超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ヒーロー当たり年

2016-08-31 05:55:34 | ヒーロー
今年はヒーローのアタリ年だそうだ。我らがウルトラマン生誕が50年、仮面ライダーが45年、スーパー戦隊が40年とキリのよいからである。そのせいか昨年も同じ時期に熱く燃えた「AJF(ANIME JAPAN FES)“夏の陣”」の2016バージョンに「スーパーヒーロー魂」というのがあり(前からあったようだが)、妻とZEPP東京に足を運んだ。南の島から帰国した翌日である。水木一郎アニキを先頭に串田アキラさん、Mojoさん、宮内タカユキさん「魂の三兄弟」、そして妻の好きな平成ウルトラマンシリーズのプロジェクトDMMに加え、ウルトラマンXに登場した初登場ボイジャーなど豪華メンバーで、旅の疲れなど吹っ飛んでしまいそうなイベントだった。「ヒーロー」だからアニソンとは微妙に異なり、特撮モノが主体で上記ウルトラ、ライダー、戦隊に加えメタルヒーロー(宇宙刑事やレスキューポリスなど)が加わる。メタルヒーローというのは我々が熱を上げたウルトラやライダーの初期の時代が一段落し、ちょっと歴史的には薄い期間に登場したもので、特撮好きの私もギリギリ何度か見たことがあるくらいだ。

2階席まで埋め尽くされたZEPP東京の「スーパーヒーロー魂」はこのメタルヒーロー編で幕を開けたが、建物が震えるくらいの大熱唱だった。私も生の放送はほとんど見たことがないが、甘辛が幼い時に「ヒーローを特集した」主題歌集やDVDを一緒に繰り返し見ていたので、聞いているうちに一緒に歌えるようになった。(さすがに周囲の人のように振付まではできなかったが)「世界忍者戦ジライヤ(串田アキラ」「特捜エクシードラフト(宮内タカユキ)」など・・・それぞれ節目の年ということで仮面ライダーシリーズは水木一郎さんが私もカラオケでよく歌う「仮面ライダーX」「仮面ライダーストロンガー」、宮内タカユキさんは甘辛の好きだった「仮面ライダーブラックRX」そのエンディング「誰かが君を愛してる」、スーパー戦隊シリーズはMojoさんから、(ミスアメリカが印象的だった)「バトルフィーバーJ」「大戦隊ゴーグルファイブ」「科学戦隊ダイナマン」など聴衆は声を枯らして盛り上がった。

  

そして我らがウルトラマンシリーズである。初代から50周年となるが大歓声(人気あるんだなー)と共に現れたプロジェクトDMMが歌うのは平成メドレー「ウルトラマンメビウス」「ウルトラマンコスモス」「ウルトラマンガイア」である。私はもちろん全身に鳥肌をたてて声の限りに歌い続けた。息子甘辛が幼い時から一緒にテレビにかぶりつき、ライブステージでは声援を送り続け、映画で手に汗握りながら、共に歩んだ「平成のウルトラマン」である。浅草ROXビルのウルトラマン倶楽部がついに閉店となった10年前の5月末、ホントの最終日に家族で訪れ最後のステージで肩車した甘辛は泣きながら店長「タロウ」に別れを手を振った。その時にも登場したプロジェクトDMMと歌った「ウルトラの奇跡」が流れた時、思わずうるうるしてステージが滲んで見えてしまった。隣の妻はDMMのファンだったが、私と同様息子の幼い時からの成長の記憶をダブらせて感無量のようだった。子供が大きくなって手がかからなくなると、夫婦は幼い時の話をして酒の肴にするものだ。

  

当人の甘辛だが、翌日茅ヶ崎の母親も含めて墓参りと会食を済ませた後、私と湘南新宿ラインで池袋に向かっていた。むろんこの夏の定番、サンシャインのウルトラマンフェスティバルである。初回開催以来、妻と二人で行った時も含めて甘辛の年齢+αのほぼ皆勤賞である。毎年色んな趣向が凝らされて、小さな子供から大人のマニアまで楽しめるようになっているが、やはり甘辛のように「青年」の域にいる若者が少ない。ウルトラ縁日の輪投げで指人形をGETする年でもないし、ペーパークラフトも卒業、なりきりムービーでCGを使って変身というのもちょっとイタい。ウルトラミニステージもおねえさんやウルトラヒーローと一緒に「体操」をするわけでもない。目当ては年々進化するライブステージとウルトラデパートだけでそれほど時間を見ていなかったのだが、意外に見どころや我々にしか通じない話題が満載だったのである。

    

まず入場すると科学特捜隊基地の作戦室とラボが設営されている。本編は小さい子ならトラウマになるほど恐ろしいシーンの連続だった、顔に独特な愛嬌があってやたらに弱く、人気の高い三面怪人ダダが登場したタイトルは「人間標本5・6」。宇宙船研究所を占拠し、人間をミクロ化器に閉じ込めて標本として持ち帰ろうとするストーリーだ。「そのダダを『宇宙人標本』としてラボで解析しようてな、中々ひねりがうまいよな」甘辛は感心しながら、その横に田舎の観光地によくある板人形の顔出しセットに歩いて行き、「オレ、最近ネタに敏感になったんだよな」と言いながら顔を出した。面白ネタを見つけて(作り出し)LINEに乗せて遊ぼうというのである。スマホのシャッターを押してやった後、つられて私も顔を出して撮ってもらった。

        

隣にはちょっとグロい「ミイラ人間」の分析ラボ室みたいなところがある。実は窓から首を突っ込んでみないとよく見えないのだが、隅っこにどうにも場違いな宇宙人がどう見ても意味なく立っている。「甘辛よ、あのペガッサ星人、怪獣酒場の『ダークゾーン』から持ってきたヤツだよな。たぶん」「って、ことは今は『秘密の部屋』は違う模様になってるってことか?」「あの場に持ってきた意味が分からねえな」「アンヌがいるわけじゃないしな」ミイラ人間に登場した怪しげな石や球体を分析した結果がメモに記されている。我々はこういうディティールを決して見逃さない。「何々、水素52%、炭素2%、窒素17%、酸素3%に塩素が21%?」「分子間力?なんかそれらしく書いてあるだけだな・・・・」このゾーンを過ぎると巨大なジオラマゾーンが現れる。いつもながら細部に渡って凝ったつくりをしていて、かなりの月日とコストをかけていることがわかる。甘辛はジオラマを色んな角度と距離から眺め、「いかに本物らしく迫力目線で撮れるか」に結構凝っている。ピントの合わせ方、怪獣を見上げる角度、人形のディティールなど色々コツがあるらしく、超兵器203号の方が演出効果があると思うのだが、彼の撮った画像のほうが何となく雰囲気が出ているのは否めない。

               

ジオラマゾーンの出口には10人くらいの列ができている。「あれの撮影だろ」見るとちょっと子供だましだが、写真でうまく撮るとスペシウム光線で青色発泡怪獣アボラスをやっつけるシーンになりそうだ。「あっちの方がネタにはいいんじゃねえか?」にやにや笑って冷やかすと「あれは・・・ステージの後で人がいなくなったら来よう」ミニステージゾーンはちょっと歪な形状になっていたが、中央にあった初代マンの顔は「実物大」だそうだ。ちょうどその時、ステージにはお姉さんがいて、やがて珍しく前へ行けないほどの観衆の前に、隊員服を着たちょっと太目の俳優とウルトラマンゼロが現れた。すごい人ごみで遠目によく分からなかったがお姉さんの「すごーい!みんなも本物初めて見たよねー」何の話題なのかすぐには理解できずに、「おい、ゼロの隣の二人知ってっか?」「いや、知らないな・・・あーっ、これだよ!アテネの金メダリストだってよ。オレ、ちょっと撮ってくるわ」甘辛が指さした掲示板を見ると、その日1回だけ登場する予定だったらしい。ウルトラの新しいライブステージでは五輪体操の金メダリストが実際に出演し、そのPRも兼ねて登場したらしいのである。ちょっと今までにない進化スタイルだった。

      

さらに年々進化するライブステージは、まだ展示会で見ただけの特殊なLEDモニターその他映像技術を駆使し、迫力あるものになっていた。「歴代のゼットンは宇宙最強の恐竜でありながら、なぜウルトラ戦士たちに倒されてしまったのか?それは『心』がなかったからである」子供相手のステージとは思えない深いテーマである。甘辛に言わせると、物語の組み立てがこれまでのどの話よりも緻密で、観客の「がんばれー!」という声援だけでなく、カードをかざしてパワーを送るなど新しい演出に対してもやたらに感心していた。中央前から5列でその迫力を堪能した我々はステージ終了後、ささーっと出口から脱出し、列ができていないことを確認して例の「スペシウム光線」ショットを撮りに行った。列はないが周囲に人はいるので結構恥ずかしく203号を甘辛に渡して「早く、早く!」と光線ポーズをとったが、「父ちゃんよ、近くてアボラスが入んねえぞ」「じゃ、こっちで!」スマホを渡して再び立ち位置に戻った。(後から画像を見たら、あれだけ光線の発射する右手の位置を合わせろと言ったのに、すっかりずれてるじゃないか・・・)

        

締めにウルトラマンデパートで買い物をして帰るのだが、最近ちょくちょくウルトラ物の販売があちこちであり、結構持ってるヤツばかりで私向きのアイテムはあまり見当たらなかった。ウルトラマン50周年のTシャツがあったが、翌日友人と行く約束をしている「怪獣酒場」はウルトラ戦士ドアップのシャツなど着て入れない(実際は入れる)。セブンのボクサーパンツだけ入れておいたカゴを見たら、甘辛がウルトラマンシトラス・ムスクなんてのを放り込んでいた。「(ま、そういう年頃なんだよな)」と苦笑して店内を物色して回り、レジに並ぼうとしたら「ずんっ」とカゴが重くなった。何と最新のウルトラマンオーブの変身アイテム「オーブリング」だったのである。しかもDX版だから5xxxx円!大学生にもなって・・・?シトラスムスクなら分かるが、すごい落差に思わず苦笑した。全てのウルトラ戦士のアイテムをコンプリートしたいらしい。「来年、甘辛は一緒に来るかなあ」と思ってきたここ数年だが、細く長ーく続きそうな気がしてきたのだった。今年はヒーロー当たり年、ウルトラマン50年、ということは来年は私の愛して止まない「ウルトラセブンの記念すべき」50周年である。


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