お寺さんぽ Ver.03

現在は更新をお休みしています。

三井寺 (滋賀・園城寺)

2010年05月30日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は滋賀県大津市の「三井寺(みいでら)」です。
たぶん…まだやってなかったと思うので。

実は「園城寺(おんじょうじ)」という、こちらのお寺。
その正式名称は「長等山園城寺(ながらさん・おんじょうじ)」なのでした。
…「三井寺」ではないんですねー。
というか、一文字もそんなん出て来ないんですが、詳しい理由については↓下でお伝えします。

現在でも広い寺領のあります「三井寺」は、やたらめったら古い歴史のあるお寺でした。
もともとの起こりは弘文元年(672)のこと。

三十八代「天智天皇」の死後、後継者争いの「壬申の乱(じんしんのらん)」が勃発しています。
「天智天皇」の弟で人望・実力のあった「大海人皇子」が後継者と目されていましたが、「天智天皇」には実子「大友皇子」がいたのです。
心情的にも、やっぱり我が子に皇位を…と願った「天智天皇」
いつしか両陣営には、自然と緊張した空気が流れていたようです。
危険を察知した「大海人皇子(天武天皇)」は先んじて吉野の山中へと逃れ、後に挙兵して「大友皇子(弘文天皇)」と対立。
瀬田の唐橋にて「大友皇子(弘文天皇)」勢は敗れてしまったのでした。

その「弘文天皇」の子「大友与多王」
無念の死を遂げた父の霊を弔うため、私財を投じてお寺を建立したのです。
私財ってのが、「田園城邑(でんえん・じょうゆう)」…要するに田畑から屋敷に至るまでのこと。
過去のライバル「天武天皇」より「園城(おんじょう)」の勅額(※天皇自筆の額)を賜り、「長等山園城寺」となったのでした。
平安時代には、朝廷から貴族までの信仰を集め、かなりの勢力があったみたい。


※金堂

さて、前述しております、なぜ「三井寺」と呼ばれるのか
こちらには各天皇(天智、天武、持統)の産湯に用いられたという霊泉がありました。
それがため、”御井(みい)の寺”と呼ばれていたんですね。
後に「智証大師」こと「円珍和尚」が、「三部潅頂」という催しにて使ったことが広く伝わる切っ掛けだったみたい。たぶん。

天台別院となったのは、中興した「智証大師」です。
この際に、”日本四箇大寺”にもなっているんですが、その後は内部の対立、比叡山延暦寺との対立、また源平合戦、南北朝の混乱など、再三の兵火に遭ってしまうのです。
相当な回数の焼き討ちをされながら、「源頼義」、「北条政子」、「北政所」、「徳川家康」…など、権力者の寄進で再興。
ついたあだ名が、冗談みたいな「不死鳥の寺」なのでした。


※単独で国宝展ができるくらいです。

現在のお寺は、だいたいが桃山時代から江戸初期頃のもの。
相当数な寺宝を持っており、国宝は十件、重要文化財は四十二件と 、古いだけあってさすがの品ぞろえ(笑)

国宝の金堂は豊臣家「北政所」の寄進によるもの。
慶長四年(1599)だから、もうすぐ関ヶ原な頃ですね。
本尊の「弥勒菩薩」は秘仏。
これが絶対秘仏なので、公開されることはないようです。
仁王門(※↑上写真)、釈迦堂などは重文。

有名な「黄不動」は日本三不動の一つ。
平安時代の国宝でやっぱり秘仏。
これは「金色不動明王画像」で、いわゆる立体モノでなくて絵。
先ほどの「智証大師」が感得したのだとか。


※弁慶の引き摺り鐘 ~確かに傷が見られます。

近江八景の一つとしても有名な「三井の晩鐘」
桃山時代のもので、県指定の文化財。
宇治「平等院」、高尾「神護寺」と共に日本三銘鐘されています。
その音色は「日本の残したい音風景百選」にも選ばれているんだとか。
それのモデルとなったのが、「弁慶の引き摺り鐘」
こちらは奈良時代の重文。
ああ、確かに引きずったような跡がありました。
誰が「弁慶」と組み合わせたんでしょうねー。
奈良時代の作とされ、「藤原秀郷」が例の百足退治のお礼として竜宮から持ち帰ったもの。
それを三井寺へ寄進したんですが…弁慶が奪い、引きずって叡山まで持っていこうとしたらしい。
撞いてみたところ、
”イノー・イノー”と、関西弁で「帰りたい」と響いたので、怒って谷底へ投げ捨てたんだとか。
とんでもないですね。

他にも珍しい仏像がずらりと揃っており、広さと多様な文化財でなかなか楽しいお寺でした。


[関連記事]
⇒ お寺バンザイ! (たまに行くならこんな寺・京都編)
⇒ お寺バンザイ! (たまに行くならこんな寺・京都外地域編)
⇒ 仏像の種類 (お父さんのための仏像講座) [前編] [後編]
⇒ 木彫の技法について (お父さんのための仏像講座)
⇒ 五大明王 (お父さんのための仏像講座)
⇒  お寺で動物ウォッチング「鳥獣座について」(お父さんのための仏像講座)
⇒ 不動明王 (由来 容貌 信仰
⇒ 不動明王坐像 (東京・金剛寺)
⇒ 降三世明王
⇒ 大威徳明王
⇒ 金剛夜叉明王
⇒ 軍荼利明王
⇒ 太元帥明王 (前編 後編
⇒ 孔雀明王
⇒ 愛染明王
⇒ 烏枢沙摩明王
⇒ 四天王編 (お父さんのための仏像講座)


 ★宜しければ応援クリックお願いします。  ⇒ 【人気blogランキング】

遙かなる時空の中で3 地の朱雀 武蔵坊弁慶 (1/10スケールPVC塗装済み完成品)

コーエー

このアイテムの詳細を見る

※武蔵坊弁慶…って、べべべ弁慶!?
 これはすごい。