『登るほど淡くなりゆく山桜』
(のぼるほどあわくなりゆくやまざくら)
『石段を囲むがごとく山桜』
(いしだんをかこむがごとくやまざくら)
『花見とは人世一夜に人見頃』
(はなみとはひとよひとよにひとみごろ)
『紅強き花海棠の艶光る』
(べにつよきはなかいどうのつやひかる)
『万葉に酔いしれ聞こゆ花馬酔木』
(まんようによいしれきこゆはなあしび)
『せせらぎに鐘の音見えし花馬酔木』
(せせらぎにかねのねみえしはなあしび)
『懐かしきごろ寝の朋よ野の菫』
(なつかしきごろねのともよののすみれ)
『アネモネの流す涙は無邪気ゆえ』
(あねもねのながすなみだはむじゃきゆえ)
『実に合わぬ花と成りけり木瓜の花』
(みにあわぬはなとなりけりぼけのはな)
『三椏は花より枝で名を残し』
(みつまたははなよりえだでなをのこし)
『みつまたの赤花小花なまめかし』
(みつまたのあかばなこばななまめかし)
『可憐さを群れて見せしは雪柳』
(かれんさをむれてみせしはゆきやなぎ)
『さわさわとうわさ話のゆきやなぎ』
(さわさわとうわさばなしのゆきやなぎ)
『桜咲くサクラと見えし桜草』
(さくらさくさくらとみえしさくらそう)
『何よりも紅匂う桃の花』
(なによりもくれないにおうもものはな)