Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

電池

2009-04-30 | 想い・雑感
精神科のある病院に勤務しているので
精神疾患のある患者さんに手術が必要になる場合
紹介されてくることがある

難聴と認知症があり紹介もとでは対応できない
という大腸癌の方が紹介されてきた
精神科病棟に入院していただき
術前検査などを行っていた

接した感じでは
それほど認知症が強いとは感じない
ただ難聴はひどく
なかなか意志の疎通ができない
ある医師は
聴診器を患者さんにつけてもらい
聴診器に向かって話していた
すると話が通じている


よくよく調べてみると
使用していた補聴器の電池が切れていただけで
電池を入れ替えると
普通に意志の疎通ができる

こちらの医師が気づくまで
紹介元も 家族も そして本人も電池切れに気づかないなんて・・・

ゆれる剣

2009-04-28 | 想い・雑感
まだまだ
たくさん
話をしたいのに・・・

病に倒れた 愛する人に
残された時間が限られてきたと
それもかなり少ない時間だと
医師から知らされたとき

ああ もっと
と誰もが思うのだろう

そう思うのなら
今度このことを言おう
次会ったときにこういってあげよう

などと言っていてはいけない

今 
今話せることを
心をこめて話さなくては

でも
多少の長短はあっても
皆 限りのあるいのち
私たちすべての頭の上には
ダモクレスの剣がゆれている

素直な気持ちで
さあ
語りかけよう

なみだの しずく

2009-04-28 | 想い・雑感
かなり先行きの見通しが厳しくなった40代男性患者さんがおられる
選択肢となる抗がん剤はすべて使ってしまった

これまでも事実をなるべく正確に伝えるようにしてきたので
今後はこれまで使用してきた薬剤の組み合わせを変えたりするしかないこと
治すことはとても難しいこと
なども含めゆっくりお話した

冷静に聞いている風ではあったが
どれほどつらいか

その一ヶ月ほど前
内視鏡検査では変化のないことをお伝えしたとき
涙を流しながら悪化していないことへの喜びを表した彼の心が
平気なはずがない

1時間ほどして
治療内容の補足のため彼の部屋を訪れた
穏やかな表情であったが
その目じりには
まだ乾ききらぬしずくがあった

琴弾の滝

2009-04-20 | 想い・雑感
暑くなく 寒くなく
ツーリングにぴったりの季節が巡ってきました
陽気に誘われて走り出せば
ソロやグループでのツーリングに出会う



琴弾の滝
「ことひき」と読ませるようです
天智天皇がこの滝のほとりで休んでいると
天女が舞い降りて琴を弾いた
という由来らしい
交通機関といえるものがほとんどない昔
こんな所までやんごとなき方が来られるわけがないと思う

それに滝の傍でしばらく休んでいても
琴の音にはどうも聞こえない
私の感性の問題でしょうが・・・

由来はさておき
なぜか滝の傍にしばらくいると
気持ちが穏やかになっていくのは
不思議な感覚

こんなことを言うと
すぐにマイナスイオンがどうしたこうしたとのたまう方がおられます
でもスミマセンが私にとっては意味不明です

レーザーに焼かれる

2009-04-13 | 想い・雑感
晴れた日に空を見たりすると
黒い糸くずのようなものが動いて見える
こういう症状は若い頃からあったのだが
数年前に時折視野の中心に黒い影が降りてきたりするので
一度眼科医に診て貰ったことがある
しかしそのときは大きな問題なしということであった

ところが数日前から急にその飛蚊症がひどくなった
それも右目のみ
変だなぁと思い
再度眼科医に相談したところ
なんと網膜剥離を起こしかけているとのことで
すぐにレーザー治療を受けることになった

何回かカチカチとレーザーを当てればおしまいと思っていたら
何十回と光を当てる
眼の奥から後頭部にかけて
痺れる様な痛みが走る

何度も繰り返し光を当てられているうちに
気分はうつろになり
涙はぽろぽろ
このタイミングで何か吹き込まれたら
間違いなく洗脳されちゃうよなぁ・・・
なんてことを感じ始めた頃にようやく終了

眼科医曰く
もう2~3日遅れていたら
本格的手術が必要になっていた可能性が高い と

どんな病気も早期に治療をすることが大切であることを改めて感じる

体のことで  ?? と思ったら
皆さんも早めに診察を受けてくださいね

花の季節

2009-04-09 | 想い・雑感
今年は桜の時期が随分早かった印象
やはりどんどん温まってきているのかなという気もする

ただ 西行が詠んだ

「ねがはくは花のもとにて春死なむ  そのきさらぎの望月の頃」

の中に出てくる
きさらぎの望月の頃というのは
西行が亡くなった年は 現在の新暦の3月29日に当たるということだから
当時その頃には満開になっていたのかもしれない

だとすると
今年の花も
極端に早いわけではない?

根治術ではないという選択

2009-04-07 | 想い・雑感
癌に対する手術を行う場合には
当然根治術をめざす
術前の検査や術中の所見から判断して
癌の取り残しがないであろうという手術だ

原発巣(本丸)を含めある程度広い範囲を一緒にとってしまうようにする
転移を起こす可能性の高いリンパ節も一緒にとるようにする

そういう根治術が当然という意識が身についているので
そうならない手術には違和感を感じるわけだが
その道を選ぶことになることがある


卵巣がんに対する化学療法を施行中に
胃癌からの出血を起こしたTさん

胃癌よりも卵巣がんのほうが予後規定因子との判断から
胃癌に対する治療は行われていなかったのだが
化学療法を継続すれば再出血の可能性ありとのことで外科に相談が来た

-----  卵巣癌による余命は1年との主治医からの話であったが
絶対とはいえないだろう
胃癌に対する根治術をしないで
そのうち再発するリスクを考えなくてよいのか -----

ご本人と相談の上結局局所のみを切除し
胃を大きく切除することはしないことになった
治療全体のバランスからすると正しい選択だとは思うのだが
あまり気持ちが良いものではない

卵巣がんに対する治療が奏功して
十分長生きできることを願うが
そのとき胃癌が顔を出してきたらと思うと

発射ボタン

2009-04-06 | 想い・雑感
学校で社会科を習っていた頃は
アメリカとソ連との間で冷戦の真っ只中
ともに戦力の増強を勤める中
原子爆弾を搭載した双方のミサイルが
相手方の領土を目標と定めているという状況

発射ボタンが押されるまでには
何重ものステップがあるとはいえ
相手が発射したという情報に対し
自分方も発射した後に間違いに気づくという可能性を想像し
なんとも危うく恐ろしい状況だと感じたものだ

日本と北朝鮮
かなり近距離に存在する故に
相手方からの攻撃には直ちに対応する必要がありそう
でも一昨日の発射事実の誤認をみると
迎撃なんぞ夢のまた夢
だし誤認から攻撃を開始してしまう恐れもありそう

但しこの事実をもとに
無闇に戦備増強に走ることなく
厳しい交渉の手段を駆使するような
成熟した外交手腕を
外務省や政治家に見せてもらいたいと思う

最後

2009-04-06 | 想い・雑感
私が担当している癌患者さんに対しては
ほとんどの場合癌であることはお伝えしている
伝え方は様々であるが
悪性であることは知っておいていただいたほうが良いと思うから

直接の担当ではないが
癌であることを伝えていない末期癌患者の方が入院している
回診のときに拝見すると
徐々に状態が悪くなってきている

胸水のために呼吸困難が出現し
症状緩和のために胸水を時に抜かなければならなくなった頃
ある朝の回診で
私たちに対して
「お世話になりましたねぇ」
とはっきり一言

癌を告知するか否か
という問題提起が
あまり大きな問題でないのかも知れない
とふと感じた瞬間だった