Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

全身病という考え

2006-09-11 | 医療・病気・いのち
 癌に対する手術方法として、この10年~20年くらいで最も大きく変わったのは、乳がんに対するものだろう。

 20年前には、乳がんとわかれば乳房はもちろんのこと、大胸筋や小胸筋という筋肉までごっぞりと切除するのが標準術式であった。場合によっては肋骨まで切除することもあった。

 ただし、そのころから、乳がんは見つかった時点で全身病の可能性があり、局所の切除量いくら拡大しても予後の改善にはあまり関与しないとの考え方も出てきていた。進行度を見て乳房を温存する試みは欧米からはじまり、徐々に日本でも受け入れられ現在に至っている。

 ところで全身病とは何を意味しているのかといえば、見つかった時点で、乳房や腋窩リンパ節を越え、他の部位までがん細胞が流れていってしまっているという意味である。そして、流れ着いたところで再発を起こしてくるのである。

 再発しやすい場所は、肺、骨、脳などが上げられるが、他の癌と同様、全身どこにでも再発する可能性はある。頻度は少ないが、腹膜に広く再発し腸閉塞という形で再発が見つかることもある。それも、乳がんの治療後随分経ってから再発してくることもあるので、気が抜けない。

突然癌になる?

2006-09-11 | 医療・病気・いのち
 生活習慣病という言葉は、日々の積み重ねが今のあなたを、あるいは未来のあなたを形作るのですよ、という強いメッセージがこめられたものだと思う。ひとの体の9割くらいは、1年も経てば入れ替わっているわけだから、確かに日々の連続が体を作り変えていっているわけである。

 癌も生活習慣病という側面があり、だからこそ「癌にならないための生活10訓」などが存在している。

 癌と診断された人は、検査を受けた後に、「癌」と診断されるわけである。伝えられるまで、はっきりとは、あるいは全く自分が癌と思っていない場合がほとんどであろうから、診断を伝えられたときに、突然癌になった、急に癌といわれた、晴天の霹靂、などと感じるのは正しい。

 しかし、実際のところ突然癌になるわけではないのである。たとえば、胃癌と診断された場合、少なくとも数年以上前には、がん細胞は産声を上げているのである。

 そのがん細胞が分裂を繰り返し、徐々にその数を増やし、ある程度の大きさになってくると診断がつくわけである。進行がんにも、早期がんの時期があったのだ。進行してしまった癌を排除するのはきわめて困難。その前に、つまり早い時期に見つけようとするのであれば、検診を受けるしかない。ただ検診を受けても100%早期に見つかるわけではないけれど。

 ただし、きわめて早い速度で進行する癌もありますので、その場合は、突然と感じるのが当然と思われます。