ここに限らず水分は「みくまり」と読むので、それが訛って御子守、つまり子育ての意味合いを持つ神社が他にもあるようだ。



集落内の狭い道を抜け、谷間の奥に進んでいくと道が二手に分かれる。左の谷を少し遡れば神社前だ。
雨の中を出発したが、ここに着く頃には雨も上がり、ちょうど日が射してきた。


本来は薄暗い谷間なのであろう、鳥居にはノキシノブや苔が生えている。


石段を上れば正面に本殿。拝殿等は無い。


しかし、山中にある神社としては立派な本殿である。


虹梁が四本あるので、正面の木鼻も四つある。


本殿の向こうは神衣収納社。
子供の衣服を作って献納すると、その子の生長を守護してくださるとの伝説がある。


社務所はかなり傷んでおり、軒下にはコガネグモがたくさん巣を張っていた。
蜘蛛は大の苦手だが、このコガネグモは農薬に弱く、かつてより随分と減ったという。成体は冬を越せないので、秋も深まって、殆ど身動きもしない。


本殿右後ろにある弥仙山遥拝所。木々が茂って山頂は望めないが、奥に見えている道が、山頂へと通じている。


紅葉は、まだ微妙な色付き。


神社横の林道。
右はエノキ、左はカツラだろうか。雨上がりで枝先の水滴が輝いて、とても惹かれた風景。


葉は落ちても、繊細な枝の描く陰翳が美しい。


2万5千分1地形図 梅迫
撮影日時 081116 12時から12時半

駐車場 林道が二手に分かれる場所に広場あり。
地図
 


皇大神社

2008年11月30日 | 京都府

京都府福知山市大江町内宮


豊受大神社に続き、内宮である皇大神社である。
ここも豊受大神社の続きに初詣に訪れた場所であるが、こちらは今回で6回目の訪問になる。
6回も行くということは、やはり惹かれる要素があるからで、そこに広がる風景と、そこに充ちた空気には、独特の神聖性があるように思う。

先に豊受神社を掲載したが、撮影はこちらが先である。
参道から本殿へ、そしてそこから天岩戸神社へと道が続いている。天岩戸神社は個別に記事にすべきか迷ったものの、近接している上に、皇大神社から参拝順路のように道が繋がっているので、ここで併せて紹介しようと思う。
また、天岩戸神社からは皇大神社入り口付近へ車道が繋がっている。三角形を描くような感じでぐるっと一周してこられるので、私は一周しただけでなく、更に皇大神社を往復して撮影したので、掲載する写真の時系列はバラバラであったりする。
どちらの神社も、神社としてだけでなく、自然環境的にも優れたものがあり、風景も変化に富んでいるので、時間はあっという間に過ぎてしまった。



内宮の集落の外れから。
やや冷え込んだので霜が降りている。右手の川は宮川で、この川を遡ると天岩戸神社がある。


民家が途切れるところに神社入り口。


鳥居までは明るく開放的。


振り返ると、霧が晴れていく集落が見渡せる。


鳥居からは一転して木々に覆われた参道となる。
以前は途中に瘤の木といわれる独特の樹形をした大木があったが、枯死して随分経っていたせいもあり、最近になって倒壊したらしく跡形も無くなっていた。


石段上の大木は麻呂子杉と呼ばれるもの。
参道の幅もそれなりにあるので、山里の神社としてはスケールの大きな景観となる。


参道左手にある御門神社。
柱や壁が竹で作られた珍しいものだ。


石段を上りきると、黒木鳥居と拝殿が見えてくる。


極めて質素な鳥居であるとは思うけれど、それゆえの美しさがあるし、目立たないのに存在感がある。


中央に拝殿と、左右の脇宮。


本殿、脇宮ともに茅葺の神明造である、ということが、神聖性を高める大きな要素の一つだと思う。


本殿。


周りは数えるだけでも大変なほどの末社群。


本殿の背後に立つこの木には、何故かいつも惹かれてしまう。


全体を見渡せば広く明るい。それでも、しんと静まる空気が立ち込めていて、何物にも乱されないような気配がある。

他にも見所はいっぱいあるけれど、天岩戸神社に向かう。
途中、境内の片隅にトイレがあるのだが、その周囲にはけっこうな大木が多く、ちょっと勿体無い。


天岩戸神社への道のりの途中にある、日室ヶ嶽遙拝所。


車道に出て、そこからすぐのところに谷間に下りていく道がある。
石段下に社務所。


鳥居があって、更に谷底に向かって道は続く。


谷の水は殆ど伏流しているのか、所々に水溜りのような淵はあっても流れは僅か。


少し上流方向の岩の上に天岩戸神社。


小さな社殿だが、岩の上に建つその姿には気品がある。


まだ紅葉の色付きは淡いながらも、朝の光に輝いている。


谷間を風が吹きぬけていくが、ここにもやはり乱れない気配があった。


視線を左に転じれば、谷を塞ぐようにある御座石。
残念ながら、上流に民家があるため、水は僅かに濁りが感じられる。夏場は特に水質が悪化するようだ。


けれどその岩場にはダイモンジソウが群生しており、可憐な花が目を楽しませてくれる。


2万5千分1地形図 内宮
撮影日時 081106 6時~9時10分

駐車場 あり(300円)
地図
 


豊受大神社

2008年11月27日 | 京都府

京都府福知山市大江町天田内


今から10年近く前の大晦日に、何故か突然「丹後半島辺りに初日の出でも見に行こうか」という話になった。それなら、ということで、地図で見て気になっていた、「元伊勢」という場所に立ち寄ろうという流れになり、年が明けてまだ間もない午前2時か3時ごろに、まず外宮であるこの豊受大神社に辿り着いた。

当時はまだ神社巡りはしておらず、今以上に神社に関する知識は無かったので、「元伊勢」の何たるかも当然知らず、事実かどうかはともかくとして、元々はここに伊勢神宮があったと名乗っている場所、という認識だった。
べつにまあ字面から想像した認識が、極端に外れていたわけではないと思うが、もう少し正確に補足すると、伊勢神宮は現在地に鎮座するまで、理想的な場所を求めて各地を転々とし、幾度も遷座を繰り返したとされる。そのため、伊勢に至るまでの暫定的な鎮座地であった場所が、「元伊勢」ということになっているらしい。
つまり、各地を転々、ということから判る通り、「元伊勢」は一ヶ所を指すのではなく、実は27ヶ所もあり、しかもそれぞれの土地に複数の「元伊勢」を標榜する神社があったりもするので、最初に「元伊勢」の文字を見たときに受けたインパクトの強さは、ちょっと弱まってしまった。また、そもそも遷座を繰り返したこと自体、史実ではないとするのが一般的解釈であるようだ。

それはともかく、深夜と言っていい時間帯に訪れ、しかも初詣客で賑わっていた状態だったので、久しぶりに訪れてみると細かい部分でイメージがだいぶ違う。
実は内宮である皇大神社の方へは、その後、何度か足を運んでいるのだが、こちらは今回が二回目。集落に近く、小山の上にある明るい神社というわけで・・・。



駐車場から歩いてすぐのところに、船岡山と呼ばれる小山があって、石段が現れる。
こんな立派な石段があったか? というくらい記憶は曖昧だったりする。


ちょうど真正面から日が射してきて、この石段を撮るにはよかったのだが、境内を撮るには時間が遅すぎたようだ。
この船岡山、巨大な古墳説もあるけれど、地形図で見る限りは宮川と雲原川の浸食から取り残された残丘とみて間違いないと思う。ロマンが無いと言われそうだが、この地形だと、遥か昔は宮川は船岡山の西側を流れていたのでは、などと考えられるし、それもまたロマンではないかと思う。


石段を上りきると、右手からも小道が登ってきている。これが本来の参道であろう。下っていった麓には鳥居もあるが、現在はあまり利用されていないようだ。
写真は黒木鳥居で、樹皮を剥かずに用いる珍しいもの。京都の野宮神社のものが有名らしいが、ここと皇大神社、そこからもう少し北にある平神社も黒木鳥居。


拝殿と脇宮。
写真を撮るには条件が悪かったけれど、朝の清々しい空気に満ちた境内。


脇宮の屋根、拝殿の壁などは、最近に修繕されたようだ。


本殿は、勝男木と千木だけが真新しい。近いうちに屋根も葺き替えられるのかも知れない。


境内を囲うように、ずらりと並ぶ末社群。


初詣の時の、凍てつく夜の雰囲気も良かったが、静かで爽やかな朝もいいものである。


2万5千分1地形図 河守
撮影日時 081106 9時10分~9時半

駐車場 あり
地図
 


松尾神社

2008年11月17日 | 京都府

京都府亀岡市旭町


この神社の北には、以前に紹介した天照皇大神社があり、南には、紹介はしていないけれど、丹波国一宮である出雲大神宮があって、何かと近くを通る機会の多い神社であった。
地形図にも名前が出ているので気にはなっていたが、付近に適当な駐車場所も見当たらず、いつも素通りしていた。
それに、地図には参道部分に階段の記号があって、上り一辺倒のように思える。上下よりも水平方向の奥行きがある参道が好きだし、頭に浮かんだのは、やや味気ない石段ばかりの上り坂。まあいずれそのうち・・・、といった気持ちであった。
ちょっと前に、ここにいつもコメントを下さる方が、この松尾神社がとても良さそうだ、とおっしゃった。
改めて地形図を見てみる。一直線の階段記号が記されている。が、等高線の間隔は広く、勾配がかなり緩い。どう考えても上り一辺倒とは思えず、意外と懐の深そうな空間があるような気配。
いつでもいい、から、今すぐにでも行きたい、に変わった。
漠然と地図を見ていたことを反省。そして、行くきっかけを下さったコメントに感謝です。



未舗装の農道に入り、溜池の堤の上に上ると害獣避けのフェンスが見えてくる。扉を開けて鳥居前。
実はこの二ヶ月ほどの間で、これが三度目の訪問であったりする。


記号通り石段もあるが、素晴らしい奥行きのある参道である。
写真が上手く撮れないことが三回目の訪問に繋がっているし、今回は紅葉を見たいという目的もあるが、何度も訪ねたくなる理由が解ってもらえるのではないかと思う。


ふっ、と、吸い込まれそうな感覚。


鹿の鳴き声に猪の足跡。なかなか野性味の濃い場所である。


基本的には植林地帯で、木々も細いのが残念。
だが、杉を背景にするからこそ、ぽつんぽつんとある落葉樹が映える。


参道を振り返る。


いったん石段が尽き、緩いカーブを曲がると神門が見えてくる。


再び魅了される。


やや冷え込んだ朝だったので、霧がかかっている。
亀岡は霧の多いところだ。


社殿のある境内は一面の苔。
手水の音と、時おり響く鹿の甲高い声。ひっそりとした空間である。


霧が晴れてきて、淡く日が射してくる。


手がかじかんでいたせいか、水が温かく感じられた。
手水鉢の周りは池になっており、鉢から溢れ出た澄んだ水を湛えている。


社務所横は、見事な苔の道だ。


帰り際、光が差し込んできたので、絶好のシャッターチャンス、と思ったのだが、色やら光がゴチャゴチャしてうるさい感じになってしまった・・・。


過去二回、紅葉の時期ではない写真も少し載せておこうと思う。








                                         



本殿


境内社の鳥居


境内社から拝殿


社務所横から拝殿


手水鉢と池


2万5千分1地形図 亀岡
撮影日時 081112 8時半~9時40分

駐車場 なし 神社から1キロほど南にある中池のそばに、付近散策者用の駐車場がある。
地図