Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

セカンドオピニオン外来

2006-08-31 | 医療・病気・いのち
 セカンドオピニオンという言葉が、かなり市民権を得てきたようである。これによって、患者が別の医師に診てもらいたいといいやすくなったという点で大きな意義がある。また別の医師にも意見を聞いてみるというのは、大切なことである。そこでもし違う考えが提示されれば、どちらを選ぶかは本人が決めればよい。

 しかし、医師の目から見ていて、何のためにセカンドオピニオンを聞きに行ったのかと思わせるようなこともある。

 以前、セカンドオピニオン外来を行っているとして、テレビにも出た病院がある。胃癌の末期の方のご家族が、そこへセカンドオピニオンを聞きに行きたいといわれたので、詳しい経過を書き、フィルムなども持たせて、受診してもらった。私は、そこの病院内で胃癌の治療に当たっている医師が対応してくれるのだろうと思ったら、どう考えても違うだろう医師が対応していた。他の分野では有名な方なのだが、なんとなく釈然としない。印象とすると、何となく話しをして帰ってこられただけという感じ。ただ、セカンドオピニオンにいつも対応できるほど、医師に時間的余裕はない。他の病院に行っても、必ずしもその領域の専門家が対応できるとは限らないことは、当然のことと思っていた方が良さそうだ。

 癌、それも末期と伝えられれば、右往左往してしまうのも分かるが、セカンドオピニオンを求めに行くのならよく調べて行って欲しい。特に有名だからと遠方の病院に行くときには、よくよく調べてから行かないと、交通費をかけた上に、患者本人は疲れ果てたということにもなりかねない。

 セカンドオピニオンを希望するときは、必ず予約を入れ、希望する医師(専門など)をきちっと伝えておく方が良い。時に外来日にいきなり来られる方もおられるが、外来日は予約が詰まっており、対応はかなり難しい。きちっと前もってセカンドオピニオンを求める旨を病院に伝えておく必要がある。

 病院側も、何とかより良いセカンドオピニオンを提供できるように、システムを作る必要がある。私自身は、あいていればいくらでも対応しようと思ってはいるが、急患の手術が入れば、そちらを優先するような気がする。

国って?

2006-08-30 | 想い・雑感
 ロシア側にだ捕された、漁船の船長さんはどうされているのでしょうか。

 ロシア人に囲まれ尋問を受ける。すごいストレスでしょうね。

 日本人は自分ひとり。
 家族に会えない。
 仲間に会えない。
 いつ帰れるかもわからない。

 一人ぼっち。

 これは、個人の問題ではなく、国と国の問題だと思われるのだが、
国が積極的に動いているふうがない。実際にだ捕された位置を正確に
証明するものが出ていない。日本国が、国民を守りますよという
メッセージが、小泉首相からは当然のごとく、外務省からも防衛庁からも
まったく聞こえてこない。

 船長さんの身内の方も、一日千秋の想いで待っておられることでしょうに。


開発

2006-08-29 | 想い・雑感
 中学校の社会科の時間に、日本の国土の7割が森林であると習った記憶がある。

 確かにgoogle mapの航空写真で、日本を俯瞰してみると、みどりが多い。緑に包まれた美しい国土だ。

 しかし、その中で目をひくのは、関東平野がはげたように見えることだ。緑はほとんどなく、白っぽい部分が広がっている。この面積でアスファルトが太陽に焼かれれば、すごい上昇気流が生じることは想像に難くない。

 人の密集度が如何に関東に偏っているかを物語っている。関東の次は関西かと思いきや、中部地方のはげ具合が関東に次いでいる。

 それにしても、日本の国土に1億人以上が住んでいるのは多すぎるのかもしれない。少子化の問題を声高に叫ばなくても、単に国土に見合った人口になっていくだけのことかもしれない。

まさか再発?

2006-08-29 | 医療・病気・いのち
 用事があり内科病棟を訪れると、数年前に胃の悪性リンパ腫に対し胃全摘を行った方の名札がぶら下がっていた。リンパ腫というと血液の病気のように思われるが、リンパ球のいるところなら発生母地になりうる。胃原発の悪性リンパ腫もあるのだ。

 その方は外科で手術を行った後、白血病などが専門の内科医に化学療法を施行してもらった。

 「ひょっとして再発?」と思いながらベッドサイドを訪れると、随分お元気。
 「いやいや、夏ばてと、肝硬変の影響で腹水が少し溜まったのとで、休憩がてら入院させてもらっているんですよ。今のところお陰で再発は無いようです。」とのこと。ほっとした。

 どんなにきちっと手術をしても、切除した範囲を超えて悪性細胞が散っていたら、再発を起こす。

 手術をさせて頂いた方が、再発なく元気にされていると、やはりうれしい。

下駄とばし

2006-08-28 | 想い・雑感
 「あーした天気になあーあれー。」
と言いながら靴をとばし、翌日の天気を占う?遊びを子供の頃していた。
昔は、下駄を飛ばしていたらしいが、下駄を履く機会は正月か、旅館に
宿泊した時くらいだったので、靴をとばしていた。

 ところで、日本下駄とばし協会なるものがあるらしく、競技会も開かれている
とのこと。ゲゲゲの鬼太郎の下駄飛ばしにかけて、競技会を開いたとの
ニュースを見た。なんと今年で8回目。どんなことでも楽しむ精神、大切です。

 競うのは飛ばした距離。協会認定世界記録も出たようです。30m以上飛ばすというのですからびっくり。
鼻緒のところへの指の掛かり具合、足を振り出す勢い、下駄を足から離すタイミング、方向など
いろいろな要素がうまくかみ合わさらないと、遠くには飛ばないでしょうね。子供だったら、自分の
頭に落ちてくる事態も、十分想定内ですよね。

 ところで、天気のあたり具合を競う大会もあってよさそうな気もしますが、どうでしょう?

業務

2006-08-27 | 想い・雑感
 交通事故が起こると、それも死亡事故が起こると、被害者およびその近しい人は突然の出来事に呆然となる。

 一方、加害者側も、その後の人生を失ったことになる。

 そんな事故を起こす危険性が極めて高い飲酒運転が、いまだに後を絶たない。

 運転は法律上は「業務」にあたるらしい。「業務」というのは、社会生活を行っていく上で、反復継続して行う行為であり、生命身体に危険を生じ得るものをいうということで、車の運転は業務に当たり、自動車事故で死亡させれば、業務上過失致死罪に問われることとなる。

 運転という危険な業務を行うのだという自覚があれば、車に乗る前に、まさかお酒は飲まないと思うのだが。「まあちょっとくらい」と思ってしまうんだろうなあ。そのちょっとで一生を台無しにするなんて愚か。起こしてしまえば、もう時間を巻き戻すことは出来ないのに。

イメージ

2006-08-27 | 医療・病気・いのち
 外科医になりたての頃は、手術に入ってもほとんど手出し出来るところはなく、術野がよく見えるように、鈎をひいたり、臓器を把持していたりするだけである。少しずつ、出来ることが増え、いろいろな人の手術を見学し、経験を積むに従って、手術の流れの中で特に押さえておかないといけない勘所が自分の中でできあがってくる。

 手術は手仕事である。流れが分かってもそれを支える技術を磨かなければ成り立たない。不断の努力が必要である。

 さらに、単なる技術屋で終わらないためには、十分に解剖、生理学、生化学、病態などを理解しておく必要がある。
 
 その上でさらに必要なのは、同じ手術でも、一人一人違うということを体得することである。違いが分かるとは外科医にとっても当然必要。手術前には、手術開始から終了までをイメージするが、そのイメージが自分勝手なイメージでは失格。よりその患者さんのイメージに近づけるために、内視鏡、エコー、透視、CTその他の検査結果を総合的に俯瞰し、思い描く必要がある。

いつか戦争が

2006-08-26 | 想い・雑感
 自衛隊の駐屯地が病院の近くにある。
 時間的に余裕のあるものであれば、防衛庁関係の病院に搬送され治療を受けるのであろうが、急性虫垂炎等ならば当院に運ばれてくることもある。

 先日急患で来られた自衛官は、急性虫垂炎と診断され、消化器内科の医師に説明を受けていた。医師曰く、「抗生物質で散らすことも出来るかもしれないが、いざ戦争となったときに虫垂炎が再発しても困るでしょう…。」この部分しか聞こえなかったのだが、かなりびっくりした。

  自衛官に「いつ災害が起きるか分かりませんから…」という風に説明するのであれば、まだ違和感がないのだが。平和憲法の下、恒久平和を希求してきたこの日本で、戦争が起きうるということが当たり前と考える土壌が出来つつあるということなのか。

 そういえば、以前よりその駐屯地に出入りするジープやトラックがかなり多くなったような気がする。


瘻孔

2006-08-25 | 医療・病気・いのち
 正常の人体では存在しない場所に出来た通り道を、瘻孔といいます。

 痔の一つである痔瘻は、肛門腺と肛門周囲の皮膚との間に出来た瘻孔です。

 悪性腫瘍が周囲の臓器にまで入り込み、通り道を造る場合もあります。クローン病などの慢性炎症性腸疾患でも腸といろいろな臓器や皮膚との間に瘻孔を作る可能性があります。

 直腸と膀胱とのあいだに出来れば直腸膀胱瘻といわれ、尿とともに便汁がでたり、便とともに尿が出たりという状況が置きます。消化管と皮膚との間に瘻孔が出来れば、そこから消化管の内容が出てくることになります。

 どのような瘻孔かによって、対処法を考えますが、瘻孔自体は直せないことも少なくありません。緩和ケアの場面でも対応の難しい状況の一つです。

 

短腸

2006-08-24 | 医療・病気・いのち
 口から取り入れた栄養は、消化を受けた後、そのほとんどが小腸から吸収されます。心臓、肺、肝臓などに比べ、小腸の重要性はあまりメディアにも出てきませんが、小腸がなければ生命を維持することは困難です。

 一般的に成人の小腸は4~6mあると言われますが、種々の原因で小腸が50cm未満になると、高カロリー輸液などの努力を行っても、長期生存は難しいようです。

 小腸の吸収面積が極端に少なくなり、栄養障害などを呈してくるものを短腸症候群(short bowel syndrome)と言います。様々な栄養補給努力をしても、低栄養になっていくような場合、小腸移植を試みる場合もあるようですが、日本ではまだ4例程度しか実施されていないと思います。また他の臓器に比べ、拒絶や感染が起こりやすく、生着するのは3割程度と成績は悪いようです。

 急性腹症で搬送され、緊急手術となった方の中には、上腸管膜動脈という小腸を養っている血管が血栓で詰まってしまった方がおられます。そのような場合、血栓を除去することで、回復することもありますが、小腸のほとんどが腐ってしまい切除(大量切除)するしかなくなる場合も少なくありません。なるべく50cm以上の腸管を残す努力をしますが、残せない場合はなかなか長生きは難しくなります。

カー!カー!

2006-08-24 | 想い・雑感
 ここ数日、ニュースを見ればカー、カー言っている。
 カー容疑者に引っ張られ、メディアも大忙し。
 ジョンベネ殺害事件は、確かに世間の注目を集めた事件だし、今回の逮捕劇も興味をそそるものかもしれないが、どう考えても現時点では3面記事ではないか。今の扱いは、1面記事扱いである。報道の側は大衆の興味に迎合しすぎではないだろうか。

 日本に置いては、世界に誇れる平和憲法の危機、競争原理を導入すれば平等と言わんばかりの勝者の論理、俺は俺という浅薄な個人主義を外交にまで広げそうな危うさ等々。世界に置いては、戦争の名の下に行われる大量虐殺、内線の混乱の中で翻弄される市井の人、テロしか生きる道がないと考え行動する人々、テロ制圧の名の下に罪なき人まで殺す勢力などなど。

 今後に大きな影響を与える事件で、ニュースとして伝えるべきものは山ほど有ると思われるのに、カー、カー、カー、カー騒ぐんじゃない!  と言いたい。

骨折

2006-08-23 | 医療・病気・いのち
 一般的に年齢とともに、骨は脆くなる。特に女性の場合、閉経後にホルモンバランスが変化することもあり、もろくなりやすい。そして、ちょっとしたことで骨折をしてしまうこともある。

 高齢の女性が転倒し、足の付け根が痛くて動けない、という場合は大腿骨(太ももの骨)頸部(骨盤側)骨折を起こしていることが多い。ご高齢の場合受傷直後でなく、2、3日経ってから運び込まれることも多い。

 先日も救急外来に搬送されてきた方は、搬送2日前にこけて、歩けなくなったとのことであった。X線写真を撮ると、やはり頸部骨折であり、整形外科医にあとはお願いした。治療は通常、手術で折れた部分に太い金属を通して固定することになる。

 その方を見て、急に学生自体の解剖実習を思い出した。ご遺体を解剖させて頂くことにより、人体の構造を学ぶものである。私たちは(4人1グループ)高齢の女性のご遺体を担当させて頂いた。

 その方の大腿骨あたりを解剖していると、金属の棒のようなものが出てくるではないか。一瞬何のことだか理解できなかったが、骨折の治療をされたものと了解した。ご遺体の方は、確かにかつてこの方の人生を歩んでいたのだと強く実感した。喜び、悲しみ、苦しみ、怒り、そして楽しみながら日々を送っていたのだ。そしてある程度の年齢で、大腿骨頸部骨折を起こし、治療を受けたわけだ。その後歩けるようになったか、寝たきりになったかは分からないけれど。

 ちなみにその方は、胃の手術も受けていた。いろいろなことがあった人生だったことだろう。

緩和外科

2006-08-22 | 医療・病気・いのち
 癌の方に手術をすると言えば、癌を取るんだろうと思われることでしょうが、そうでないこともあります。癌自体はとても切除できない状態でも、症状を取るために手術を行うことがあるのです。進行癌、末期癌の方の症状を緩和するための外科治療と言うことで、緩和外科という言葉を使う人もいます。

 消化器外科の場合多いのは、消化管の通過障害に対する手術です。消化管は、口からおしりの穴まで、一本の通り道。途中で堰き止められたら、逃げ道や抜け道を造る必要がでてきます。例を二つあげます。

 膵頭部癌が十二指腸に浸潤して、十二指腸が閉塞してしまい食事が通らなくなった場合、十二指腸をバイパスして胃と小腸をつないで、もう一度食事が食べられるようにすることがあります。

 直腸癌が周りの臓器まで浸潤してしまい、とても取りきれない状況で、便もつまってしまった場合など、癌自体はそのままにして、直腸より上流の結腸をお腹の皮膚まで持ち上げ、人工肛門を作ることがあります。

 以上のような手術を行うかどうかの判断はなかなか難しいこともあります。決断を迫られる状況というのは、患者さん自身の体力も落ちつつある時であり、予後がどれくらいかというのもある程度推測しないといけないし。

 でも当然、手術をするかしないかは、本人と十分相談して本人の意向に添っていくというのが、ケアのそして医療の基本であることは変わりありません。

激闘

2006-08-22 | 想い・雑感
 37年。
 もうそんなに前のことですか。
 三沢高校と松山商業。死闘の延長18回の末、再試合。
 当時、小学生だったはずだが、昨日のことのように思い出す。
 すごい試合は、強烈に記憶に残ると言うこと。

 駒沢苫小牧と早実の試合。
 どんどんと引き込まれる。
 すばらしい試合は、宣伝などでふれ回らなくても、多くの人が注目し、そして大きな感動を得る。
 若き情熱のぶつかり合いは、人の心を奮い立たせる。

死因

2006-08-20 | 医療・病気・いのち
 癌というと「死」を思い浮かべる方が多いと思います。なんといっても、死因となる疾患の中で、癌が最も多いのですから。でも癌で亡くなる方が1/3といわれているので、がん以外で亡くなる方のほうが多いのです。

 10万人の人がいれば、癌で死ぬのは250人くらい、心疾患が120人、そして脳血管疾患が100人ちょっとくらいの検討でしょうか。

 それでも癌が恐れられるのは、痛みなどの苦しみのことを考えるからかもしれません。また、心疾患や脳血管疾患の場合、死ぬときは急に、という場合が多いので、本人にとって「死」を意識する時間がないのかもしれません。

 しかし、癌になろうがなるまいが、必ず死は訪れます。時には死について考え、生きていることに感謝しつつ今をしっかり生きることが大切なのでしょう。

 病気以外にも、人がなくなる原因は、事故や自殺、他殺などいろいろあります。でも、死因の中に今後の日本で、「戦死」なるものが出てこないことを、強く願います。