Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

区切り

2006-12-31 | 想い・雑感
大晦日の市場に行った

多くの買い物客が
小走りに 必要な物を探しては去っていく

新年を迎える前に 正月の準備をしようと
駆け回っている

新年は確かに 時間の区切りである
区切りを迎えて 
気持ちを新たにする機会を持つというのは
必要なことであろう

しかし
新年を迎える瞬間に限らず
どの刹那も 大切な今なのである

ともに在る

2006-12-31 | 想い・雑感
ひとは
四百四病(しひゃくしびょう)を内在して生きている

古来人の体を構成しているとされる
地 水 火 風
の四つの元素から百の病が起こり
それに元素四つを足して四百四病

現代医学のつけた病名はそれより遙かに多いが
いずれにしろ
生きると言うことは
病と伴に在ること と言える

養生をして なるべくその病が表に出ないようにするのが第一だが
齢を重ねれば いずれ病と伴にいきる状況となる

癌もそんな病の一つ

患者さんや闘病記を通して
癌と伴に生きる
癌であるが故に生かされている
癌により 生のありがたさ 美しさに触れる
という状況を示されると そこに感動を覚えるのは
生きるという意味を教えられるからなのだろう

病を得ても別の自分になるわけではない
病に冒された自分があるわけではなく
自分の一部として病がある
そこの主客を逆転させることなく
今を 人生を 生き抜く強さが欲しい

自己の選択

2006-12-28 | 医療・病気・いのち
物は大切に扱ってあげると
長くきれいでいてくれる
長持ちしてくれる

体も同じ
大切に扱ってあげると
より良い状態で 長持ちします

親からもらった体質を大きく変えることは難しいけれど
大切にすることによって
長くつかえるのです
丁寧に扱うことを 養生といいます

喫煙などは養生の対極に位置する行為
中には
最近本数を減らすようにしている
と言って少しは健康を気遣っているつもりになっている人もいるが
本数を減らしても健康状態の改善は見られないとの報告が出た

喫煙の害が気になるのなら
きっぱりと止めなければ意味がないのである

止めることができないのなら
煙草で死ぬなら本望だ
くらいのつもりでいたほうが 良いんじゃないかな

どうしても止められないという人
わざわざ止められないことを人に言ってもだれも同情はしません
止められないのも自分自身
ひょっとして喫煙によって健康を害するのも自分自身
自分で背負っていくしかありません

巡る

2006-12-28 | 想い・雑感


水素原子2個と酸素原子1個が結合した水分子

その水が多くの生物の生命活動を支えている

私たちの体から出て行く
水蒸気 汗 尿などに含まれる水

その水分子のあるものは
風に乗り他の町へ行き
川や海に流れ込むものがあり
雲となるものがあり
そしてどこかで他の生命に取り込まれる

様々な所を循環し
様々な生命を支える

その水を汚すことは
人を含め 生命を汚すことになる

全人的

2006-12-28 | 想い・雑感
科学的思考というのは普遍性を求める
様々な事象の中から 
法則 定理 公理 公式
などを 導き出す

医学においても普遍性が求められる
薬などは統計的有意差をもって薬効を認めなければ認可されない
治療法も統計的により良いとされる治療が推奨される

この考え方はとても重要なのだが
医療というのは それだけでは足りないだろうと思う
もともと医療の対象である人が 均質では無いからだ

十人十色 百人百様 というが
実に一人一人違うのである
体質、体調、年齢、性、習慣、環境、歴史などなど
全員違うのである

医療の理想を語るものとして
全人的医療
というキーワードがある
この理想を目指すためには
普遍性の上に 個別性を加えた発想が必要となる
現在の医療は その個別性への配慮が弱い
個々人全体を見つめる努力が足りないのだろうと反省する

1日は長いけど…

2006-12-27 | 想い・雑感
術後1週間の患者さん
「過ぎてしまうとあっという間やったね。」

   「今年ももう終わり。1年なんてあっという間ですね。」

「そうそう、特に年取ると、1年過ぎるのが本当に早いね。
 1日は長いんだけどね。」

1日は長いけど 1年は短いという 時間感覚をとらえた表現
けだし名言

楽なほうがいいよね

2006-12-25 | 医療・病気・いのち
年に一度上部内視鏡検査を受けることにしている
最近では鼻から入れる細い内視鏡もあるが
その分ファイバーの本数がどうしても少なく
解像度が悪いような気がするので
通常の内視鏡で検査をしてもらう

以前は咽頭麻酔だけで検査を受けていたが
3年前に睡眠剤を使用して受けた検査に味をしめ
必ず眠らせてもらって検査を受ける

随分と楽だ

我慢した方が 良い検査結果が得られるのならば
苦しみながらも内視鏡を飲み込まないこともないが
我慢しようがするまいが結果が変わるはずないのだから
楽な方が良い

検査の時に使う鎮静剤は医療機関によって多少違うだろうが
私がうってもらったのはセルシン(一般名:ジアゼパム)である
これは浸透圧が高いので血管痛が強いが
痛いなあーと思っている内に眠ってしまう

ちなみにアメリカで死ぬ権利が大きな問題となった
カレン裁判のカレンさんが
お酒とともに服用したのは
このセルシンの錠剤である

喫煙率

2006-12-24 | 想い・雑感
喫煙の健康被害については次々にデータが出ているが
喫煙が体にいいということは聞いたことがない
国民の健康を護る意味でも
医療費を抑える意味でも
喫煙者を減らすことは 国の政策として行う方が良いと考える

喫煙によって引き起こされる可能性が高くなる疾患として思いつくだけでも
 狭心症や心筋梗塞
 呼吸不全
 肺ガン、舌ガン、喉頭癌、食道癌、胃癌、乳癌
などがあげられる

医療体制とすれば
病気を治す努力をするよりも
ならない努力をする方が
よほどお金はかからないはずだ

喫煙率を下げることは
きちっと政策として掲げるべきだ

ところが
自民党とJTの反対から
喫煙率の努力目標を 国として掲げることを見送ったとの報道を見た
国民全体の利益でなく一部の利益に引きずられた決定としか思えない

理が通らない
美しくない国の構図だ

テレビ深夜放送

2006-12-24 | 想い・雑感
昔NHKテレビの放送は 12時に終了していた

その後民放の深夜放送が始まった
それでも 午前1時とか2時に終了していた

今やNHKも深夜まで放送時間をのばし
民放はほとんど24時間 垂れ流しである

なぜそれほど長時間の放送を行わなければならないのか
理解ができない
良質な情報と思われるのは一部であり
多くは あってもなくても良さそうな番組である

日本は現在
CO2排出削減目標に近づくどころか
逆に排出量が増加しているとも聞く
無駄な深夜番組を止めると
電気使用量削減 ひいてはCO2排出削減に
かなり インパクトがあるような気がするのだが
だれか 試算してくれないかな

生きたように

2006-12-23 | 想い・雑感
ある程度の年齢に達したら
自分の顔に責任を持てと言われる

今だ童顔の小生としては
なかなか耳の痛い言葉である

しかし それまでの生き様が顔に表れるというのは
それまでの生き様 つまり 生活習慣が体に反映されるのと同様
あり得ることであろう

生き様が病気に関係していることは多い

煙草を吸い酒を飲み
 肺ガン、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、胃癌、大腸癌…
酒を大量に飲み続け
 肝硬変、肝癌、精神障害…
カロリーの過量摂取を続け
 高脂血漿、糖尿病、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞…

人は生きたように死んでいくという面も
確かにあるのだろう

もちろん生き様とは関係ない
不条理な死もたくさんあるが

cure & care

2006-12-23 | 
緩和医療を語る際に cureからcareへ次第に移っていく模式図がよく示される

cureというのは積極的治療

careというのは対症療法など苦痛を取り除くことを第一義とした治療

しかし実際はcureからcareへなだらかに移行していくと言うより
ある時期から段階的に
トン トン と
careの割合が増える時期が波状に押し寄せてくる印象がある

近年 ホスピスやホスピス病棟が増えている
そのこと自体は喜ばしいことだと思うが
いよいよcureのみが求められる状態になるまでに
できることはたくさんあると思っている

cureができなくなるとホスピスを勧めるむきもあるようだが
普段 癌の治療を行っている医師が
もっと緩和医療の技術を身につけ
ホスピスや在宅ホスピスへの架け橋となれるよう努力するべき事項が多いと思う

私は 外科医として現役である間は
癌のあらゆるステージ
早期癌 進行癌 そして末期癌の段階すべてに
関わっていきたいと思っている

まずは根治を目指すが
それがかなわぬ時も諦めず
少しでも良い状態となるよう
本人と話し合いながら治療を進めていく
なかなか難しいことだが

呼吸

2006-12-23 | 医療・病気・いのち
 全身麻酔下に手術を行うためには、全身麻酔に耐えられる体でなければならない。心不全や呼吸不全が強く、麻酔をかけること自体にかなりの危険性を伴う場合には、手術以前の問題ということになる。

 必然的に私が接する患者さんの多くは、麻酔をかけることが可能な全身状態ということになる。

 気管支喘息の患者さんなどは、当直のときなどに軽症から中等症の方を診療することはあるが、重症の方を診療したことはない。恥ずかしながら、気管支喘息で死に至ることがあるという実感に乏しい。しかし、呼吸器科入院中の重症気管支喘息の患者さん2名を目にした。

 一人はICUに入り人口呼吸管理をしている。100%の酸素を送り込んでもなかなか血中の酸素分圧が上がらない。これが持続すれば恐らく死に至る。

 一人は10代後半の方。すでに1年間入院しているとの事。気管内操菅を何度か繰り返しており、以前気管切開までされていた方だが、今回再び気管切開が必要となった。

 かなり重症の発作を繰り返すような方は、確かに死の危険と隣りあわせだ。他の病気は二の次三の次ということになる。

 普通に呼吸できる有り難さを、改めて実感する。

 気管支喘息の患者さんから見れば、喫煙を続けて肺組織をいため続ける行為などは、信じがたいことであろう。

 

内臓脂肪

2006-12-23 | 医療・病気・いのち
 内蔵型肥満といって皮下ではなくお腹の中に脂肪が蓄積している状態が、生活習慣病と密接に関わりがあることがわかってきました。そこで注意を喚起する意味もあり、肥満特に内臓肥満が強い場合、メタボリックシンドロームという言葉をつけるようになりました。

 内臓肥満といわれてもぴんと来ないかもしれませんが、お腹のCTを撮ると肥満の強い人は一目瞭然。腸や腎臓を取り囲むように黒く抜けた脂肪を認めます。このような脂肪がある人は、高血圧、糖尿病、高脂血症などのリスクが高くなりますがそれだけではありません。

 お腹の手術が必要となった場合、このような方のお腹を開くと、脂肪の海。全面に黄色い脂肪が広がっています。そのような脂肪に臓器は身を隠すように存在しているのです。

 ある臓器に対する手術をする場合、そのような脂肪の中から見つけ出し、拾い上げていく必要があります。脂肪は脆く、その中の血管も弱いため、やせた方より出血が多くなる傾向があります。悪性疾患の場合は、リンパ節郭清が困難となり郭清が不十分となる可能性があります。脂肪は感染に弱いため、術後感染を起こしやすくなる可能性があります。保険でそれぞれの手術術式の値段は決められていますが、外科医の実感としてその何倍もの値段を付けて欲しいと思うほど、脂肪だらけのお腹の持ち主は手術を困難にします。

 肥満は、多くの面で体にリスクを抱え込んでいることを認識する必要があります。かく言う私も…。

日々是好日

2006-12-20 | 想い・雑感
地面に幅1mの線を引いて
その間を歩けと言われたら
ほとんどの人は苦もなく歩くだろう

でも1m幅の道が地上2mにかかっていたら
そこを歩くのは少し緊張するだろう

その道が10mの高さにかかっていたら
もっと高いところにかかっていたら
と想像すると
段々渡れる気がしなくなる

人生もそんなものかもしれない
私たちは気がつかないから
平気で毎日を過ごしているが
狭い道を歩いているのかもしれない

その道の下には
深い谷があることもしらず

生が死と伴にあることを知らず

進行癌と診断されても
すぐに死がやってくるわけではない
早期癌と診断されても
翌日 事故や急病で死ぬこともある

いつ死に肩をたたかれるか
誰にもわからない

幽門狭窄

2006-12-19 | 医療・病気・いのち
 胃の出口を幽門といいます。

 そこに胃癌ができると出口が狭くなり、胃から食べ物が流れ出にくくなったり、完全に出なくなったりします。これを幽門狭窄といいます。

 何となく胃がもたれるという状態を半年くらい放置して、いよいよ食べられなくなって検査を受けたときには大きな胃癌、ということも時折あります。たかがいもたれ、と考えず症状が有れば一度は検査を受けることが肝要です。

 幽門の後壁を中心とした癌の場合には、胃の背側にある膵臓にまで直接入り込んでいる(浸潤している)ことがあります。その際は膵臓も一緒に取る、膵頭十二指腸切除術という大きな手術をすれば切除は可能な場合もありますが、既に他に転移を起こしていることが多く、再発する場合がほとんどです。

 早期に見つかれば、少なくとも胃癌で苦しむことは無いんだけどなあ。