━ 上腕骨上顆炎(テニス肘・ゴルフ肘・野球肘) ━
前腕にある屈筋および伸筋の腱は、上腕骨の上顆の骨膜に付着していますが、
肘の関節を伸ばしたまま力を入れるスポーツ、特にテニスやゴルフ、野球を
長時間行ったり、不慣れな動作を繰り返し行っていると肘関節から前腕部に
かけて疼痛(とうつう)が起こってきます。
いわゆる「テニス肘」「ゴルフ肘」「野球肘」と呼ばれ、40歳代以上の
人に多く発生をします。
正式な病名は、「上腕骨上顆炎」といい、“使いすぎ”による腱の炎症と
考えられます。
その結果、ビンのふたを開けたり、雑巾を絞ったり、水道の蛇口をひねったり
重いものをつかんで持ち上げることもできなくなります。
そこで効果的なのが【曲沢 きょくたく】のツボです。
上腕骨上顆炎は、一度発症すると再発する傾向があるので、痛みを感ずる
動作をなるべく避け、筋力強化をはかったり、5~10分ほどのウォーミング
アップを心がけることも大切です。
ツボ療法・・・肘を曲げるとできる内側の皺(しわ)の先端にある
くぼんだところが【曲沢】のツボです。
━ 胃腸疾患、食欲不振、胆のう炎 ━
春でも夏でもない梅雨の時期をひとつの季節として、ほとんどの日本人は
認識しています。
そして「春」「夏」「秋」「冬」プラス「梅雨」の“五季”とすることが、
東洋医学の陰陽五行からも理にかなっています。
梅雨の雨は、農作物に恵みを与え、稲や野菜、植物などがすくすくと生育
するための大切な季節なのです。
しかし、梅雨時のジメジメとした湿気はからだにとって“湿邪”となって、
脾胃の働きを阻害します。
五臓に悪い影響を与える「風」「暑」「湿」「燥」「寒」などの外気を
「五悪(ごあく)」といいますが、食中毒や胃腸疾患などが多く発生するのも
湿気が原因しています。
そこで消化器系が嫌う外気(湿気)に負けない気血の調整が大切ですが、
【太乙 たいいつ】のツボ刺激が効果を発揮します。
温灸などで【太乙】穴の皮膚がほのかに赤くなる程度に熱刺激を行ったり、
3秒圧しては離すの指圧を7~8回ほど繰り返して行います。
ツボ療法・・・お臍(へそ)の上2横指(指幅2本分)の点から
左右両側2横指(指幅2本分)進んだところが
【太乙】のツボです。
━ 痔疾、婦人科疾患、冷え性 ━
「痔」は、「やまいだれ」に「寺」と書くように、寒い場所で長時間
座り続けて、お経を読んでいるために起こることが由来したかのようですが、
「峙」=そばだつ(じっと立ち続ける)ために生じた病が正しそうです。
同じように、しゃがむ、かがむ、中腰などの姿勢をとる機会の多い職業の
人は、腹圧が高くなるので、肛門周辺の血液が心臓に戻り難くなって、
うっ血しやすく、痔になりやすいのです。
そこで、痔をもつ人は排便の後、意識的にキュッと肛門をすぼめることは
有効な方法です。
また軽い体操をしたり、姿勢の転換をはかったりして、肛門への負担を軽く
するように工夫し、“よい排便”をこころがけることも大切です。
そして効果的なのが【下リョウ げりょう】のツボです。
温灸などで【下リョウ】穴の皮膚がほのかに赤くなる程度に熱刺激を
くり返し行います。
ツボ療法・・・腰椎と尾骨の間にある平らな骨(仙骨)には左右対称に
2列4個ずつの孔(あな=くぼみ)がありますが、
その一番下のくぼみのところが【下リョウ】のツボです。
━ 首の痛み・凝り、扁桃腺炎 ━
つねに頭を支え、腕の重みをぶら下げている割には細い首は、いつも動いて
おり、疲労し、痛み、凝りが現れても当然な箇所かもしれません。
しかも前かがみの悪い姿勢で、長時間パソコンなどのデスクワークを行って
いるのですから、なお更のことです。
首の痛み・凝りの治療として、まずよい姿勢をとることが大切です。
また精神的ストレスを避け、積極的に肩や首の運動不足を解消することです。
そして効果的なのが【天容 てんよう】のツボです。
息を吐きながら親指の先で【天容】穴を3秒ほど圧しては離すを
くり返し行います。
ツボ療法・・・胸鎖乳突筋の上際の側頸部で耳たぶの下端より
指幅2本分ほど下がったところにあるのが
【天容】のツボです。