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仏って住みやすい?

2010年02月14日 | 社会問題
世界一住みやすい国は? 米誌ランキング発表(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース


 この記事を読んでいて、マイケル・ムーアの映画『シッコ』を思い出した。

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 この映画については、毎度のことだが、粉川哲夫氏による秀逸な批評がある(いかがリンク粉川哲夫の「シネマノート」
 ただ、この映画について、氏は、米側は「底辺」に照準を置くのに、比較対象の加や仏の場合には「中流」の人々にインタヴューしているのがフェアでない、と述べているが、この点には修正が必要かもしれない。
 たしかに氏の述べるとおりなのだが、ただ、米では多くの場合、職がなければ保険がカバーされないのに対し(私的保険だから)、仏では失業してても保険にはいることができる(国民皆保険だから)。そういう意味では、底辺を対象にしていても、結局同じだったろう。

 ここからは、個人的な経験の話になってしまうが。

 仏に関して言えば、大学生も、大学を通して保険に加入することができる。というか、両親などの保険に扶養者として加入していなければ、大学の健康保険に入らねばならない。つまり強制である。

 学生でさえ入らねばならないのだから、健康保険制度としてはかなり行きとどいていると言えるかもしれない。ちなみに私が留学していた時には年間で400ユーロ以下だったと思う。

 ただし、大学を通して入れる保険には年齢制限があり、私は年齢オーバーで大学を通した保険には入れなかった。で、言われたのが、一般の人(仏人)向けの公共の健康保険に行けという話。
 その健康保険が、仏の制度全体でどういう位置づけにあるかはわからなかったが(滞在したての頃で仏語がまだ不十分だったので)、一般的に言って職がない人などが入る保険であり、事務所の様子や手続きの状況などは、かなりすさんでいた。そんな中で列を作らねばならなかったのは、本当に大変だった。なんでそんな経験をすることに……、と今でも思うが。

 日本だとそれと違って……、と思うところもあるが、他方で、仏では出産なども健康保険でカバーされる点を考えると、現在の日本よりも良いと言うべきかもしれない。
 大体、少子化問題を云々するのであれば、そういうところから考えるべきだろう。


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