Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

ヴェール

2013-01-31 | 想い・雑感
まだ硬い 硬い 膨らみだが
庭の梅ノ木に
つぼみの蕾という風情の
僅かな変化が起きている

毎年感じることだが
冬の中にも
僅かな春の気配が
現れてきている

梅ノ木の前に立ち
薄く透けて見えるヴェールの向こうに
去年の私が立っていて
同じように梅ノ木を見ているような気がする

そのようにして
何枚ものヴェールを透かしてみれば
子供の頃の自分まで
見えてくるような気がする

ある場所に立って
確かに以前もそこに立っていた自分を感じる

その時の流れをかいくぐって
昔にたどり着けたりすると
いいのになぁ
とちょくちょく思う

寒の緩み

2013-01-30 | 想い・雑感
強く冷え込んだ朝などは
ヘルメットをかぶっていても
どこからか冷気が入り込み
顔を凍えさせる

一月も末となり
寒いながらも若干冷気が緩んだのか
少し着込めば
寒さを感じることなく
バイク通勤ができるようになってきた

僅かな春の気配を感じると
早く春になりツーリングに出かけたい
と思う反面
あまり早い春の訪れは
それだけ時の流れの速さとなることを考えると
のんびりやって来て欲しいような気もする

それにしても
もう一月が終わりそうですね

余病

2013-01-29 | 想い・雑感
手術を予定するときには
患者さんの全身状態を見るために
呼吸機能検査
心電図検査や必要なら心エコー検査
血液型
感染症の有無
血液生化学検査
などを行い
さらに肝機能検査や腎機能検査なども行うことがある

それらを術前検査と呼ぶが
そこで初めて手術とは直接関係がない
体の異常が見つかることがある

「これまでずっと健康で病院にかかった事がない」
と自信たっぷりだった人は
検査しなかったからわからなかっただけで
実はかなり前からばっちり健康という状態でなかった
ということがわかってしまうことになる

早期胃癌で紹介されてきたMさん
術前検査でかなりの糖尿病であることが発覚
手術前にまずは血糖のコントロールが必要ということで
内科に入院していただいた

糖尿病は失明の原因ともなる疾患
必ず眼科も受診していただくことになるが
そこでレーザー凝固が必要と診断され
その治療も受けることに

一段落して胃の手術

それにしても
手術をすることにならなければ
そのうち失明していた可能性があったこと考えると
早期の癌が見つかってよかったのかも知れないですね

突然

2013-01-29 | 想い・雑感
本屋さんや図書館に行くと
がん患者さんの闘病記をよく見かける

癌にかかってしまう
というのは人生において大変なことだが
ある意味闘病記を書ける状態が
ある期間は持続することができることを意味する

一方
脳梗塞などで突然自由を奪われながらも
生を保てた場合
その後の闘病記というものを
本人が書いたものというのは少ない

やはり
脳へ受けた障害から
外に向け表現をするというのがむつかしくなるのかもしれないし
程度の差はあるが大幅に身体の自由が奪われてしまう事が多いからだろう

さらに
動かなくなった手足
物を飲み込めなくなった口
発語ができなくなった状態
人の言葉の意味がわからないこと
身の回りのことのほとんどを人にしてもらう必要があること
などなど
赤裸々に見せることはかなり辛いということもあるであろう

しかも
人体としての機能喪失が突然訪れる
恐怖 悲しみ 絶望 孤独 怒り 
を乗り越えて表現することは
大きな困難を伴うだろう

そこをおして表現された
脳梗塞後の闘病記は
こちらの胸まで大いにかきむしる

医療者はそのような苦しみの叫びに
耳を傾けなければならない

忘憂の物

2013-01-28 | 想い・雑感
酒を愛したという陶淵明が詩の中で
忘憂物という言葉で酒を現している

酒に菊を浮かべ
じっくり腰を落ち着け飲んでいく
世の中のことなど忘れてしまい
すっかり元気を回復する
という飲み方が出来る人物が見えてくる

ゆっくり呑みながら
友と語らえば
心はぬくもり
愉快な気分となり
憂を忘れる霊力が確かに酒にはあると思うが
つい過ぎてしまう私の場合
憂以外も忘れてしまい
霊力が消えたあとに
いらぬ事をしたり言ったりしたのではないかと
憂が逆に増えたりもするところが困る

自己

2013-01-27 | 想い・雑感
体の中に侵入してきた部外者は
免疫の力で排除される

免疫機構は
自己と非自己を見分け
侵入者によって
内部環境を乱されないよう
監視し続けている

そのお陰で
私たちは生命を維持している

そんな心強い監視力をもってしても
体内に出来あがってしまった癌を排除することができない
ということは
体は癌を自己だと判断していることになる

まあもともと自分の体の中で起きた
細胞のコピーミスの中から癌が出てくるわけだから
表面には自分を示すような標識だらけ
この細胞は己自身だとおもっても仕方がない

今の医学では
癌を治すためには
手術で切除し
抗がん剤という毒で責めあげ
放射線で焼き尽くそうとする
というふうに敵の殲滅を目指しているのだが

いずれ
癌細胞の増殖をコントロールできたり
もとの秩序に従うように更生させたり
という手段が現れ
闘う対象でなくなる日が来るだろう
そうすれば
身内との戦いをしなくて済む

手当て

2013-01-27 | 想い・雑感
手当て
という言葉が示すように
手を当てるというのは治療の第一歩と思っている

定期的に通院してくる人のお腹は
必ず触診するようにしている

またお腹の手術と関係なくても
腰が痛いとか膝が痛いとかいう時は
少しでも痛いというところを
触るように 
そう
手を当てるようにしている

だからといって出来ることは
あまりない場合も多いのだが
ちゃんとお話を聞いていますよということを伝えられるし
私だって気になる場所に手を当てられると
何かほっとするような気がするし
ふと気がつくことを発見できるかもしれないしね



次の一歩

2013-01-25 | 想い・雑感
「そうねぇ
ずいぶん進んでしまっているというのは
ちょっとがっかりだけど
なったものは仕方ないねぇ
まあ お願いしますよ」

エコー検査で肝臓のしこりが見つかり
紹介されてきたTさん
結局大腸癌が肝臓に転移したものだった
しかもつまりかけていたので
大腸の切除術を行った

でもこの手術は
腸が詰まってしまうのを回避するためであり
癌自体の治療にはなっていない

腹膜 リンパ節 肝臓と
広がってしまった癌たちを手懐けなくてはならない
つまり抗癌剤治療を始める必要がある

そのための治療手順などを説明させていただいたとき
ご本人がおっしゃったのが最初に書いた言葉

現状をまず受け入れた上で
如何に次の一歩を踏み出すか
過去を振り返り考え込むこともあるかもしれないが
次に何をするか できるかを考える

こういう姿勢は
病気の治療だけでなく
日常を送る上でも大切だと思う

反射的

2013-01-24 | 想い・雑感
テレビを見ると
ああ言えばこう言う
という感じで
パパッと言葉を返せるのがウケル
という感じが強い

そういう言葉の応酬に
面白みを感じることもあるが
それを日常でやられると
いやな場合もありそうだ

言葉というのはエネルギーがある
面白半分で返した言葉が
相手を傷つけることだってある
これは注意していても起こりうることなのだから
反射的に言葉を返すというのは
そうそういつもはやらないほうが良いだろう

ツイッターを見ていると
思わず一言を返したくなることもある
でも全体がわからない状況で
安易に反応するのは憚られる
それをやると
思考や感情が荒れるような気がする

なぜって言われても…

2013-01-23 | 想い・雑感
なぜ「私が」癌になったのか
という質問をする方の心理には
ガンにならなければならないような悪いことはしていないのに
という思いが見え隠れすることがある

別に悪いことをしたから癌になるわけではないんだけどなぁ


長生きするほどに
癌が見つかる可能性は高くなる
長寿国日本の国民の半数は癌になると言われる
悪い人が癌になるのだったら
少なくとも日本人の半分は悪者だね

またその思考の根本には
結果にははっきりした原因があるとの考え方がある
でもある人に癌が見つかるまでには
多くの要因が重なり合っているわけで
はっきりと一つの原因を決定するなんてできないいだけどなぁ

ガンだけでなく
毎日の生活の中でも
原因と結果が一対一対応になっていることなんて
そんなに多くはないと思うね

穴があく

2013-01-23 | 想い・雑感
食道 胃 小腸 大腸など
消化管に穴があいてしまうことを
消化管穿孔といいます
穴があくと消化管の内容が外に出ていってしまい
ひどい炎症を引き起こすことになり
命にも関わります

消化管に出来た癌や悪性リンパ腫などに対し
抗がん剤や放射線治療を行うと
非常によく効くことがあります
そんなとき消化管の壁にできている腫瘍が死んでいくと同時に
消化管に穴があいてしまうことがあります

これは悪性腫瘍をやっつけるという意味では
とても効果が上がっているのですが
それゆえにいのちの危険にさらされてしまうという状況

よかれと思ってやったことが
かえって悲しい結果を引き起こす
ということは実生活だけでなく
医療の現場でも起こりうることです
そうなると
すぐに対処してもうまくいかないということにもなります
むつかしいですね

思わぬ異常

2013-01-22 | 想い・雑感
癌が見つかった場合
その広がりや転移の有無を見るために
CT検査を行う
これを行うと
思わぬ異常が見つかることもある

腎腫瘍などもそのひとつ
発生する場所によっては
かなりの大きさにならなければ
血尿や痛みなどの症状が出ないので
ご本人も驚かれる

異なる癌が一度に見つかってたいへんだなぁと思う反面
どうせ見つかるなら症状のないうちに見つかったほうが
根治にいたる可能性が高くなるのだから
見つかってよかったとも思う

胃癌で紹介されてきたTさん
胃癌のほうは早期と思われるけど
腎癌のほうはそこそこの大きさ
泌尿器科の先生に先に治療して頂くこととした

これに限らず
CT検査では思わぬ異常が見つかることがある
私もぼちぼち一度検査を受けるつもりだ

薬じゃない

2013-01-21 | 想い・雑感
健康食品とかサプリとか呼ばれるものが
たくさん出回っている
はっきりとした効能が述べられることはないが
何かに効きそうな言い回しで私たちを誘う
あくまで個人の感想です なんて言ってね

でもそれらは決して薬ではない
ということは効果が証明されていないということ

本当に効くなら
創薬に命をかけている製薬会社が
放っておくはずがないと思うけどね

それでも効かないだろうと思われるものに
高いお金を払う人がいるんだね
まあそうでないと商売にならないね

原因

2013-01-20 | 想い・雑感
歌手の前川清さんが
藤圭子さんとの離婚原因を聞かれて
結婚したから
と答えたというのは有名なこと

曰く言い難いけど
全てはここにつながるから
これ以外言い様がないよ
という気持ちがなんだかよく伝わります

これを敷衍すると
死因は?と聞かれて
生まれてきたこと
と答えることになりますね
これ
なかなかいいですね

この考えの流れだと
生と死を対立するものというより
死を含んだ生を生きているという感じにもなりますね

予想

2013-01-20 | 想い・雑感
経済学者の予想がまず当たらない
というのは多くの人が感じることだろうが
これは致し方ないのかもしれない

科学的思考を行う際には
条件を単純化して考えるものだろう
実験にしても
一定にする条件を決めておく必要がある

ところが実際の経済活動は
関わる要因が多すぎて
思考実験で成り立つようなことが全くあてにならなくなる

実は人間の体もそうである
ある程度単純化できる面もあるけれど
実に多くの要素が体調に関わっているから
なかなか予想通りにならないところがある
多くの人はきっちり予想できないと許してくれないみたいだけれど