超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

我らが世代の怪獣感謝祭

2016-07-14 06:02:57 | 昭和
ここ数週間、以前紹介した「ディープでダークな」ウルトラの会メンバが盛んにメールが飛び交っている。ウルトラマン50周年記念「怪獣大感謝祭」が迫ってきたためである。放映されるのはなんとNHKBSプレミアム・・・お堅いイメージのNHKは普通だったら「特撮と時代の変遷」みたいな社会現象のような扱い方をしそうなものなのに、50年にわたる(正しくは最初の6兄弟までだけど)ウルトラヒーローの歴史のみを番組で綴るというのは驚きである。しかも今回は視聴者に好きなウルトラ怪獣と名作と思う作品を事前投票させてランキングの結果発表するという、AKB48の総選挙ばりのニクい演出がついている。6月中旬に中間発表の番組があって上位20位までを固定し、最終投票させその結果は本番の「怪獣大感謝祭」で発表するという念の入れ方だ。ダークウルトラの隊員達からは「ちなみに、私は1回目同様に怪獣は「カネゴン」、名作はウルトラマンの「故郷は地球(ジャミラの回)」に投票しました。Byハヤタ」「普段、仕事をしているふりをして「怪獣大感謝祭」の投票ページなどを開き、D・ウルトラチームメンバーには誰もゼットン推しがいないのか〜等を考えながら可能な限り真面目な顔を作り眺めております。by幽霊隊員」

中間発表番組が放映されると・・・「隊員皆様 昨日のNHK「怪獣大感謝祭」の中間発表はご覧になりましたでしょうか?なるほどといった内容が選択されていましたね。(一部、タロウやレオでは未見のものも多かったです)byハヤタ」かく言う私は新人見習い隊員らしく「中間発表の情報ありがとうございました。私もギリギリでしたが、『キングジョー』『V3から来た男』に投票しました。(たぶん「市場最大・・・」「超兵器・・・」はそのまま入るとおもったので)大人の苦さを持つ作品が多かったんですね。帰マンの「怪獣使いと少年」はメビウスの代になっての続編の方が味わい深いかもしれません。」怪獣投票の中間発表ではウルトラQがカネゴンとケムール人、ウルトラマンはさすが怪獣シリーズの元祖でバルタン、ピグモンをはじめ9人(体?)、私が愛してやまないセブンは3人、帰マンが2人、エースも2人、タロウはタイラント1ひとり、レオに至ってはかなりマイナーなノーバで終わった・・・

本番、怪獣大感謝祭のウルトラ怪獣投票は以上20人のノミネートされた(レコ大か?!)怪獣から8人を絞り出し、トーナメント形式で視聴者からの投票を紙相撲対決スタイルで進められていく。バルタン対メトロンは有名星人対決だったし、我らが宇宙ロボットは決勝まで勝ち進んだゴモラに残念ながら敗退・・・宇宙恐竜と友好珍獣の紙相撲対決はいくらなんでもハンデあり過ぎじゃないの?!さて古代怪獣ゴモラが栄えある第一位に輝いた要因は恐らくその幅広い年代に渡る登場回数であろう。恐らくウルトラシリーズで一番多いのではないか?(もしかしてバルタンかな)ウルトラ兄弟シリーズでは確か初代マンでの登場のみだったが、その後のパワードにもマックス、メビウスにも登場した。カードゲームになった大怪獣バトルではメインキャラとなり、最近のウルトラマンXではサイバースタイルと、元々の元祖典型的な怪獣から人間の味方、サイバーモンスター、そしてウルトラマンのアーマーと様々な姿で幅広い視聴者の支持層を得たのだろう。(まるで参議院選挙のようだ・・・)

怪獣は少しでもウルトラに触れた者ならば女性でも知っている有名どころばかりだったが、注目は「名作回」の投票だ。ウルトラシリーズへの思いと記憶が鮮やかに蘇る部門だ。Qはやはりカネゴン、初代マンもまたバルタン、ピグモンをはじめ6作品、セブンはさすが名作品が並び5作品、帰マンは4作品、エースは最終回のみ、タロウも最終回とウルトラ6兄弟そろい踏みの回のみ、レオへの投票は凄まじく「防衛チームが全滅してしまう」回だった。嬉しいことに(当然とも言いたいが)このサイトのモデルにもなっているセブンの「超兵器R1号」もノミネートされていた。それぞれの作品の紹介は世に山ほどある「ウルトラを語るサイト」にお任せすることとして、私なりに今回の名作品に選ばれた20タイトルを分類、考察すると・・・

「最終回」・・・ウルトラ戦士が戦いクライマックスを終え故郷に帰っていく回は誰もが強い印象と感動をもって見ていたはずである。帰マンは再びゼットンが登場したが、ちょっと話が唐突で二番煎じ感が拭えなかったのが落選の要因だろう。
「ウルトラ兄弟登場」・・・シリーズ後半は少し安っぽく登場してしまうが、当代のヒーローがピンチの際に以前のウルトラ戦士が現れるのはものすごく新鮮に感じたものだ。
「怪獣の世界」・・・愛嬌のある怪獣カネゴン、ピグモン、哀愁漂うシーボーズ、これぞ怪獣!というレッドキングやらチャンドラーらのそろい踏みなど、登場する怪獣のインパクトや豪華メンバーの回に票が集まったようだ。恐らここまではく一般的な「ウルトラシリーズを知る」女性から大人、最新シリーズを見る子供達の票が多数あったのだろう。

       

しかし投票者の中に、家族でテレビを見ながら妻をして「こんな会話ができる父子って町内に何人いるかしら?」とつぶやかせるような一定レベルのウルトラファンがかなりの割合で混ざっていて、語りだしたら一晩でも話せるような、それでも結構有名な作品が残る。
「ディープな世界」・・・当時の社会の風刺、未来の予見、人間の業など、とにかく考えさせられる作品で、文句なくセブンに多い。しかし息子甘辛に言わせると帰マンには「11月の傑作群」というのがあり、やたらディープな作品が続くというのだ。帰マンのエントリー2作品がまさしくそれだった。(ちょっとやり切れない話もある)「シュールな世界」・・・特定シーンのインパクトと言ってもよい。我が父子をもってしてもこのタイトルが「名作20」に入るとは予想できなかった。円盤生物によってMAC(地球防衛チーム)が全滅、隊長のモロボシ・ダンが行方不明になるのは衝撃的だったが、セブンの「第4惑星の悪夢」にはなんと、怪獣が出てこない・・・
そして本番における名作回投票第一位は我が父子の予想と期待通りウルトラセブンの最終回「史上最大の侵略(後編)」である。マンの最終回は番組中に放映されたが、その他選ばれた名作集は今後毎週1作ずつBSプレミアムで放映されるというからNHK様は素晴らしい。

             

名作ベスト10にはむろんこのブログのタイトルにもある「超兵器R1号」も選ばれていた。少し意外なものもあったが、概ね想定内の結果だ。そして息子とわいわい語り合いながらテレビにくぎ付けとなった3時間だったが、心地よ酔いが回ってくるにつれ、不思議な考えが浮かんだ。今回取り上げたウルトラシリーズは50年前からの約10年間、我々の世代は幼年/少年期くらいで再放送も含めると「どこまで湘南?」論議における茅ヶ崎のように「どんずば」ハマっている。名作として投票した「今」は誰もが分別良識ある大人になっており、作品ベスト10は当時の作品に込められた「幼児・小学生に分かるとは思えない」高尚なメッセージを「大人になって」察知した結果が現れているように思う。息子甘辛のように幼い時から父にこのメッセージ性を叩き込まれた者もいるが、当時制作者の「大人」が子供であった私達に何かを伝える(理解される)ために作ったとは思えないのに、あれらの名作は基本「我々の世代だけのためのものである」という感じがするのである。幼い年齢では物語の深さを全部理解できるわけもないが、「R1号の恐ろしさ」「真市少年の叫び(ノンマルトの使者)」「ジャミラの悲しみ」・・・は間違いなく何かを感じていて、それが数十年の時を経てメッセージとして昇華した(これは若い人に反論があろうが)のだと思う。小さい頃から息子を洗脳したおかげで、青年になった今、「あの素晴らしさ」を語り合えるのは嬉しいことだが、彼には彼の世代だけのためのヒーローたるものがあるんだと思う。ウルトラマン50周年を迎え、この手の興奮が(ただ一人このサイトで?)しばらく続くのが楽しみだ。